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かぞく・3
ショーウィンドウのむこうでは、緑がやわらかな息を立てている。
さしかかる若葉は光をまとい、きらめき、まるでガラス細工の夢のようだ。風が通り抜けるたび五人の髪や服は、秘密の約束を交わし合うようにそよぐ。空の青は深く、無限の静寂のなかに沈んでいた。陽の光は糸のように細い。生み出される陰影は淡いながらも、丁寧に編みあげられた織物にも似ていた。
景色全体をつつむ空気は薄く霧がかっている。それはまるで、時間そのものがこの場所で立ち止まり、過去と現在、現実と記憶を織り交ぜて一枚の絵を描いているかのようだ。ショーウィンドウに映る彼ら自身の姿も風景に溶けこみ、調和を生み出しているではないか。
「……」
レオンは深呼吸した。
やっぱり、一年前の姿だよな。そうだとわかる。
まあこうして、なんていうか客観的に(?)動くスナップショットみたいな状態を眺めるのはもちろんはじめてだけど。
「ねえ、あの時期の私たちだよね」
レオナも気がついたらしい。同意を求めるように肘でレオンをつついた。
「去年の春ごろか」
と応じたレオンの言葉をカノンが継ぐ。
「あそこに見えるおれたち、ちょうどねーちゃんがうちに来たころだ!」
「そうね。私が生まれてすぐくらい」
突拍子もない話に聞こえるのは当然だ。だが事実なのだから仕方がない。
当時の話をしよう。
かつて、レオナはこの世に存在していなかった。
レオナはレオンの双子の妹ということになっているし戸籍上にもそう記されている。だが実際には、彼女はレオンから分離したもうひとりのレオン、それも女性版のレオンなのである。ユング的に言うアニマに近い存在かもしれない。絶神が引き起こした騒動が、レオンをふたりに分けたのだ。しかしレオナは、単なるレオンのコピーではなかった。独自の性格と意志を持つ女性だ。
世界は、彼女が最初から存在していたかのように改変された。なぜか事情を知っているカノンや当人たち以外には、レオナの存在に疑問をいだく者はなかった。
顔はよく似ている。ただし性格まで同じかと言えばそうではない。むしろ異なる部分のほうが目立つくらいだ。レオンとは意見が衝突することも少なくなく、趣味嗜好もしばしば差違を生じる。
たとえば、レオンが感性を重んじ、直感で行動することが多いのに対し、レオナは合理性を重視し、現実的な選択をする傾向があった。レオンが熱中するゲームや漫画は、レオナにとってはしばしば退屈であり、逆にレオナが楽しむ本や音楽は、レオンにはどこかつかみどころのないものに思えた。それでも、互いの趣味を奇妙に思いつつも「案外いいじゃないか」「思ってたよりいいかも」と最後には互いを認めあう。それが彼らの日常に新たな発見をもたらしている。また、裁縫とお菓子作りという共通の趣味はしっかりと根を張り、レオンとレオナの絆を支える軸となっていた。
とはいえもちろん、レオナとの初遭遇はレオンにとって実存的な問いと混乱を引き起こした。突然引き裂かれた自我に、精神が崩壊してもおかしくない状況だった。
けれどレオンはそこまでやわではなかった。初顔合わせとなったその日ただちに、
「あーもう! やるしかねえ! 行くぞ!」
意地悪に言えば開き直り、前向きに言えば全肯定の精神で双子の妹を認めたのである。よくよく考えてみれば、気心知れたきょうだいがひとり増えただけのことだ。賑やかで結構! とレオンは早々に結論を出していた。
かくして絶神騒動のさなか、悩む前に行動するほうをレオンは選んだし、同じ起源をもつ身ゆえ、レオナも兄と肩を並べることをためらわなかった。
困惑したのはカノンだった。
ねーちゃんが、おれのあとから生まれたなんて!?
頭では理解できても心が追いつかない。生き別れの姉が見つかった、という話ならまだ受け入れやすかっただろう。「実は兄は双子でした」と告げられるのは別次元の話だ。
正直、兄を半分奪われたような気持ちもあった。
だが間もなくカノンは、レオナの中にレオンとの共通点を見つけはじめた。たとえば、隠しきれない真面目さだ。レオンはそれが不良っぽさとして、レオナはクールさとしてあらわれてしまう。
だから数日も経つころには、カノンもレオナと親しくなりたいと思うようになった。
でもその方法が問題だ。
兄とは気軽に遊び、アニメやゲームの話で盛り上がってきたが、レオナにはどこか距離を感じてしまう。見た目は兄と似ているのに、話しかけるきっかけがつかめないのだ。
どうすりゃいいんだ、あの冷静沈着なねーちゃん相手に……。
その夜、カノンはスマホをいじる手を止め、天井を見上げていた。ゲームで攻略対象が出てくるイベント待ちみたいに、自然なチャンスを待つことができればいいのだが、あいにくこれは現実、チャンスカードなんて降ってこない。
夕食後のリビングだった。レオンをはじめとした家族が思い思いにすごすなか、レオナはずっとファッション雑誌を読んでいた。テレビがついているのだが一瞥さえもしない。カノンにはよくわからないのだが、ずっと読んでいるようなので面白いのだろう。
――そうだ、買い物!
カノンは勢いよく立ち上がった。ファッションは得意分野ではないけれど、レオナと一緒に行けば何かが変わるかもしれない。タイミングよく、シーサイドタウンではスプリングセールがはじまったばかりだ。
「ねーちゃん、今度の休みに買い物行こうよ」
まだ『ねーちゃん』と呼ぶのには慣れないが、自然に言えたとカノンは思った。
レオナは一瞬、目をぱちくりさせるもすぐにほほえんだ。
「ふーん、カノンがそんなことを言うなんてね。雪でも降るかしら?」
肩をすくめる仕草は、喜びをこらえている風でもある。
「ねーちゃんが好きそうな店、知りたくてさ。あと、俺も少しはオシャレしてみようかなって」
照れ隠しのつもりで言うと、レオナの微笑がやわらかみを増した気がした。
かくして、ショッピングという名のお出かけ計画をカノンはレオンに願い出たのである。
「にーちゃん連れてってくれよー」
「服の買い物? そりゃいいな」
レオンはふたつ返事だ。
いいことだとレオンは思った。レオナもクローゼットはあるけれど、入っているものはすべて『前からあった』ことになっているものばかりだ。新しい服が必要だろう。
その言葉も終わらぬうちに、
「えー、買い物行くの? 僕も行きたい!」
飛びこんできたのはましろだ。目を輝かせながらレオンを見ている。
「ねえ、パパ、ぼくもいいでしょ?」
「テレビに集中してると思ったが……聞き耳立ててたな?」
「だって面白そうだもーん」
面白そう、この無敵の理由を誰がこばめよう。
「私も行ってみたいな~」今度はねねが顔をのぞかせた。「レオナの服、選んでみたいし。保護者としてね」
「保護者、ね」
レオンは六歳姿のねねを見おろして反射的に片眉を上げたが、突っ込むのはやめておくことにした。こういうときねねは大真面目なのだ。断れる道理はなかろう。
「わかったわかった! じゃあみんなで行くぞ」
レオンが声を上げると、わーいとカノンは両手を挙げ、レオナはみんなを見渡しながら「ふふっ、楽しそうね」と柔らかく笑った。その表情に、ほんのりと期待がにじんでいた。
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担当ゲームマスター
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阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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