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もうひとつの卒業、桜色のにゃあ
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あの日も今日も・2
優しい指先が頬に触れる。
冷たくて硬い頬だ。カプセルギアとしての、とるに足らない子どもの玩具のかたちした頬だ。
(運命か)
不思議が溢れるこの島でこのかたちを得て、ворの名を得て、幾度となく思った。
このかたちでなければと。緑林 透破として、柚春とおなじニンゲンのかたちで柚春と出会えていたらと――あの男よりも先に、柚春に触れられる存在として柚春の前に立てていたら。
(運命なんかあるに決まってんじゃん)
軽やかに笑ってみせられたら良かったのに。
けれど実際に柚春の前に立ち、その心を奪ったのはあの男だ。
柚春の心に気づかないわけがないのに柚春の心からの言葉をのらりくらりとかわし続けた挙句、『今は』恋人未満の関係であることを望んだ男。柚春を護ることは当然としても、そのせいで柚春を泣かせた男。
(……オレなら)
柚春を泣かせたりしないのに。
誰より大事に、誰より一番にしてみせるのに。
(……あーあ)
人のかたちをとれるようになったときにはもう、柚春の心はあの男のものだった。
――вор、聞いて。ウォルターさんがね、
――вор、あのね、ウォルターさんが、……ワットがね、
毎日のようにあの男のことを聞かされた。いつのまにかあの男を愛称で呼ぶことも多くなっていた。
カプセルギアのворとして柚春に拾われ、柚春の『ぬい活』のお供にあちこち連れまわされ、景色や食べ物と一緒に当たり前のように写真を撮られていた。いつも一緒だったから、いつも柚春を見ていたから、柚春の心の動きは手に取るように理解できた。柚春がどんなにあの男に惹かれたのか。どんなにあの男が好きなのか。
――純愛なら、いいはずなんだ
『先生と生徒』の関係に悩みに悩んだ果て、天啓を得たように、それに縋るように柚春が囁いたことがある。
今はその言葉通りの関係を築こうとしている柚春をすぐ傍から見つめながら、時折思う。
(柚春は)
今もまだ、『拾ったオレ』を本当の持ち主に返す気でいるのだろうか。
きっと大事にしている持ち主が戻ってくるはずだからと道端に転がるカプセルギアを目につきやすい高さに置き直してくれたときの指の優しさを覚えている。
何度も何度も柚春の前に現れてみせる度、いつだって同じように大事に扱ってくれた。きっと見つけてくれるよと声を掛けてくれた。
(……オレは)
動けぬ玩具の視点から柚春を見つめる。真剣な表情でスマホ画面を操作しているところからして、どうせまたあの男にメッセージを送っているのだろう。
(柚春に拾って欲しかったんだよ)
柚春を守ることは、己を創り出した『彼』の願いであり己の存在意義だった。
彼の願いを叶えるために、彼から生まれた己は柚春の傍に居続ける。柚春のためだけに存在し続ける。たとえ彼女に名前すら知られなくとも。
不思議な力によって自力で動けぬカプセルギアとなったのは思わぬ出来事ではあったけれど、だからこそ柚春の心を知り得たのは僥倖だった。
(柚春、……)
祈るようにスマホを握りしめ、画面を凝視していた柚春の瞳が輝いた。どうやらあの男からの返信が届いたらしい。
(柚春を泣かせたらもう許さない)
今度こそ殴り飛ばしてやる、と内心に吐き捨てつつ、いざそういう場面に出くわしたときには殴る蹴るに至れないだろうとも思う。そこには間違いなく柚春がいる。
そうしてきっと柚春はあの男にどんなに泣かされたとしてもあの男を庇う。
柚春は画面をタップしてあの男からのメッセージに目を通している。文字を追うごとに柚春の瞳がきらきらと輝いて、それがとても眩しかった。柚春にそんな表情をさせるあの男が妬ましかった。己はどう足掻いたってそんな表情をさせられない。
「вор、やったよвор!」
柚春が声を弾ませる。上気した頬も、嬉し泣きしそうなくらいにきらきら輝く瞳も、何もかもが可愛らしくて綺麗だった。
「ワットがね、」
言いかけて、柚春は慌てたように口を押える。桜が満開の公園を見回す。『先生と生徒』のデートの約束を知人の誰にも知られるわけにはいかない柚春は、それでも弾む足取りで何処かへと歩き始める。
「今から会えるかな、って」
己にだけ聞こえる小さな声で言って、柚春は小さく笑った。
そんな急な話は断ってしまえばいいのに、鞄の隙間から見える柚春の顔はどこまでも嬉しそうだ。
歩いているだけで楽しそうだった柚春の顔が春の太陽よりも眩しく輝いて、
(……居やがったな)
鞄の隙間からの狭い視界であっても、あの男が近くにいることを気取る。
電車の音と共、軽い足音が近づいてくる。柚春の足取りが目に見えるように弾んで鞄が揺れる。
「急でごめんねぇ」
あの男のおっとりとした柔らかな声に、
「全然!」
嬉しさを隠しもしない柚春の声が重なる。
