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奇跡が起きた日
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思春期のむき出しの心は薄いガラスのように危うく儚い。触れればひび入り、割れたままでは歪に育ってしまう。正しく成形するには適度に火を入れる必要があるがはて、そも正しさとはなんだろう。迷い、惑ううち多方からの熱を帯びながらやがて固く締まり整ってゆくが、型にはまるのが正しさか。取っ手がなければカップの役割を果たせぬわけでもあるまい。丸いか四角いか、はたまた三角形かなどと些末事ではなかろうか。ガラスの茶碗があってもいいし、ガラスの湯飲みなんて風流かもしれない。
とかく14歳という年齢は敏感だ。春からの高校生活を控えているともなればなおのこと。
朝永 真深
は揺れていた。中学生と高校生の狭間に立ち、半端な己の立場に迷い惑い、地に足つかずバランスを取れずにいた。
もとよりそうした気質ではある。持ち前の繊細な感性や感受性を巧みに御し、花開かせれば一角の人物ともなれるかもしれない。世の多くの若者と同じくして真深にもその道は開かれているはずだ。そして可能性と表裏一体の非安定を伴う心は時に揺らぎ、暴走し破壊衝動をもたらし全てを無に帰してしまいたいという欲求をも沸き立たせるのだ。
そんなごく当たり前の14歳たる真深にとって、小谷 幸平というぶれない巨人の存在は大きく映った。歪とさえ見えたかもしれない。異質な存在、異世界の住人とさえ思える。バッターボックスに、あるいはマウンドに立つ時彼の内面は、揺らぐことがないのだろうか。あんなふうに巨大な衆人環視の只中で達成する前人未到の大記録だなんて、途方もなさ過ぎて想像がつかない。ただただ、圧倒されるしかなかった。
そうした衝撃の波濤が、高校進学を控えた自分の心にかかったもやもやを吹き飛ばしてくれるのではないか。真深はそう考えたのだった。
「すごい人だかり……これがみんな、小谷選手のグッズを見にいくのかしら」
星ヶ丘の道を浮かれて歩く彼らの全てが野球に精通するわけではあるまい。真深もそうだ、小谷の功績がピンと来るほどに詳しくはないが、号外やテレビのニュースで触れる情報だけでも彼の打ち立ててきたものがいかに偉業であるかは伝わった。
ステッラ・デッラ・コリーナのフロアはいつも目にするよりずいぶんと混んでいた。星ヶ丘に住まういわゆるお嬢様である真深には馴染み深いホテルだが、いつになく賑わっているのは、これも小谷効果だろう。今日はここで、彼に縁あるグッズの数々が展示されているのだ。
「これが、小谷選手の着てたユニフォームなのね」
日本プロ野球時代に着用したというそれの前に立ち、ガラスケース越しに見つめると、何やらパワーを感じる……ような気がしてくる。続いてバットやグローブを、昨年のワールドベースボール・クニャシックのトロフィーを眺め、真深は知らずのうち感嘆の吐息を漏らした。
「……あ」
真深を殊に惹きつけたのは、少年時代の小谷の愛用品やそれに付随する写真たちだった。まだ若い、そう今の真深と同じくらいの年頃だった彼が投げ、打ち、走り、躍動する様は確かに後の活躍を予感させる迫力があった。
自分とさして変わらない年齢から彼が偉業の片鱗を見せつけていたのだと思うと、どこかいたたまれないものを感じなくもない。彼は自分とは違う、遠い世界の人なのだからと思って見ても、どうしても己の矮小が際立つように感じてならない。
「すごいなぁ」
春からは高校生だ。その後は進学するのか就職するか、はたまた……未来はまだ見えないが、いずれにせよ真深の人生は続いていく。はたして今の小谷と同じ年頃となったとき、自分はどんな人間になっているだろうか。
想像はつかず、真深は写真たちの擁する熱に気圧されながらも、魅入られた。
寝子電で旧市街へ向かった。
寝子島神社では小谷 幸平の名を冠したお守りが売られていた。なかなかに値が張るものだが、これが飛ぶように売れている。真深は参拝し、どこか感じ入るように目を伏せてしばし緩やかな風を感じた後、自分もお守りを買い参道商店街へと下りた。彼の奇跡に、これで少しでもあやかれるだろうか。
家族への土産に幸平まんじゅう、幸平団子など購入したところでいい雰囲気の純喫茶を見つけ、入店した。小谷コラボメニュー、コウヘイパフェなるものを頼むと心ゆくまで甘味を味わう。パフェは大好物で、不安定な思春期に一定の安寧と幸福をもたらしてくれる。
至福の一時を過ごしていたら、一つ向こうの席についた女の子たちが賑やかに語らう声が耳に届いた。
「ねぇ、寝子高入ったら何する? 部活とかやる? あたし弓道やってみようかなって思っててさー」
「私はバドミントンかな。テニスほどハードじゃなさそうだし、なんか可愛いし」
「私、園芸部。のんびりやりたいから」
それぞれに希望を述べる彼女たちはどうやら同学年らしく、真深はどこか気後れしてそのまぶしさから目をそむけた。
が、直後に口を開いた少女の放つまばゆさ、力強さから何だか、目が離せなくなってしまった。
「ウチは絶対、寝子高に女子野球部を作ってやるんだ! そんでもって世界に飛び出して、ウチが第二の小谷 幸平になってやるぜー!」
「やば、スケールでか!」
「マジでー?」
「マジマジ、大マジだから!」
鼻息荒く言った少女の言葉に宿る熱に、何とはなしに聞いている真深の心にもどこか熱いものが滲むかのようだ。
真深と時を同じくして寝子高へ入学するらしい少女たちと、あらためて顔見知りになったりすることもあるだろうか。あるいは親しい友人となったりする可能性も無きにしも非ずだろう。
ガラスを熱し変容させる者がどこに在るかは分からない。今はまだ不確かな予感が真深の胸をあたため、鼓動を早めた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年09月22日
参加申し込みの期限
2024年09月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年09月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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