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桜の下で君と笑おう・1
青空からはらり舞い散る桜に重なるは、いつかの老いた桜。
月と篝火を浴びて紅く皓く色づく桜を、
鴻上 彰尋
は瞼の裏に思う。
もう随分と前のようにも、ほんの幾許かの季節が過ぎただけのようにも思える、桜まつりのあの日。
月夜の三夜湖で、不思議なお城を見た。
巨大な白猫が桜の大木の下で香箱を組んでうたた寝しているようにも見える城――その昔、一夜にして消え失せたとされ、今は幻と呼ばれる八夜城。
桜の季節の一夜にだけ三夜湖の央に現れるその城に迷い込めば、異界より一年の一度だけ現世にまろび出る戦国の世のままの城の住人たちと共、宴の一夜を過ごすことが出来る。
(夢みたいだった)
眠り猫城を背に、月の煌めく湖を渡って来る舟は一服の絵のようだった。
船に立つは深く笠を被った老船頭。
――あれなるは八ヶ淵の殿様と千年桜の姫様の八夜城
異界からの来訪者じみた舟と船頭に言葉を失くして立ち尽くす彰尋に芝居じみた口調で言って、彼は笑った。
――坊ちゃん、行ってみるかね?
突如として現れた城に見惚れるまま、誘われるままに舟に乗り、湖を渡った。戻れるのかと不安に駆られるほど、千年桜に護られ月に照らし出された白亜の城は美しかった。
楽し気に古い唄を歌う老船頭に不安をそっと口にすると、
――もちろん! きちんと帰すから思うさま楽しんでっとくれ
老船頭は朗らかに笑った。
――そしたら坊ちゃんもきっとまた遊びに来てくれるだろ?
いつか、と言った彼は彰尋の僅かな畏怖を除こうとおどけているようにも、『いつか』を心から願っているようにも見えた。
(いつか――)
春色の空を仰ぐ。爛漫の桜と桜の咲く公園を囲む住宅の屋根の先に見える九夜山を見遣る。木々に隠れた三夜湖までは見えないけれど、月の美しい桜の夜にいつかまたあの城を訪うことが出来たら――
あの日のように桜の宴に興じる八夜城の人々に、あの日のように桜の舞台を楽しむ人々に、今度はどんな一幕を供することが出来るだろう。
(あの日のフジコ先生のような)
歳月のうちにところどころ朧気となったあの老桜の城の記憶の中、きっと生涯忘れ得ぬ光景がある。
月と篝火に照らし出され、今や時代劇や祭りでしかお目にかかれなくなった衣装を纏った人々に囲まれた即興の舞台。はらはらと散る桜を背に一分の隙も無い完璧なお辞儀をしてみせるは、
富士山 権蔵
――伝説とも称される演劇集団『野良猫座』の座長。
とうに解散し、最早この目で見ること叶わぬと思っていた『野良猫座』富士山権蔵の演技を、彰尋は確かにあの日、偶然とは言え目にした。
無言のままに鍛え上げられた筋肉を躍動させ、無表情のままにその身体だけで全てを物語ってみせた。彰尋だけでなく、すべての観客の目をくぎ付けにしてみせた。
指先から爪先まで、瞬きのひとつ、まなざしのひとつまで、すべてが計算され尽くした動きだった。観る者の目も心も奪う恐ろしい演技だった。
(あんな演技が出来たら)
温かな春の空気を胸に満たす。
伏せていた瞼をもたげる。
目前にあるのは桜に囲まれた公園の芝生広場で、そこは舞台役者であった祖父の遺した台本を手に時折演技練習をしている場のひとつ。
桜が舞う。
昼下がりの公園のうららかな景色を頭の中で一変、篝火に照らし出された夜へと書き換える。
あれは怒りの演技だった。
ままならぬすべてを殺そうとする男の所作だった。それが叶わずまなざしばかりを研ぎ澄まし、目に映るすべてを憎み、けれど憎み切れずに天へと拳を突き上げる。天を弑すること能わず、命の炎が吹き消されるように膝を折り――
もう一度、すべてを見つめる。
そのまなざしにあったのは、憎悪の果てに行き着いた静寂。
(……だった、と思うけれど)
慈悲のまなざしであったようにも思う。ただ、己にフジコ先生の演技のすべてを読み切ることはまだできなかった。なにかが足りないのは分かっていて、なにが足りないのかもわからない。
演技に傾けていた全身の身体の力を溜息と共に払いのける。
桜と共に寄せる春風は気まぐれに冷たいのに、全身から汗が噴き出した。もう一度息を吐いて、たまらず芝生に仰向けに倒れ込む。
(悔しい、と思うのも烏滸がましい気がする)
そこに至るには、まだなにもかも足りない。
「難しいな……」
役者を目指すことを決め、経験を積むために木天蓼大学芸術学部へ進学した。合格通知を受け取り、卒業式まであと数日。
大学入学の準備もほとんど終えた。自由登校の期間でもあるここ最近は、家事や勉強に時間を取られていたこれまでになかったほど時間を持て余している。
であればといつもの場所で演技の練習をしてみてはいるものの、練習に打ち込めば打ち込むほど自分の未熟さが透けて見える気がした。
知らず切れていた息を整える。演技に入り込めば入り込むほど、体力が持っていかれる。ほんの数分、台詞さえない演技だというのに。
汗ばんだ額をてのひらで拭おうとしたとき、ひやり、頬に冷たいペットボトルが触れた。
「わ、」
驚きの声を上げて瞠った目に、
「こんにちは、彰尋くん」
春風に元気よく跳ねるツインテールの髪が見えた。春空よりも鮮やかな青の色した大きな瞳がおおらかに笑って覗き込んでくる。
「あおいさん」
卒業式に会うか、勇気を振り絞って誘い出すかくらいしか考えつけていなかった同学年の少女の笑顔を目前に、彰尋はますます目を丸くする。
「え、……あおい、さん?」
「うん、あおいさんだよ。これは差し入れ」
ふふ、と悪戯っぽく笑った
七夜 あおい
は、仰向けに倒れたまま動かぬ彰尋の隣にすとんと腰を下ろした。
どうぞ、と胸の上にペットボトル入りの冷たいスポーツ飲料を置かれ、彰尋は両手でそれを持つ。
「お花見しようってお散歩してたら、芝生広場に彰尋くんが見えて」
芝生広場を囲む桜を見渡す横顔が少しばかり寂しげに見えた。
あおいは九州の福祉系専門学校を志望し、推薦合格を得ている。それはすなわち、卒業式が終わったら彼女は寝子島からいなくなるということ。
両手で膝を抱えていたかと思えば、あおいは芝生の上にぱたんと倒れた。空色の瞳に空を映し、鮮やかに笑う。
「すごいね、見惚れちゃった」
想いを抱く女の子からそう言われ、彰尋は演技の疲労ではない熱が頬に上るのを感じた。
「何の演技かは分からなかったけど、」
そう言いながらあおいは空へ手を伸ばす。空を掴もうとした細い指先がぎゅっと握り込まれて小さな拳となる。
「なんかすごかった!」
「そう、かな……」
「そうだよ」
俺なんか、と言いかけた唇を彰尋は引き結ぶ。掌に触れるペットボトルの冷たさが心地よかった。
「ありがとう、あおいさん」
「どういたしまして」
顔を横に向けると思っていたより近くにお互いの顔をあって、お互いになんとなく照れくさくなってふたりは笑いあう。
「あおいさん」
「ん?」
「この後、時間あるかな?」
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担当ゲームマスター
笈地 行
桂木京介
阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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