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授業風景 ~3年普通科の場合~
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●授業中/作文の発表①
チャイムが鳴り、授業は始まる。
「はい! じゃあ今日は早速宿題の発表をしてもらいます」
皆さん書いてきてくれましたか?
早川の穏やかな目が教室に向けられる。
皆がその目から逃れるようにさっと顔を伏せる中、ぴんと前を向き続ける凛々しい横顔がひとつ。
(全く……宿題を当てられるくらいでビクビクするなんて情けないわ)
生真面目な風紀委員、
矢萩 咲
である。優等生然とした堂々とした様子は教師の目から見ても頼もしく感じるものである。あまりに皆に視線を避けられ内心で軽くヘコんでいた早川は、矢萩の逃げない眼差しにほっと胸をなでおろしたい気持ちになった。
しばし視線を交差させた後、早川は口を開く。
「じゃあ……矢作さん、いいかな?」
「はい、もちろんです」
そんな早川の内心を知ってか知らずか、はっきりとした声音で言うと矢萩は立ちあがった。
私の名前は「矢萩咲」です。
この苗字はもともと、同音の「矢作」姓と分布が重なっていて、この字からの転訛だと言われています。
「矢作」とは羽をつけて矢を作ることを意味するとされ、私の先祖は矢を作る職人だったようです。家紋も「矢に萩の花」ですので、間違いないかと思っています。……まあ、今は和菓子屋ですが。
名前の「咲」については、「より良い人生の花を咲き誇って欲しい」からだそうです。
……借金だけ残して死んだ最低の両親ですが、この名を付けてくれたことだけは感謝しています。
この名前を誇りに、私はより良い人生を歩みたいと思います。
すらすらと原稿を読み上げると、矢萩は立ちあがったときと同じ早さで着席した。
その堂々とした読みっぷりに、誰からともなくぱちぱちと拍手があがる。
「姓の由来もありがとうございました。矢萩、という言葉にはそんな意味があったんですねえ」
しみじみと頷きながら言う早川。今は和菓子屋というけれど、それはそれで萩という字はおはぎっぽいな、という小学生じみた連想はこっそり胸の中にしまいつつ。
「萩といえば、もう花が開くころですね。みなさん、どういう花か知ってます?」
早川が問いかければ、しらなーい、という声がちらほらと。その声に、早川はチョークを取って絵を描きだす。
「薄紫の、小さな可愛らしい花ですよ。秋まで咲くので、秋のお彼岸の花としても有名です」
小さくも凛と咲く様子は矢萩の雰囲気によく似合うだろう。
きっと早くに両親を亡くして、数え切れないほどたくさんの苦労を重ねてきたのだろう。
彼女のその強すぎる眼差しは、もしかすると起因しているのかもしれない。――そんなことを思いつつ、しかしあえてそのことには触れずに早川は黒板をじっと見る矢萩に微笑みかけた。
「矢萩さんも、萩に負けないくらい素敵に咲いてくださいね」
その言葉に、矢萩はありがとうございます、とあくまでクールに小さく頭を下げた。
そんな彼女の様子を、青龍寺はぼんやりと眺めていた。
(咲ちゃんのお名前、そんな素敵な由来があったのね)
机に広がる原稿用紙は、依然として白紙のままだ。
かすかに揺れる矢萩のポニーテールをなんとなく見つめていた青龍寺はやがて、小さく息を着いて原稿用紙に視線を落とした。
矢萩の発表を聞いて、彼女の胸の中に去来したのはかすかなシンパシー。
(……けど、境遇は同じでも)
青龍寺は自らの名前の由来を知らない。
結局聞けずじまいだったから。
原稿用紙の白さが目に刺さる。何も書かない訳にはいかないと思いながらも、彼女に書けることは何もないのだ。
どうしようかしら、と溜息をついたときだった。おい、と小声で声をかけられる。
「……えっ」
そちらに顔を向けてみれば、珍しく驚いたような表情を浮かべた
海原 茂
がこちらを見つめていた。
――いや、厳密に言うと、青龍寺の原稿用紙を見つめていた。
「それ、白紙じゃないか」
真面目な彼にとって、宿題はきちんとこなして当然なのだろう。やや険のある声音に、青龍寺は気まずげに目を伏せつつ言葉を返す。
「そ、そうなんです。ちょっと……思いつかなくて」
「思いつかない? 両親に尋ねれば済む話だろう」
