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思い出の数だけ・2
テーブルの上には、データを整理しているうちに思い立ってプリントアウトした写真が何枚か。
(この写真……)
目についた写真を一枚手に取り、水樹はそこに写る自身を眺める。
臙脂のコート姿で後ろ手にナニカを隠し、どこか気まずそうに心配そうに目を伏せている、きっとあの日のほんの一瞬を切り取った写真。
(出会って最初のバレンタインデーの時よね)
自身の服装や背景となっているショッピングモールのショーウィンドゥを飾るバルーンの文字やキラキラしたオーナメントから写真撮影の日時を読み取りつつ、水樹はムムムと眉間に皺を寄せる。
(あの時は本当に冷や汗をかいた)
チョコレートを贈ろうと決め、それはもう張り切って自分でチョコレートを作ってわくわくどきどきでラッピングして、その出来栄えに満足したまでは良かった。
――甘いものって大丈夫だった?
そう気づくまでは。
(自分の迂闊さを呪ったわよね……)
完璧にラッピングした甘い贈り物を目前に、
――事前に聞いておけばよかった?
――もし甘いもの駄目だったら?
次々と湧きだす不安に頭を抱えたことをよく覚えている。
それでも折角作ったんだし、こんなに上手に包めたんだし、と自分を奮い立たせ――その当日の顔がこれだ。
己の不安を、きっとほんの一瞬だけしか見せなかったはずの不安を写し取るヒューのフォトグラファーとしての腕に水樹は舌を巻く。
(まあ、幸い)
ちらりと傍らのヒューの横顔を見遣る。
(甘いもの大丈夫だったのでよかったけれど……)
脳裏に蘇ったちょっぴり苦くて甘い記憶に唇をしょっぱいかたちにしつつ、水樹はヒューが手にしている写真を覗き込む。
真夏の日差しの中の水樹は、タンクトップに薄手のパーカーのラフな姿をしている。
「初夏っぽいね」
「何度目かのデートの時かな」
入道雲の沸き立つ水平線を背に、水樹は空になったラムネの瓶を逆さに振っている。夏の太陽を反射させてキラキラ光る瓶の中には、まん丸のビー玉。
ビー玉を欲しそうに見つめるまなざしはあどけない少女のように無邪気で透明で、
「こういう表情が似合う人はそう滅多にいない」
写真を見つめるうち、ぽつり、正直な感想が零れて落ちた。それくらいに、写真のひとは可愛らしくて綺麗だった。
「……褒めてる?」
「とても褒めてる」
傍らから聞こえた不満気な口調に大きく頷いて返す。
「撮ったときは何となくという感じで撮っただけだけど、」
写真の中のかわいいひとのちょっぴりむくれるように膨らんだ頬を指先にそっと撫でる。
「そういうのが案外、あとから印象に残ったりする」
どこかに飾っておこうかなとテーブルの端に写真をそっと置いた途端、写真ではないほんものの水樹がぎゅっと抱き着いて来た。写真の中の自分に嫉妬したようにぐいぐいと頬を胸に押し付けられ、ヒューは笑う。
てのひらで柔らかな頬に触れる。一瞬で満足そうな表情をする水樹にカメラを向けたい気分になりながら、ヒューはもう一枚の写真を手に取る。
それは列車の窓際の席で眠っている斜め横顔を撮ったもの。
「……これとこれ、あとは……」
ヒューが手にした写真をしばらく一緒に見ていた水樹がテーブルに手を伸ばす。
「連作ね」
「連作だ」
目が覚めた瞬間の眠たげな顔、うつらうつらと睫毛を伏せている横顔、ぼんやりと窓の外を眺めながら覚醒しつつある顔、そうして最後には目が覚めてふんわりと微笑みかけて来る顔。
東京からの帰りの横須賀線の車内だったように思う。
一瞬一瞬を丁寧に写し取りながら、シャッターを切るたびにキスの雨を降らせているような数枚の写真。
「……プライベートショットだ」
シャッターを切ったときの自分の感情が溢れ出るような写真が面映ゆくなってきて、ヒューは並べて広げていた写真をてのひらの中でまとめる。
「恥ずかしいけど、いい写真ね」
くすりと水樹が微笑んで、それがヒューにはますます照れくさかった。
まとめて置いた写真の隣、健やかに眠る水樹の写真と並ぶのは、
