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あの日々の、その先へ・2
並木道を抜けると、シーサイドタウンの通りへとたどり着いた。
振り返るとまだ猫はついてきている。それ自体はほほえましいのだが、
「なんだ、これ……?」
拓郎は足を止め、目をしばたたいた。何かがおかしい。いや、明らかにおかしい。
目の前、正面に青空があった。そう、頭上ではなく『正面』に。
繁華街なので地平線なんて見えるわけがない。だが目線の高さにぽっかり穴があいたように、鮮やかな青空が広がっている。空間は四角、まるで巨大なモニターだ。
「いや、これ……窓……?」
つっかえつっかえ言葉を吐き出しながら、拓郎はさらに目を凝らした。ようやく気づく。ただのショーウィンドウだと。でも、どう見てもただの窓には見えない。そこだけ異次元に通じているように錯覚する。
「どうなってるの?」
もちろん、彩葉もわが目を疑っていた。
ショーウインドウの中の景色がゆっくりと下方へと沈んでいく。カメラ搭載のドローンが降下していくかのように。やがて映し出されたのは、青空を背景にした自分たちの姿だった。
場所にも見覚えがあった。寝子高校舎の壁に手すり、まちがいない。拓郎が言う。
「これ……屋上……だな?」
わずか二年前でしかないのだが、拓郎には遠い昔の光景に思えた。当時の自分は現在よりも、どこか素っ気ないような気だるげな雰囲気があった。もしかしたら、ああやって周囲に壁を作って、楽な世界に逃げこんでいただけかもしれない。
「ほんとだ!」
彩葉も気づいた。寝子高の南校舎の屋上だ。いつからか主として昼休みに、なんとなく屋上に集まるコミュニティができていた。普通科、芸術科、体育科といった垣根を越えて誰でも受け入れられる場所だった。北校舎にも同じような空間があったが、どちらかといえば南のほうが活発だった気がする。集まる目的は特にない。ランチ、昼寝、雑談といったところか。その全部を順ぐりにやる者もあった。猫の集会ではないが、そうやって顔見知りを増やし、友情をはぐくんだものだ。
「わぁ! 懐かしいね!」
反射的に彩葉は声を上げた。驚きよりも、心が懐かしさに染まっていく。
拓郎と初めて出会った場所。
あのころ、私、前髪がいまよりも長かったよね。なぜそうしてたんだろう、本心は見せないよ、ってポーズだったとか――考えすぎかな?
彩葉は、拓郎の自己紹介をいまでも覚えている。
「ん……九組……志波、っていいます」
なんていうか、初々しかったな、拓郎。
私はなんて返事したっけ?
拓郎もまた、彩葉の第一印象を忘れていない。
「ご丁寧にどうもー。四組の高梨彩葉だよ、よろしくー」
って、彩葉さん、言ったんだったな。
一目で恋に落ちた、なんてことはないけれど、印象に残ったのはまちがいなかった。
「科が、ちがうと……あまり、交流ないから、こういう場所は……いいよな」
「だねだねー。ここって色んな科の人たちがきて、いろんな話ができて楽しいんだよね」
会話に花が咲くまで、それほど時間はかからなかったと思う。
ショーウィンドウのなかでは、彩葉がタッパーを取り出していた。フタを開けると、四角や丸形のクッキーが顔を出した。ギザギザ型もあれば、市松模様、小さなハートが描かれたものもあった。プレーン、ココア、ゼリー入り――どれもひとつひとつ丁寧に仕上げられているのはあきらかだ。
「よかったらおひとついかが?」
彩葉は回想し微笑する。
友達ができるきっかけになれば、って思って持っていったんだよね。あのクッキー。
拓郎の頬もゆるんだ。
びっくりしたけど、嬉しかったな。
「このころから、彩葉さんの作るお菓子はとても美味しかった……!」
拓郎が声に出して言ったので、たちまち彩葉ははにかんでしまう。
けっして大きくはないけれど、ぎゅっと甘みの詰まったクッキー。サクサク感してるのに味わいはしっとり、魔法のかかったようなクッキーだった。この出会いがきっかけで、ふたりは親しくなったのだった。
