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思い出の数だけ・1
ねこでんに乗って寝子島大橋を渡る。
ととん、ととん、と眠気を誘って揺れる車内から窓を見遣れば、うららかな春の海が見えた。
水色を煌めかせる海をどこからか流れて来た桜の花びらが彩っては去ってゆく。
誰かが少しだけ開けた窓から迷い込んでくる春風に緩く波打つ長い黒髪を遊ばせながら、
城山 水樹
は桜色の唇を柔らかな笑みのかたちにする。
島から本土に渡り、寝子島入口駅で支線に乗り換えて木天蓼駅へ。
もう何度も通って、運賃が幾ら掛かるのかも自宅の最寄り駅から恋人の住む街まで何分掛かるのかもぜんぶ記憶している、恋人の家への道程。
(今日は何をしようか)
お出かけしたっていい、部屋でのんびり過ごしたっていい。あくる日はふたりともオフだから、
(泊まらせてもらおうかな)
お泊りの用意は何にもしていないけれど、何度も通ううちに恋人の家にはお泊りに必要なものは揃ってしまっている。化粧落としも洗顔料も、歯ブラシにパジャマも――
(これって)
そこまで考えて、ふわり、水樹の白い頬に朱が上る。
(これって通い妻……?!)
赤くなった頬を両手で抑えて隠しつつ、高校生じみた自分の思考に思わず苦笑い。今までにだって恋人はいたし、おうちデートだってお泊りデートだって経験している。それなのに今の恋人のこととなると一事が万事、まるでなにもかもがハジメテのことのように照れくさい。
これから訪ねる恋人の顔を思い出しただけで、玄関に立って迎えてくれることを思っただけで、胸がことことと鳴ってしまう。
(……やだもう)
出会って、恋人になって、もう三年も経つというのに。世の恋人たちがしている大抵のことももう済ませているというのに。
(好きよ、ヒュー)
恋人を想うだけで、心も体もふわふわと浮き立ってしまう――
春風を呼び込もうと開けた窓に、彼女の足音を聞いた気がした。
その快活な性格を表すように、彼女の足音はいつだって溌剌としている。
ヒュー・ヒューバート
は壁の時計を見遣る。少し前、寝子島入口駅に着いたと連絡があったから、
(もう少しかかるかな)
木天蓼駅まで迎えに行くよと連絡を返したのに、家で待っていてと返信があった。
駅からこの家までの距離と、彼女の歩く速度を考えてみる。
自分と同じ身長の彼女は、歩く速度も自分とそう変わらない。
長くしなやかな両手足で楽し気に歩く姿が美しくて、何度となくカメラのシャッターを切った。
歩いているだけよと振り返って笑う笑顔さえも愛しくて、好きだと伝えるその代わりにまた写真を撮った。
(大分溜まっているかもしれない)
デジタルカメラのデータはSDカードに保存し、パソコンやカメラ本体で見られるようにはしているけれど、そういえば改めて整理をしたことはなかった。
(ふたりで写真の整理をしてもいいかもしれない)
それともどこか遠出をして、明るい春空の下で彼女を撮らせてもらおうか。
モデルを職業としている彼女はどんな表情をしても画になる。美しいひとを写真に撮ることが出来るのは、カメラマンとしても恋人としても幸せなことだと思う。
ふたりで過ごす休日を思うと、知らず頬が緩んだ。それと同時、幸せな熱が胸と頬に宿る。
いつまで経っても慣れないなと苦笑いをひとつ。彼女を想うと、まるで付き合いたての学生カップルのように照れくさいようなくすぐったいような気持ちになってしまう。
(僕はきっといつまで経っても――)
熱を帯びた頬を片手で抑えたとき、インターホンが鳴った。
彼女にしては少し早いかもしれないと首を傾げつつモニターの前に立つも、画面に映し出されたのは本当は迎えに行きたいくらいに会いたかった彼女だった。
モニター越しに会話するのも惜しくて、足早に玄関へ向かう。扉を開け、
「いらっしゃい、水樹――わ?!」
