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あの日々の、その先へ・1
たとえばこれが「今世紀最高の青空」だと言っても、誰も文句は言わないと思う。いや、むしろそうであってほしいと
志波 拓郎
は思う。
春風が静かに吹き、空は深く澄んでいた。それだけのことだけれど、たぶん、それがすべてだった。
「晴れて、よかった」
拓郎が言うと、隣を歩く
高梨 彩葉
が満面の笑みでうなずいた。
「うんっ、とってもいい天気!」
彩葉の元気のいい声は、今日の天気に負けていない。
これが俺たちの日常、と拓郎は思った。いつものように始まり、いつものように終わるだろう小さなデート。それでも、それがどれだけ大事なことか拓郎はわかっているつもりだ。
だけどこの『いつも』にも、そろそろ区切りをつけるときがくるだろう。
もう三月は終わろうとしているからだ。寝子島高校生としてすごすデートは、たぶんこれが最後になる。
わかってる。
大学生になったって彩葉さんとの関係が変わるわけじゃない。ずっと一緒だ。恋人同士なんだから。
なのに拓郎の胸の奥には、説明のつかない何かがわだかまっていた。ほろ苦いというには尖りがあって、それでいて捨てきれない余韻がある――そんな感覚だ。
……いやいや、俺は何を勝手にしんみりしてるんだ?
拓郎は自分にチョップを入れたくなった。彼女はこんなこと微塵も感じてないはずだ。
ところがあにはからんや、拓郎が知らないだけで、実は彩葉も同じようなことを考えていたのだ。
これが高校生最後のデートだって思うと、ちょっとだけ寂しい気持ちになっちゃうね……。
もちろん気持ちはおくびにも出さない。だから彩葉は、普段より一割増しではしゃいでみせていた。拓郎に余計な気をまわさせたくなかったから。
他愛もない会話がとだえたあたりで、彩葉はふと立ち止まり、顔を上げた。蒼穹を見つめる横顔が、どこか物思いにふけっているように見える。
「どうかした……?」
「拓郎、あれ見て!」彩葉は声を上げた。
「えっ……」
「あの桜めっちゃいい!」
「えっ」
彼女が指さした先を見ると、ひときわ大きな桜が青空を背景に、燃えるようにその存在を誇示していた。風に乗り流れる花びらは、ちょっとした特撮映画のワンシーンみたいだ。
「ほんとだ……すごいな」
「でしょ! あの桜、写真撮りたい!」
彩葉はスマホを取り出し、指先を踊らせるように次々とシャッターを切った。彼女の頬にさす花びらの影が、見えない絵筆で春の息吹を写し取っている。夢中でシャッターを切る彩葉を見ていると、拓郎の胸のどこかが小さく『パチン』と弾けた。まるで、心臓に隠れていたシャボン玉がひとつ割れたみたいに。
ああ、やっぱり俺、彩葉さんの笑顔には勝てないな。
「綺麗だと思わない?」
「うん、すごく綺麗だ……」
もちろん拓郎は、桜を指して言ったのではない。
桜の花びらのあいだからさしこむ光が彩葉の茶色い髪に反射し、金色に輝いて見える。
「どうしたの? ぼーっとして」
「い、いや、なんでも、ない」
拓郎は視線をそらした。『彩葉さんの姿にのぼせて』なんて、正直に告白するのはさすがに照れくさすぎる。
このとき、ひらひらと舞い降りる桜の花びらの隙間から、ゆらりと小さな影がまろびでた。
猫だ。いつの間にかそこにいたのだ。静かにふたりを見つめていた。毛並みは桜色で、花びらと見分けがつかないほどだ。
猫は時間の狭間からあらわれた幻のように、軽やかなしっぽの動きで風をならしている。
「わあ、変わった色の猫ちゃんだね?」
「猫でも桜色なんて、あるんだ」
猫はわずかにあごをしゃくった。「そうだよ」とでも言っているかのようように。
「おいでー」
彩葉がしゃがみこむと、猫はのそのそとふたりに近づいてきた。
ところが彩葉が手を伸ばすと、猫はさっと後退するのである。拓郎に対しても同じだ。ある程度以上近づくと、背を見せ離れてむきなおる。
「さわられたくはない……という、意味かな」
「でも、逃げるわけじゃないね?」
距離を取ってみると、その分だけ猫は近づいてきたからだ。だが近づけば遠ざかり、離れればまた近づいてくる。必然的に彩葉と拓郎の動きは猫に先導されている。見えない糸であやつられているかのようだった。
なでるのをあきらめ歩きだしてみれば、やはり一定の距離をたもったまま猫はついてきた。
「もしかして、お腹ぺこぺこ?」
彩葉が振り返りながら声をかけると、猫は気のない様子で短くうなった。
「ちがう、って言ってる、みたい、だぞ……?」
猫の好きにさせることにして、かくしてふたりと一匹は、道連れになって桜並木を歩いた。
右手に桜、左手にも桜、まるで桜のトンネルだ。アスファルトに散らばる薄紅色の花びらが足元で跳ね、彩葉は小さく笑った。
「ねえ、拓郎。これって映画みたいじゃない?」
「映画……うん、これ、ドキュメンタリー映画、って感じかも」
拓郎が照れたように顔をそらすと、彩葉はくすくすと笑った。
風がひとつ吹き抜け、枝からいっせいに花びらが舞い散った。淡いピンクの粒子が空気を染め、ふたりの髪や肩に降り積もる。
「おっと」
彩葉は拓郎の肩に手を伸ばし、ひらりと落ちた花びらを摘み取ると、自分の髪にも指を滑らせて散りついた花びらを払い落とした。
「なんか……こういうのって、いいな」
「わかるっ」
彩葉は両腕をひろげて春を吸いこんだ。
「なんか、いいよねっ!」
咲きほこる桜、花びらの舞う空、そしてちょこちょこついてくる猫までもが、春の光景に溶けこんでいる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
桂木京介
阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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