ずっと楽しかった。友達同士で。
拓郎は思う。
でも、恋人同士になってから、もっと楽しくなった。
彩葉さんのことを、『大切なひと』と呼ぶことができる。
彩葉さんも、そう呼んでくれる。隣を歩いてくれる。
……そのすべてのはじまりが、屋上での……この出会いだったな。
南校舎の屋上で、彩葉と拓郎はたくさんの話をした。
授業の話をした。個性的な教師の話もした。部活動、清掃にホームルーム、イベントや行事の数々、はたまた学校七不思議の噂など、話題の種がつきることはなかった。アルバイトや自宅など、学校外の話題もふくめればそれこそ無限にあった。
「あー、最近の数学の授業、志波君はついていけてる?」
「正直、ギリギリ……。高梨さんなら、余裕だと思う」
「いやいや、二時間目なんて急に指名されたんだけど、公式忘れててあせったよ! あと、先生が板書早すぎるんだよね」
「たしかに……。ホワイトボードが、ほしいくらいだ」
こんな風に。
もちろんそのほとんどは雑談だ。頭に浮かび舌にのぼり相手に通じれば、それで役割を終えて空に昇っていくかのような。
こういう会話もあった。
「聞いてよー。今日、教室でジュース倒しちゃった」
「それは、災難だったな。誰か、助けてくれた……?」
「うん、友達がタオル持ってきてくれてね。しばっちだったら、どうしてた?」
「……たぶん、ティッシュで……ごまかしてた、かな」
「それ、絶対ティッシュ足りないじゃん! 机のベタベタが授業中ずっと気になりそう!」
いつしか彩葉が拓郎を呼ぶ名前が、『志波君』から『しばっち』へと変化していた。
拓郎が言う。
「屋上で……色々なことがあった、楽しいことがほとんどだけど……怖いことも恥ずかしいことも、あったね」
「拓郎が恥ずかしがったこと? あ、あれあれ!」
彩葉は一瞬、目を輝かせると、思い出し笑いをこらえきれなくなった。
「どうした……?」
「ふふっ、BLTサンドのことを思い出したんだ」
「うぅ、そういえばそんなことも、あった……」
思い出すだけで顔から火が出そうだ。
こんな会話だった。その日、彩葉のランチはサンドイッチだった。
「今日の私のお昼はサンドだよー。Tがどこかに行ってしまったBLサンドだよー」
BLTサンドを作るつもりだったが、あいにくTを切らしていたんだと彩葉が言ったところ、拓郎は大真面目な顔でこう返したのだった。
「BLTサンドの……T……ああ、チーズか……。でも、BLってのも……十分おいしそう、だな」
想像のななめ上の回答に、彩葉は吹き出してしまったものだ。
「そうだねー、チーズも美味しいよねってちがう! 美味しそうだけどちがう!」
「拓郎ったらTのトマトをかんちがいしてたよね」
いまも彩葉は笑っている。拓郎もつられて笑ってしまった。
「……Tはトマト、Cがチーズ……おかげでトマトとチーズのつづりは絶対にまちがえなくなった……!」
ショーウインドウ内の映像は屋上から離れた。彩葉と拓郎を中心とした記憶の場面へと移行する。春が終わり、雨に濡れる梅雨をへて初夏、そして夏へと。
「恋人になる前は一緒にロールケーキを食べに行ったり、ネコノメスーツを着ている人から逃げたりと色々あったよねぇ」
彩葉の言葉にあわせるように、映像は切り替わっていった。
あのときは仲のいい友達だったけど、いつの間にか好きな人になっていたんだ――。
万感の想いをこめて彩葉は言った。
「本当、色々あったよ」
同時にさりげなく、拓郎の手を握っている。
「うん、あった、な……」
拓郎も握りかえした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
桂木京介
阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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