this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
もうひとつの卒業、桜色のにゃあ
<< もどる
1
…
53
54
55
56
57
…
68
つぎへ >>
縁(えにし)の花びら・2
猫は道哉に頓着せぬようすで遠ざかっていく。
たまらず道哉は声をかけた。
「やあ、これは見ない毛色のお嬢さん」
ぴたりと猫は足を止めた。道哉を見あげたが驚く様子はない。
天才は天才を知る、という。
そして猫は猫を知る。つまり自分が目にしているのは人間ではなく、猫なのだとわかっていたのだろう。ただしくは、猫から転じた猫又だが。
「や、呼び止めてしまって失礼。お嬢さんで合ってるかい? 宝石のような瞳にあまりにもしなやかな桜色の毛並みでついつい見とれてしまったよ」
桜色の猫は『そうだけど』というような言葉を返した。『何かご用?』とも。
なんだか『なんぱ』しているみたいだ。そういうつもりじゃないんだけど――とは思いつつ、道哉の口調はますますなめらかに、『なんぱ』調になっていく。
「私は三毛谷道哉、まあこれは雄の三毛だったことに由来する雅号のようなものでね。好きに呼んでくれていいよ、『みっちぃ』とか。お嬢さんのご芳名をお聞かせ願えれば幸い」
「にゃあ」
猫は口を開けた。
ただの人間なら、猫が鳴いたと思うだけだ。しかし道哉なら理解できる。
「なるほど『にゃあ』とおっしゃるわけか。さしずめ、『桜色のにゃあ』とでもなるのかな?」
フンと猫は鼻を鳴らした。すくなくとも、怒っているわけではないようだ。
「袖すり合うも多生の縁、これは人間のことわざでね。われわれの場合は尾すり合う、とでも言うべきか。偶然とはいえ通りがかったのも縁(えにし)というものだろう。どこかへ行くのなら、私が案内しよう。なあにこれでもなかなか長生きしているものだから、道には詳しいのだよ」
『何言ってるの』ぴしゃりとにゃあ女史は言った。『ここがどこかも知らないくせに』
なんとも手厳しい。
「これは一本取られた。白状するとその通りだ。うっかり迷いこんだらしい。寝子島には私も知らない秘密の場所がたくさんあるんだよ」
『まあいいわ。正直なのだけは、気に入った』
にゃあは行きかけた道を戻ってきた。
『あなた、このままじゃこの場所に閉じこめられるよ』
「おっと、穏やかじゃないねぇ」
『元の場所に帰れなくなるかも。怖くないの?』
「楽天的なんだよ。閉じこめられるという体験も、ある種の退屈しのぎになりそうだし」
『変な猫』
「よく言われる」
にゃあは軽く跳躍して、桜の根元の土嚢に飛び乗った。
『じゃあ、花びらにふれて』
と言うにゃあの背に、一枚の花びらが舞い降りた。花びらは背に乗る。乗った部分がほのかに光った。桜色の光だ。
「おや、この花びらにふれると他の猫も桜色の毛並みも変わってしまうのかい?」
『そうね』
「ほう。やるのも悪くないが、私は自分の三毛猫柄を愛してるし避けれるうちは避けておこうか」
『そうはいかない』
桜色の猫はひょうと飛びかかってきた。道哉は反射的に飛び退く。したっと四本の足で着地する。
四本の足?
なぜか道哉は、本来の姿に戻っていたのである。雄の三毛猫、ただし尾は二股にわかれている。
『悪いけど、桜にさわってもらうから』にゃあは追ってくる。
「強いられると逃げたくなるのは性(さが)というものかなあ」道哉はまた逃げる。
追う。逃げる。
飛びかかる。飛んでかわす。
躍る影、追いつ追われつ。
走る牙、爪が空を切る。
「おっと」
だんだんにゃあの動きは鋭さを増していった。だが道哉はご機嫌だった。
降ってくる桜を軽快にかわし、からからと笑ったのである。
「ある意味、鬼ごっこだね。どこまで持つかな」
猫の世界では、これはじゃれあっているに等しい。本当にケンカなら、にゃあは毛を逆立てているだろう。
『なかなかやるね!』
なら、と道標に飛び乗ったにゃあだったが、足をつるりとすべらせた。
『あっ!』
着地したが、前脚でもくじいたのかうずくまっている。
「大丈夫かい!?」
駆け寄った道哉の背に、桜の花びらがひらりと乗った。
『ひっかかった』
桜色のにゃあは顔を上げ、片目をつぶってみせた。
「やあ、ひっかけられたね」
いやはやと道哉は、照れ隠しのように毛づくろいをするのである。花弁がふれた部分から、体がほのかに温かい。
「おやおや、お仲間になってしまったよ」
道哉の毛色は変化した。自慢の三毛が桜色の一色だ。といっても、本来の柄にあわせて濃淡があるので考えようによっては三毛のままではある。
『行きましょ』
言うなりにゃあは歩き出し、神社の鳥居をくぐった。
「おっと、待ってくれ」
デートだねと道哉は笑いかけ、にゃあとならんで石畳を歩いた。
しばらく行くと鳥居があって、くぐった先にも鳥居があった。鳥居の間隔はだんだんと近くなっていく。
「興味深い旅路だねぇ。面白いものが見られそうだ」
『もうすぐよ』
やがて間隔なくぴったりと大量の鳥居がくっついている空間、いわば鳥居のトンネルを抜けた。
「なるほど。こういうわけだったか」
気がつけば、温かい感覚が消えていた。前脚を見れば元の毛色だ。
さらに、いつの間にか道哉は懐手して二本の足で歩いていた。
道哉は迷いこむ前の旧市街にいる。見覚えのある場所だが、あの三叉路は消え失せていた。
「桜色にならなければ、元に戻れないってことだね」
そうよ、とにゃあの声が聞えた。
「簡単なしかけだったのか。白状するけど、閉じこめられるって言われて、おびえていたんだけどね」
あら、楽天的って自称してなかった――?
風にまじってにゃあの声がしたような気がしたが、すでに彼女の姿は消えていた。
「だったかな」
道哉は山高帽の縁に手をかけた。
「もう忘れてしまったよ」
<< もどる
1
…
53
54
55
56
57
…
68
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
もうひとつの卒業、桜色のにゃあ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
桂木京介
阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!