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あの日も今日も・1
桜が咲いている。
はらりと散って風に遊ぶ花びらは青空に透けるほど白く見えるのに、見上げた視界を埋めて爛漫に咲き誇る花は陽の光を集めたような薄紅の色。
ひらりはらりと宙に踊る花びらに手を伸ばす。
届かないだろうと思っていた指先が柔らかな花びらに触れた。指先よりも温かな花びらをてのひらにそっと閉じ込めてみれば、小さな笑みが思わず零れた。
「вор」
稲積 柚春
がそっと話しかけるのは、鞄の端っこからちらりと顔を出しているカプセルギア。
精悍な盗賊のかたちしたカプセルギアを拾ったのはもう随分と前のこと。
道端に、見上げた塀の上に、公園のベンチに――幾度となく見かけて、見かける度に気になっていたカプセルギアをとうとう拾い上げたそのときは、本当は元の持ち主が現れたらきちんと返すつもりだった。
ворと仮に名付けたカプセルギアを常に持ち運んでいたのも、いつ現れるか分からない『本当の持ち主』にいつでも返すことができるようにだった。綺麗だと思った景色の前や美味しいと思った食べ物と並べてスマートフォンで写真を撮っていたのも、いつか現れた持ち主に彼を大切にしていたよと見せるためだった。
ворと見る桜は、二度めになる。
『本当の持ち主』はまだ見つからないまま、ворはいつも柚春と一緒のまま。
「桜、掴めたよ」
ほら、と桜を見せるために広げた指――右手の薬指にはめた銀色の指輪が目に飛び込んできて、柚春は藍色の瞳を僅かに細めた。
銀の指輪の外側を彩るのは、ブルートパーズとラピスラズリ。
「……つかめたよ」
どうしても掴みたくて、必死に手を伸ばした。
掴めないと悲しくなったこともある。ひらりひらりと翻弄する動きに惑いそうになったこともある。それでも指を懸命に伸ばし続けて、
「つかめたんだ」
指先に触れることが出来た。ぎゅっと握りしめて、もう絶対に離さないと決めた。
あのひとの瞳の色した小さな宝石に唇を寄せる。あのひとといっしょに買った、あのひととペアの指輪。
開いたてのひらから桜がふわりと風に舞う。思わず追いかけて手を伸ばそうとしたとき、鞄の中でスマートフォンが鳴動した。
「わっ」
あのひとからの不意の連絡を知らせる音に柚春は小さな歓声を上げる。
光の加減か笑っているように見えるворの頭にそっと触れてから、春コートのポケットからスマホを取り出す。
メールの着信画面をタップして開けば、発信者である
ウォルター・B
の名と、
「URL……?」
どこかのサイトへのリンク、
――今年はもう走ってるらしいよ
あのひとらしいと言えばらしいのかもしれない、手短なメッセージ。
迷わずリンクをタップしてサイトへ繋いでみれば、画面いっぱいに桜の花びらが舞った。花と共に画面を駆けるのは、満開の桜の絵がラッピングされたねこでん。
「お花見電車……!」
昨年の三月末の日曜日、朝昼晩の三本だけ寝子島を駆けたねこでん特別企画の『お花見列車』――好評を受けた今年は、一日に一本と限られてはいるものの桜の期間中の運行が決定しているらしい。
いつもよりゆっくり走る車内から見える桜を柚春は思い出す。
宴会用の大テーブルが設置されていたり、桜がよく見えるように窓を向いた椅子が備え付けられていたり、要予約の個室が設けられていたりの特別仕様列車は車内を見て歩くだけでもとても楽しかった。
けれどそれよりなにより、
(ふたりで乗ったよね)
去年の春、まだ教師と生徒の距離感だったあのひとと。
あのときは偶然出会っただけだった。
憧れの先生に出会った緊張感があった。
――隣、いいかなぁ?
