this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
もうひとつの卒業、桜色のにゃあ
<< もどる
1
…
52
53
54
55
56
…
68
つぎへ >>
縁(えにし)の花びら・1
夏はいいものだし冬も風情がある。秋だって、毎年目を楽しませてくれる季節だ。
でも春は格別だと、
三毛谷 道哉
は思うのである。
春は生命の季節だ。土の下で冬に耐えていた種子が、芽を出し寒さからの解放をうたう。鳥は恋のさえずりをかわし、未来を託すべき卵を温める。ひりつくような北風が、慈愛の母みたいに優しい春風へと変わる。世界は、この季節にしかない喜びに満ちている。
かつては人の世も、春の喜びをわかちあっていたものだ。すくなくとも、道哉が生まれたころはそうだった。
なのに、なんともせわしないものだねぇ……人の世は。
前は駅前にももっとゆったりした時間が流れていたかと思ったが。
あのひどい戦争のころから、人間はずいぶんと忙しくなった。春を楽しむゆとりなんてないほどに。
寺の鐘を溶かして武器を作り、若者をどんどん死地に送り出した。食料供給は干上がり、戦争末期のころにはもう、春はただ、飢えを満たす植物ができる季節でしかなくなっていた。
戦争が終わってようやくゆとりができたかと思いきや、やはり戦争にかわりはなかった。題目が経済戦争になっただけだ。会社に一斉採用される『さらりーまん』なる種族が登場し、判で押したように同じような襟締(ねくたい)を締めて背広(すうつ)を着て、汗をかきかき走りまわるようになった。ことは『さらりーまん』に限らない。子どもは受験戦争に追い立てられ汗をちらし、『専業主婦』なる女性たちは、夫子どもを銃後で支えるのに汗を流していた。みんな汗まみれではないか。まるで、汗をかくことが人間の証明であるかのように。
時代とともに彼らの態様は変様し、人々の割合はずいぶん増減した(たとえば、専業主婦は減って、いまや男女平等にさらりーまんばかりになった)が、やっぱり彼らはジタバタと走りまわって汗をかいている。『すまほ』なる板きれを暇さえあればのぞきこみ、表示された文字なり映像なりを見ては騒ぐ。
そんなに楽しいものなのか、気になって道哉は、人が使う『すまほ』をのぞき見たことがある。一度となく、ある。
のぞくたび毎回、道哉は具合が悪くなった。高速で情報が流れていたから。株価がどうの、税金がどうの、文化、運動、芸能、すべて情報の洪水だ。この情報ひとつひとつにいちいち送り手がいて、休まず流しているのかと思えば絶望的な気分にもなる。
しかも大抵は悲観的な内容なのだ。どこかの国の戦争、殺人、犯罪、汚職だの不倫だの、どうしてひどい話ばかりなのか。『えすえぬえす』の『たいむらいん』なるものの意味は道哉にはさっぱり理解できなかったが、ある人が『すまほ』で見ている言論が、特定の国の人を犯罪者よばわりしたり、障がいがある人を『税金の無駄づかい』と攻撃するような憎悪に満ちたものばかりなのを見て毒気にあてられ、その場にへたりこみそうになったくらいだ。
せっかくの春が寂しがってるよ。
みんなに見てもらいたくて、気に留めてほしくて。
道哉にはそんな風に思えてならなかった。
開発されたシーサイドタウンはともかくとして、風情の残る旧市街ですら、せかせか歩く人ばかりなのはどうしたものか。『すまほ』ばかり見て歩いている人は、道ばたの石につまずかないだろうか。
汗をかきたい人は表通りを行ったらいい。
私は、ゆるりと裏通りを散歩することにするよ。
そこまで直進していた道哉は、ふいに三叉路を曲がってみた。
しん、としずまりかえった道をゆく。通行人はほとんどいない。だから必然的に、あの『すまほ』もここでは幅をきかせていない。それだけでもずいぶんと落ち着くものだ。
こんな道は以前なかった気がする。しかしずっと前から存在しているような古びた道だった。土瀝青(あすふぁると)のほころび具合も、苔むした壁も好みだ。
参詣者のなさそうな小さな神社、見覚えのない色使いの自動販売機、文字が消えてしまった道標に道ばたの地蔵、すべてに味わいがあった。
道哉は足を止めた。
見あげる。感銘のため息をついた。
桜の花か。
ひらりと一枚、目の前に桜の花びらが舞い落ちてきた。
桜の木がある。
表通りにもたくさん、花をつけた桜があったものだが、ここにはこのひとつだけだ。大きな木ではない。むしろひょろりとして背も低く、ひっそりと隠れるように立っている木だった。正直、頼りない姿でもある。根元に白い袋入りの土嚢が積み上げられているのは、木が倒れないよう支えているものなのだろうか。
だが一目してたちまち、道哉はこの桜が気に入った。
春の喜びを全身で表現している――そう思ったからだ。
「おや」
道哉の着流しの裾が、すりっと揺れた。
ふれるかふれないかの場所を、猫が通過したのだった。
ただの猫ではない。猫は、桜色の毛並みをしていた。
<< もどる
1
…
52
53
54
55
56
…
68
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
もうひとつの卒業、桜色のにゃあ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
桂木京介
阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!