これはパンダですか？　いいえ、ドラゴンです。｜リアクション

これはパンダですか？　いいえ、ドラゴンです。

【完全救出作戦、開始です】

　維都月はパンドラの背後から忍び寄り、ろっこんの効果をフルパワーで発揮しようと試みる。
「爺グリーン！　あなたがわたしの思っている人だったら、生徒が！　このあなたを思う声が、聞こえない訳が無ありません！」
　彼女の思いが、叫びが、ろっこんの祈りとなって発揮される！
「胃の中が何ですか！　わたしの知っている彼はそこで立ち止まる人ではありません！　さあ！　生徒の声に応えて！！　どうかそこから出てきて下さい！」
　バッと維都月は天を仰ぎ、演技掛かった口調で叫んだ！！

「　校　長　先　生　！　プ　リ　ー　ズ　・　カ　ム　・　ヒ　ア　ー　ッ　！」

　するとどうだろう！
　パンドラの胃袋のあたりが活発に脈打ち、その波が上へせり上がってきた！
　そしてパンドラの口から、粘液まみれのＺＥＮＲＡの老人（濃霧モザイク完備）が飛び出てきた！

「校長先生、ゼッコチョー！　ヒューッ！！」

　維都月茉菜のろっこん『大天使の加護』は心を持つ対象物の気分や思考を、明るくかつポジティブなものにする効果がある。
　爺グリーンは胃袋の中で突然ハッスルしだし、渾身のオヤジギャグを披露したくなっちゃうほど元気ハツラツになってしまった！
「やったぁ！　校長先生、私は、私は……信じてました……！！」
　維都月、感極まって号泣！！
　だが、そこは泣くとこじゃないだろう、と心の中で全員がツッコミを入れた。
　そして今更だが、緑の人＝校長の事実に安堵感が漂う戦闘風景である。
「えっと、僕の作ったポンチョどうぞ……」
　恵御納が校長を誘導。
　維都月はこの調子でと他の面子にも声を掛ける。
「みんな、パンドラの底の希望になって！　スリー・ツー・ワン！　ハッスルマッスル！」
　彼女が祈ると再び胃袋が蠢き出し、今度は骨削が飛び出してきた！
「★▽＄＃＆％＠＞≒！？」
　骨削、テンション振り切れて壊れてしまった。
　ＳＡＮ値チェックが失敗したんだ、仕方がないね。
　しかも何故か血まみれである。
　彼の手には竹伐採用に持ち込んだ短刀が握られていた。
　どうやら胃袋の中にいた間、胃の壁面をこれで刺しまくってたのだろう。
　狂気度が半端ない。
「あとは五月さんと御剣くんだけだね！　お願い、出てきてー！！」
　彼女の願いが最高潮に達した時、パンドラの体は蠢動し、何かを吐き出した！

　ゴトンッ！

　自販機だ。
　ラインナップが水だけの自販機を吐き出した！
　これは薄野のろっこんで呼び出した、美味しい水を売る自販機！
　本人が出ずに召喚した自販機だけを吐き出した！
　そしてさらに、肌色のナニカも出てきた。
　今度こそ誰かが吐き出される！

　２本の足と、股間に生えた茸とお稲荷さん（濃霧モザイク済み）がパンドラの口に引っ掛かっていた。

　「またお前（御剣）かよオォォーッ！！」
　しかも逆子だ、完璧に逆子だ。
　これは引っ掛かるのも無理はない！
　もはやイチタリナイとかそんなレベルじゃなく、完全に大敗している感じだ！
　どこまで運がないんだ、この男は！
　小山内は御剣の一点を凝視して思う。
（み、見ちゃった！　刀君の、ブラブラしてるの見ちゃった！）
　恥ずかしい、けど何故か網膜に焼き付けてしまう！
　矛盾する乙女心！　夢に出そう。
　すると小山内、次の瞬間、デスソースの蓋を開け、パンドラの口を目掛けてラインを引いていた。
　小山内は　混乱している！
　そのままデスソースを御剣の股間に向けて射出！

　見　事　命　中　！

「GAAAAAA!!!」
　パンドラも激辛ソースの巻き添えとなり、御剣を再び飲み込んでいった。
「う、海ちゃん！？　目が淀んでるー、しっかりしてー！」
　桜庭の呼び掛けに、レイプ目状態で茫然自失の小山内。
　彼女はこれ以上の戦闘は無理と判断され、後退させられた。