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もうひとつの卒業、桜色のにゃあ
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薄紅に手を伸べて・1
お散歩に行こう、と思ったのは、猫鳴館から見えた桜があまりにも綺麗だったからだ。
卒業の日が近づいて、猫鳴館は慌ただしくも賑やかだ。
(賑やかなのはいつものこと、ですね)
薄い壁を通して聞こえる引っ越しのどたばたとした物音を耳にしながら、
綾辻 綾花
はがらんとした自室を見渡す。
大学の合格発表を受けて、自室の荷物はあらかた次に暮らすマンションへと移した。
次に暮らすのは高校からほど近い場所にある。
(先生の住むアパートに近いんですよね)
ずっと恋心を抱いている
早川 珪
先生の端正な横顔が思い浮かんだ途端、ふわりと頬が熱を帯びた。
狙ったわけではない。猫鳴館を出た後どこで暮らそうかと不動産屋を巡った際、大学に通いやすくて賃貸料も条件に合っているのがその部屋だっただけで、
(後から気づいてどきどきしました)
高校を卒業した後も先生と出会える確率が少しでもあると思えば、胸が高鳴った。
(でも、……)
もう、決めている。
卒業をして、先生と生徒でなくなれば――そのときは、かならず。
思いの丈をすべて伝えよう。その結果がどうであれ、きちんと受け入れて前に進もう。
(珪先生が好きです)
心の中で囁けば、顔中が熱くなった。心臓が体中にどきどきと鼓動を響かせた。
(言える、でしょうか……)
当人を前にもしていないのに、告白を考えただけで胸がぎゅっと痛くなる。瞼が熱くなって涙が零れそうになる。
抑えきれない恋心をどうにかしたくて、ほとんど空っぽの部屋を見回す。
猫鳴館のこの部屋にあるのは、この先誰かが使うかもしれないと残した本棚や、自分より前の先輩たちから引き継いで使わせてもらっていた家具くらいのもの。
引き継がれてゆく歴史の一部になった気がしてちらりと笑う。笑いながら少し寂しい気持ちにもなる。
しんと冷えそうになる胸を温めるため、綾花はことさらに明るく両手を打ち合わせてみる。ぱちん!
「お散歩、行きましょう!」
自分に言い聞かせるように朗らかな声を張る。
散歩に行こうと思ったのは、図書室の窓から見える桜があまりに美しかったからだ。
新学期に際して新たな書籍を購入するために必要な申請書類に間違いがないか確かめ、
早川 珪
は図書室の端の席から立ち上がる。
卒業式を間近に控えた学校の図書室に人気はない。
三年生は自由登校になっているこの時期、図書館を訪れる学生はそう多くない。
静まり返る図書室に視線を巡らせる。
――珪先生
貸出カウンターに行き着いたとき、ちょっと照れ屋でとても優しい女子生徒の声を聞いた気がした。
図書委員を勤めてくれた子だった。ふんわりとした雰囲気と面倒見の良さのためか、上級生になってからは下級生に慕われていたように思う。
ほとんど毎日、貸出カウンターに詰めてくれていた。昼休憩や放課後に顔を覗かせると、いつも、定位置のようにカウンターで本を読んでいた。
たまに見かけないなと思っても、
――あっ、珪先生!