海原のまっすぐな言葉に、うう、と青龍寺は思わず逡巡したが、ややあって正直に理由を述べた。
あの、私……両親が他界してて、由来とか聞いたことなかったんです。
青龍寺の控え目な声に、海原は一瞬目を丸くしたあと、そうか、とかすかに表情を曇らせて頷いた。
「……それは、事情も知らずに悪かったな」
不器用ながら気遣うような海原の眼差しに青龍寺は慌てて首を振った。
どうしてだろう、彼にそんな表情を浮かべてほしくなかった。それはきっと、家庭のことを同情されることへの抵抗感ではない。
じゃあいったい? ――そこまで考えたところで、青龍寺はその思考をいったん置いて海原に向き直る。
「はい。あ、で、でも茂くんが謝ることじゃないです。そんな、知らなかったんですし」
「いや、無礼なことを言ったのには変わりない、すまなかったな。……そっか、それで白紙なのか」
海原の言葉に、青龍寺は小さく頷いた。
「本当は何か適当にでも考えて書くべきだったのかなって思ったんですけど」
茂くんの由来はどういったものなんでしょう?
参考にしようと青龍寺がそう尋ねたのと、早川が海原の名を呼んだのはほぼ同時であった。
はい、じゃあ海原くん。その言葉に、ぎくりと方を震わせて海原は顔を上げた。
「あ、は、はい。俺ですね。大丈夫です」
いつもはクールな海原であったが、しゃべっていたところを突然当てられたせいか、その挙動は珍しくぎこちない。
「じゃあ、発表の方をお願いします」
早川の言葉に、海原は机に置いていた自らの原稿を読み上げた。
海原茂。それが私の名前だ。
茂という字はまさに読んで字のごとく、草木が密に生えている様子を表すものである。
この字が当てられる由来としては、往々にして次の理由が挙げられる。葉が生い茂るように実りある人生を歩んでほしい。広く末永く次の代まで繁りを見せてほしい……等々。更にこれらの意味から転じて、才覚や勉学に優れる様として意味を込める場合もある。
茂という字にはそうした多種多様な前向きな意味があるのだが――けれど残念ながら、私の父は愚直といっていいほどの正直者であった。この作文に書くにあたって名前の由来を尋ねたところ、返された言葉は「お前が生まれた日、庭に茂った雑草をきれいにむしったからだ」の一言のみであった。
この由来を聞いて、私が心底呆れを抱いたのは言うまでもない。
堅苦しい文章とその内容のギャップに、クラスメイトたちは堪えたような笑いとともにまばらな拍手を送る。
「そうか、草むしりですか。……お父さんはきっと、新しくお家にくる海原くんのためにお庭をきれいにしたかったんでしょうね」
「たとえそうだったとしても、むしったその草を息子の名前にしてますけどね」
そんな苦し紛れのコメントに、海原は眼鏡をクイッとさせつつ正論を返した。ごもっともなツッコミである。
「はは、それを言ったら確かに……。でも、たったそれだけの理由をここまで膨らませて書くなんて、さすがですね」
これ以上名前に触れても仕方ないと踏んだのか、早川は文章力に言及して作文を評価する。明らかにお茶を濁したような手口であったが、当の海原がまんざらでもない様子で眼鏡をクイッとさせているので、これはこれでまあ、いいのだろう。
スッと着席した海原は、そういえば、と青龍寺の方に向き直る。
「青龍寺、さっき何か言いかけてなかったか?」
「……えーと、いえ、なんでもないです」
海原の視線から逃れるように小さく目を伏せつつ、青龍寺は首を振った。
(茂くんの名前の由来は……ごめんなさい)
ちょっと参考にならないかもしれない、と心の中で非礼を詫びながら。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
花村翠
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
15人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年12月07日
参加申し込みの期限
2013年12月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年12月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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