そうやって隣に座ってくれた『ウォルター先生』は、あのときは確かに『ウォルター先生』だった。
転校してきたばかりの生徒を気遣って、誰に向けるのとも変わらない軽やかな笑顔を向けて来てくれていた。
(あのときは、)
ウォルター先生に、友達が出来たよと報告をしたいばかりだった。
告白どころか、
(ワットを好きだって自覚もなかった)
ただただ不思議だった。担任でもない先生に、どうしてこんなにたくさん気軽に話が出来るんだろう、そんなことばかり考えていた。
(あの頃は、……)
夢に出て来る男の子が気になっていた。
背が高くて、身体能力が高くてゲームが得意で、ちょっぴり意地悪なのに本当はとても優しい男の子。
いつか見た夢ではバレンタインにチョコレートをたくさんもらっていて、きっととてもモテるよねと妙に納得したことを覚えている。
ここではないどこかで暮らしている男の子。
きっと近くにいたら格好いいな、素敵だな、と思ってしまうような男の子。
(……でも)
今なら分かる。あれは恋に似ているけれど恋ではなかった。
目線が合えば胸が華やいだし、笑顔を見れば嬉しい気持ちになった。活躍を見れば拍手がしたくなった。
(でも、……)
触れて欲しいとは思わなかった。触れたいとは思わなかった。カッコイイなあと溜息を吐いて、崇めるように見仰いで、それで充分満足していた。
たとえるなら、アイドルを応援しているような気持ちだった。
(僕は)
あの日、陽差しの温かなあの公園で、
――運命って、あると思いますか……?
思いがけず出会った『チョークの先生』との沈黙に堪え切れず発してしまった問いかけに、
――え、あるんじゃないの?
今考えれば唐突で子どもじみた問いに、当然のようにさらりと答えをくれたときから、
(その時から、きっとワットが気になっていたんだ)
あの日胸に生まれた熱を、今もまだ覚えている。
嬉しかった。あの時は大人の先生がくれた答えがただ嬉しかったのだと思っていたけれど、今なら言える。断言出来る。
(ひととの別れをそういうものだって諦めていた僕を、ワットがかえてくれたんだ)
今なら、とスマホの画面を見下ろす。
告白をした。
答えてもらった。
(つい最近だって)
気持ちを再確認した。
(こないだは意地悪なこと言われたけど……)
それを思うと今でもなんだかしょんぼりしてしまうけれど。
手にしたスマホ画面の中には、桜吹雪の中を走るお花見列車の画像がある。
先生と生徒だった去年と、『まだ』先生と生徒の関係の今年――お花見列車に乗れたなら、きっとナニカが違うはず。
画面を操作してメール画面に戻す。
自分を勇気づけたくて、右手薬指の指輪にそっと口づける。
(……楽しみにしていていいよね?)
どきどきする胸のまま、返信画面を開く。
(だって、覚えていてくれた)
あの春の日、お花見列車に一緒に乗ったことを。
ならきっと、
『一緒に行きたい!』
元気いっぱい返事をすれば、当たり前のように一緒にお花見デートができる、
(……よね?)
ふと不安になるのは、宙ぶらりんと言えば宙ぶらりんな今の関係のこと。
気持ちを再確認していても、気持ちがかたちになっていても、それでも『今はまだ』、学校においては『先生』と『生徒』だ。
『先生と生徒の関係』は学校だけではなく、ふたりきりでないときもそうで、だから以前、お花見列車のことを話題にしたときもあんな意地悪なことを言ったのだろう。
今は誰にも知られてはいけない関係であることは理解している。
純愛を誓っている。
何百回だって何千回だって愛を伝える覚悟はもう決まっている。
それでももしかしたらと思い煩ってしまうのは、他の誰かに微笑んでしまうのかもと頭に描いてしまうのはどうしてだろう。
不安に沈んでしまいそうな心を奮い立たせたくて、鞄の端っこから顔を出すворにそっと触れる。
「……運命は、あるよね」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
桂木京介
阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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