迎え入れようとした途端、ぎゅっと抱き着かれた。
ぱたんと閉まる扉を横目に反射的に抱き返した彼女の身体は、お陽さまのように温かい。
うっすらと汗ばんでさえいる細い首筋に唇を押し付けて、ヒューは気づく。
「走って来た?」
そっと問うと、抱きしめた身体が朗らかな笑みで震えた。
「走って来ちゃった!」
明るい笑い声でそう言って、水樹は両腕をヒューの肩に掛けてヒューの顔を覗き込む。
「すごく会いたかったから」
走って来たという言葉の勢いのそのまま、ついばむようなキスを受けた。
恋人の甘やかな匂いと抱き止めた優しい身体の重さに思わず眩暈に近い感覚を覚える。よろける足を咄嗟に踏ん張って、愛おしさに耐えきれずすぐ傍の壁に背をつく。
「壁ドンしちゃった、壁ドン」
無邪気に喜ぶ水樹をたまらずぎゅっと抱きしめる。
「……僕も、会いたかった」
目を合わせて笑みあえば、互いの瞳に映ったふたりはほとんど同じくらい頬が赤い。
テーブルの上にはデジタルカメラとお揃いのティーカップ。
遠出をしようか家でのんびり過ごそうか、まずそれを決めようとヒューが淹れてくれた紅茶を口にしながら、水樹はデジタルカメラを眺める。
「仕事の時はもう少し厳ついカメラよね?」
モデルとフォトグラファーとして共に仕事をする機会も少なくはない。その際に向けられるカメラよりも幾分か小振りなカメラは、
「こっちはプライベート用だ」
ソファの隣に座ったヒューがカメラに手を伸ばす。画面を起動させ写真データを呼び出す。最初に表示されたのは青空と菜の花を背に大らかな笑みを浮かべる水樹の写真。
「この前デートしたときね」
傍らから覗き込んで来た水樹の横顔の近さに思わずドキリとして、ドキリとした己にちらりと笑う。
こちらを見遣った水樹の頬が僅かに赤くなって、それに気づいた水樹が照れたように笑って、
「キス、する?」
照れくささを誤魔化すように悪戯っぽい顔をしてみせるかわいいひとの唇にヒューはそっと唇を触れさせた。
睫毛の触れる間近で笑いあう。
「今日はもうおうちデートね」
「そうしよう」
胴に両腕を回して抱き着いてくる水樹の細い手首にそっと触れ、ヒューは手にしたデジカメ画面を操作する。
「写真、結構撮ったな」
「三年分?」
「うん、三年分」
枚数にして千枚単位、データ容量はほぼ埋まってしまっている。
画面を操作してひとまず十数枚分確認してみれば、映っているのはほとんど全て水樹の写真。
ふたり揃って写っているものもあるにはあるものの、通りがかりのひとに撮影してもらったことがよくわかる、ちょっぴりピンボケだったりピントが背景にあってしまっていたりな写り方をしている。
「そっか、ふたりで撮るときは私のスマホだっけ」
「もしかするとそっちの方が多いかも」
「……かも」
ヒューの言葉に頷きつつ、水樹はヒューの腕をぎゅっと抱きしめる。今はこの場所を動く気にはなれなかった。
「そっちは置いておいて、今日はヒューのカメラの写真の整理をしよう!」
「うん、」
頷くヒューの頬がまた赤い。
「そうしようか」
それにしても、とヒューは整理が必要になるほど撮った写真データを確認しながら目を瞬かせる。
(結構な量を撮影しているな)
デジタルデータのほとんどぜんぶが、彼女に向けた己のまなざしであるとふと気づいて、一枚一枚が『好き』の証拠であることに思い至って、ヒューはまた照れた。
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担当ゲームマスター
笈地 行
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阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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