「……なんでこんなに仏頂面してるの?」
分かりやすく落ち込んだ表情をしている写真。
こちらも列車の――おそらくは東京へ向かう車中だったかと水樹は記憶を辿る。
(まだモデル兼大学生だった頃よね)
フォトグラファーであるヒューと仕事が重なることが時たまあった。その多くは東京へ向かう仕事で、そういうときは行き帰りに同じ電車に乗ることも少なくなかった。
この写真は確か、
(東京行きの電車だった、……と思う)
乗り換え駅で偶然ヒューに出会ったことが嬉しくて、車内で隣り合って座れたことが嬉しくて、内心にすごくはしゃいでいた。もしかしたら傍から見てもご機嫌に見えていたかもしれない。
列車の窓から見えるのは早朝の白い光に照らし出された街並みだった。
隣に座るのは、その当時は横顔を見つめるだけで、目が合うだけで顔が赤くなってしまうくらい大好きなひとだった。
(……それは今もか)
自分に小さく突っ込みつつ、水樹は写真の中で仏頂面をする自分の頬を指先で弾く。こんな不細工な顔、と恥ずかし紛れに思うものの、妙に愛嬌があるような可愛げがあるような表情に見えてしまうのは撮影者の腕が良いせいか。
(ううう……)
大好きな彼と乗り合わせた電車は、けれど途中で緊急停止した。
車輪が軋む音と大きく揺れる車内に大人げなく驚いてしまったことを思い出す。好きなひとの前では凛として格好良くいたかったのに、
(ああもう、穴があったら入りたい)
その直後に流れた運行遅延のアナウンスにもますます狼狽えてしまった。不可抗力とはいえ撮影に遅刻してしまうと焦って落ち込んで、
(そうだ、結局)
格好をつけたい相手に慰めてもらった。励ましてもらった。
――大丈夫だ。大丈夫じゃなかったら一緒に謝ろう
普段真面目で控えめなヒューがそう言って笑ってくれたから、あのときは笑うことが出来た。それはとてもありがたかったし、ますます好きになった、――とはいえ、
「なんであの時の仏頂面を写真なんかに!?」
これってどういうつもり、と写真を手に水樹はヒューに詰め寄る。
「説明してもらいましょうか?」
「……ええと」
水樹に圧し掛かられる体勢になりながら、ヒューは困った顔をする。
「たぶん、」
「たぶん?」
「すごく可愛かったから」
「な!?」
ぱちぱちと音がするほど大きく瞬きをして、水樹は声を詰まらせる。
ソファに押し倒された格好のまま、ヒューは至極真面目に繰り返す。
「すごく可愛いと思ってしまった。ごめん」
「っ、……っ!?」
ヒューの腰に跨るかたちで水樹はおろおろうろうろと視線を彷徨わせた挙句、手にしていた写真をそっとテーブルにおき、おもむろに自分のスマートフォンを取り出した。
「こうなったら、こうなったら……!」
思いつめた顔で画面を操作したかと思えば、
「これをくらえ!」
反撃のように突きつけてきたのはヒューがいつ撮られたのかも分からない無防備な寝顔にカメラを構える真剣な表情、甘いチョコレートを口にして幸せそうな笑顔。
(よくもこんな写真を撮れるんだな)
盗撮に近い写真を目にしながら、ヒューは恋人の手腕に逆に感心する。
目を丸くしてスマホ画面を眺めるヒューの表情に、水樹は小さく首を傾げた。盗み撮った写真でヒューを恥ずかしがらせるのは難しそうだと悟り、ヒューの胸にそっと倒れ込む。
「なんだかもう写真の整理どころではなくなったな」
「脱線しまくっちゃったね」
くすくすと笑いあって、
「ヒュー」
「ん」
水樹が掲げたスマホのインカメラで、今日の記念の一枚をパシャリ。
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担当ゲームマスター
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墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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