本棚の並びのどこかからひょこりと顔を覗かせて嬉しそうに笑ってくれた。
毎日のように聞いていた彼女の声はもうしない。
図書館司書になるため大学進学を決め、その希望通りに合格を果たしている。前向きで、頑張り屋な子だった。きっと夢を叶えて、
――珪先生っ
いつか、自分の勤める図書室を訪れてくれたりはしないだろうか。共に図書館司書として勤められたらきっと、
(……彼女は、生徒だ)
脳裏に描きそうになる願望を押し潰す。
とても懐いてくれていたように思う。真っ直ぐすぎる好意を向けてくれたことも少なくはない。それでも、
(僕は先生だ)
それが意味する世間の目の厳しさは、痛いほどに理解している。だからこそいつだって、彼女のまなざしには他の生徒の向けるものと変わらぬ笑みで応じて来たつもりだった。
それが彼女を守ることになると信じていた。
(……だけど)
自信のなさにそっと息を吐く。卒業式まであと何日で、その日になれば彼女ともまた会えると気が付けば考えていて、思わず瞼をきつく閉ざす。
声を聞きたい、笑顔が見たい。そう願ってしまうのは、きっとただのセンチメンタルに過ぎない。卒業生を送り出す寂しさを感じているに過ぎない。
(そのはずだ)
たくさんの思い出を作った。
その中に少女の恋心が含まれているだけに過ぎない。それがどれだけ一途で、どれだけ真摯なものであろうと、今はそれに応じてはならない。
彼女が高校生であるうちは、『生徒』であるうちは、顔を合わせたところで、『先生』である己が伝えられるのは『卒業おめでとう』の一言だけだ。
彼女だって、大学に通えばまたたくさんの新しい出会いがある。数年も経てば、歳の近い恋人が出来たと母校を訪ねて来るかもしれない。
(そのときは、)
おめでとうと笑おう。どんなに苦しくとも。
怒るかな、とちらりと思う。最近はこんな考えばかりを抱いていると知ったら。
(……きっと怒る)
自分は彼女の想いをそれだけのものだとすり替えようとしている。
今はそうしなければ、約束のときまで待てそうになかった。
窓の外を見遣る。爛漫の桜を眺める。
(桜の季節が終わる頃、か)
手元の書類をまとめ、図書室を離れる。職員室の自分の机に一旦書類を置いて、学校の周りを歩いてみようか。
春の強い風に吹かれれば、知らぬ間に胸を満たしていたふわふわともやもやとした想いも飛ばされてゆくだろう。
学校に通うため毎日通った山道を綾花は辿る。
寮生が歩くだけのほとんど獣道に近い通学路も、三年のうちに慣れた。
(たんぽぽ、すみれ、水仙、)
砂利がごろごろ転がり、頭上には木々の梢が広がる道を軽い足取りで辿りながら、足元に咲く花の名を呟いては笑みを零す。
あちこちで咲く桜の花びらを運んでくる春の風を青空に仰ぎ、流れ来る春のにおいにまたちらりと笑う。
(菜の花、さくら――)
荒れた道をものともせずに歩く先、道端にふんわり丸くなる桜の花びらの塊を見つけて足を止める。
「……桜?」
綾花の呟きに応じるように、もぞ、と桜色の塊が動いた。ぴょこんと三角耳が生えたかと思えば、しなやかな胴と手足がぐいーと伸びる。尻尾の先まで伸ばしたあとは手足を一本ずつぷるぷる震わせ、桜色した猫はにゃう、と短く鳴いた。
「にゃんこ……!」
花びらが舞い降りたような桜色した猫に綾花は目を丸くする。
猫はぱちりと瞬いて、素知らぬ顔で山道を下り始めた。十数歩進んで止まる。ちらりと振り返り、来ないの?、とばかりに振り返る。
「一緒にお散歩、しますか?」
微笑みながら問う綾花に、猫は確かに笑った。
猫と綾花は並んで春の道を歩く。猫が桜の花びらにじゃれつき、綾花も宙に踊る花びらを掴もうと手を伸ばす。
目が合って笑って、そうしているうちに山道は終わっている。
見慣れた寝子高の校舎がすぐ傍に見えて、綾花はふと足を止めた。
視線をもたげる。
(珪先生)
図書室のある校舎を見遣る。自由登校になってしばらく会えていない。
(会いたい、です……)
今日も図書室にいるのだろうか。会いに行ったら迷惑になってしまうだろうか。
校舎を見つめたまま悩んでいるうち、足元にふわりと温かな猫の身体が触れた。見仰いでくる桜色の猫に綾花は微笑みを返す。
猫の隣にしゃがみこむ。そうっと手を伸ばせば、猫は人懐っこい仕草でてのひらに小さな頭を押し付けて来た。
「ねぇ、にゃんこさん」
ふわふわの毛に包まれた頭を柔らかく撫でながら、綾花は囁く。
「好き、って伝えるのはとても難しいです」
誰かを好きになることは素晴らしいことのはずなのに。
胸がどきどきして、頭がふわふわして、身体がぽかぽかになって、それはとても良いことのはずなのに。それと同時に胸がぎゅうっと苦しくなるのはどうしてだろう。
大好きなひとのことを考えるのはとても楽しくて嬉しいことのはずなのに。会いたいと思えば思うほど泣きたくなってしまうのはどうしてだろう。
猫はもちろん何にも答えない。頭も撫でろ背中も撫でろと指先にあちらこちらをぐいぐいと押し付けてくるばかり。
求められるまま桜色の猫の背中をひたすらに撫でていて、だから綾花は近づいてくる人影に気づかなかった。
「……綾辻さん」
ずっと聞きたかった声に名を呼ばれ、綾花はぱっと顔を上げる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
桂木京介
阿瀬春
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
50人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月04日
参加申し込みの期限
2024年11月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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