「お花見列車、もう来るかな?」
「予約してある時間までもうすぐかなぁ」
「予約?」
「うん、予約」
わあ、と柚春の声がはしゃぐ。鞄が大きく揺れて、もしかすると軽く飛び跳ねたのかもしれなかった。
狭い視界に見えるのは柚春だけでいいのに、隣にあの男が立ったせいで、柚春と並ぶあの男の横顔が見える。
駅前にもあちらこちらと咲く桜を背景に、男はどこまでも優しくどこか眩し気なまなざしを柚春に向けていた。
(『生徒』に向ける目じゃねぇよな、センセー)
からかいまじりに言ってやりたいと思う。そう言いながら柚春の肩を叩いてやりたいと思う。
「вор、お花見列車だよ」
改札を潜ってホームに立った柚春がわざわざ鞄の中からカプセルギアの体を取り出しててのひらに乗せてくれた。
春風が全身に触れる。
あたたかな風を纏った特別仕様電車がホームへゆっくりと滑り込んでくる。桜吹雪がラッピングされたお花見列車に柚春が、ホームで乗車待ちをしていた観光客たちが歓声をあげた。
(はしゃいでんなぁ)
柚春のてのひらの中、身動きできぬ人形のかたちのまま柚春を見遣る。
(去年も乗ったじゃんかよ)
去年と違うのは乗る前から隣にあの男がいることで、柚春にとってはそれが全てなのだろう。
「さぁ、行こうか」
あの男が微笑み、
「うん、行こう!」
柚春が笑う。
(……まぁ、)
柚春が笑うのならそれでいいかとворのかたちした透破も笑う。
桜の花のかたちした玩具でいっぱいのキッズコーナーを抜け、酒瓶やおつまみが大きなテーブルに置かれた『花見酒コーナー』も、席が全て窓を向いた『お花見席』も通り過ぎる。
「去年はこの辺り、」
「だったよねぇ」
「えっ」
予約したのはこっち、とあの男が案内したのはお花見列車の最後尾、幾つもの壁で仕切られた個室席。
すれ違うのがやっとの狭い通路に並ぶ十数の扉には『大山桜』や『富士桜』、『河津桜』などのさまざまの桜の名称の札が掛けられている。
『緋寒桜』の札の前で足を止めた男は、
「さぁ、どうぞー」
少しばかり気取った仕種で焦げ茶色のドアを押し開いた。
「わ、……ありがとう、ございます」
何故だか緊張した声で柚春が下げる必要もない頭を下げる。シツレイシマス、と面接を受ける学生のように恐る恐るドアを潜り、
「わあ!」
打って変わって大喜びな声をあげる。
向かい合わせの椅子は膝突き合わせるほどに狭く、その間の小さな卓にはペットボトルのお茶と和紙に包まれた和菓子がそっと置かれている。
飾り気のない個室を最大限彩るのは、額縁のように大きな窓いっぱいを埋める爛漫の桜。
「座ろうか」
「ウォルターさんも、……」
言いかけた柚春が小さく咳払いする。小さく小さく、言い直す。
「ワットも」
どうせ向かい合わせに座るのだろうと思っていたのに、男は柚春の隣に腰を下ろした。肩を寄せ合う近い距離で、ほんの少し照れたように笑う。かと思えば、
「……はしゃぎすぎた、かもねぇ」
狭いよねぇ、と立ち上がりかけるウォルターの腿に目掛け、動き始めた電車の揺れを利用して柚春のてのひらから飛び降りる。転げ落ちたカプセルギアの振りをして蹴りを入れてやる。
「わ、あれっ、вор?!」
慌てた様子の柚春に拾い上げられ卓に乗せられながら、透破はしっかりしろよとウォルターを睨み上げた。光の加減でそう見えたら良いと思いつつ。己の正体を唯一知る男が発破をかけられたと思い知れたら良いと念じつつ。
「やっぱりこっちかなぁ」
ウォルターが叱られた子どものように笑った。伸ばしかけた膝を折り、柚春の隣に改めて座る。
「……うん!」
柚春が顔中で笑う。桜しか見えない窓をいいことに、男の腕をぎゅっと抱きしめる。
(あのときは借りて来た猫だったのに今じゃ……)
間に誰も挟まない距離で寄り添うふたりを前に透破も笑う。
(ったく、ようやくかよ!)
去年、お花見列車で偶然出会ったときは真実『先生と生徒』だった。自由席に並んで座るふたりの間には『適切な距離』があった。その間にворとして透破は座っていた。
(今じゃ信じられねーよな)
去年はその距離が普通だった。
けれど気が付くと柚春は『センセー』に夢中になっていた。
いつだってずっと『センセー』の話しかしなくなっていた。
(……心配だったケドさぁ)
どこからどう見ても仲の良い恋人同士に見えるふたりを見つめる。カプセルギアのворとして、透破にできるのは今はそれだけだ。
(男として覚悟決めたみたいだし?)
だよな、とウォルターを見遣る。
(ちゃんと柚春を守るってなら、オレだっていつまでもしゃしゃり出ることは止めないとナァと思うワケよ)
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ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
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