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【飛べない鳥たちの歌】
飛べない鳥というものがずうっとずうっと昔、この世界には生きていたそうです。ペンギンとかダチョウとか。キーウィ、ヒクイドリ、エミュー……そんな鳥たちに自分をかさねて、大昔のひとたちはぼくたちの住むこの『ビル』とよばれる建物のひとつひとつに、『ペンギン島』とか『ダチョウ島』なんて名前をつけたんだって。
「今日も霧は晴れねーなあ」
「何百年も晴れたことがないですから。今日、いきなり晴れたりしないと思いますよー」
「そりゃそーだな。知りてえなあ。この霧の下には、いったいなにがあるのかねえ」
「うちは、ダチョウ島に行ってみたいとですよ。いつも手を振ってくれるあのひとと、会ってみたいです」
ペンギン島の屋上で、
水守 流
お兄さんと
倉前 七瀬
お姉さんは何度も何度も、そんなはなしをしたそうです。
ぼくは100階まである『ビル』の88階に住んでいるけど、79階から下になにがあるのか、誰も知りません。いつも毒のある霧が立ち込めていて、下りられないから。大昔のひとたちは霧の下の『地上』に住んでいたらしいよ、と流お兄さんが教えてくれたけれど、そこがどんなところなのか、ぼくにはよくわかりませんでした。だって霧はぼくのおじいさんのおじいさんのおじいさんの頃からずうっと世界を覆っていて、霧のない世界というものを、ぼくは知らないから。
ぼくのお父さんは農業階で、お母さんは牧畜階ではたらいていて、『ビル』に住んでるひとたちのために食べ物を作っています。ぼくはそれが、ええっと、なんていったっけ。この前七瀬お姉さんに教えてもらった言葉……そう、ほこらしいです。みんなのためにはたらくお父さんとお母さんがほこらしいです。
でも、ちかごろのふたりは困った顔をうかべることが多くなりました。人口が増えて、食べ物がたりなくなってきたからです。
「お前の父ちゃん母ちゃんはすげーよな。おかげでこんな空のてっぺんでも、食いもんにありつけるんだ。ありがたいぜ。けどさ」
その日、流兄ちゃんは旅立ちました。荷物をたくさん詰めたかばんを背負って、マスクをかぶって。マスクはほんのすこしだけ霧の毒をなくしてくれるけど、あまり長くはもたないって、だから誰も霧の下に行って戻ってきたひとはいないんだって、兄ちゃんが自分で言っていたのに。
「このままじゃダメだ。ジリ貧で、いつか干上がっちまう。だから俺が『ビル』の下を探索して、使えるもんを見つけてくる。もしかしたら、隣の『ビル』につながるルートが見つかったりするかもしれねーしな。大冒険だぜ!」
兄ちゃんはそう言ってぼくの頭をぽんと叩いて、階段を下りていきました。ぼくは止めたかったけど、お父さんやお母さんやおとなの人を呼んで引き止めたかったけど、流兄ちゃんがあんまり自信たっぷりで、あんまり笑顔だったから、ただただ見送るしかありませんでした。
もう、流兄ちゃんには会えないのかな。かなしい気持ちになって、空が見たくて屋上にあがると、七瀬お姉ちゃんが手すりに手をかけて、遠くを見つめていました。
「あ、来たんですか。今日はダチョウ島がよく見えますよ」
お姉ちゃんが指さした先、霧の海の向こうに、ペンギン島とよく似た『ビル』が突き出ているのが見えました。なんだか手が届きそうなくらい近くに見えるけど、ペンギン島のひとはダチョウ島へ行ったことはないし、ダチョウ島のひとがこっちへ来たこともありません。ぼくたちは、霧をとびこえる羽なんて持っていないから。
「見えますか? あそこ。ほら、手を振ってる」
じっと目をこらすと、ダチョウ島の屋上で、金色の髪をした男のひとが笑いながら、ぱたぱた手を揺らしています。
「あのひと、
ウォルターさん
っていうんだって。前に手紙をくれたとです。会ってみたいなあ」
伝書バトは貴重だから、あんまりたくさん飛ばすわけにもいかなくて、ダチョウ島やエミュー島から手紙がとどくことはめったにありません。たまに、すこしずつ情報をやりとりして、おたがいを知っていくことしかできません。
ぼくはあまり、よその『ビル』には興味がないです。だって仲良くなったって、会いにいくこともできないし。かなしくなるだけだから。
「ダチョウ島で、先生をやってるんだって。子どもたちの人気者なんだーって、自分で言ってました。あはは。いつか会えるかな。会ってみたいな……」
お姉ちゃんは、あの金色のひとが好きなのかな? あこがれてるのかな? 屋上であの人を見るたび、お姉ちゃんはほっぺたを赤くして嬉しそうにしています。いつかふたりが会えたらいいのにな、と思います。
ほんのすこしの向こう、見えるところにいるのに、ぼくたちは霧を飛び越えていくことはできないから、七瀬お姉ちゃんは歌をうたいました。言葉は届かなくても、風に乗ってかすかに、歌は届いたから。
「あのひとは、青い瞳をしているんだって。いつか見られるかな。見てみたいな」
伝書バトの行き来は一週間に一度だし、あまりたくさんの荷物ははこべません。お姉ちゃんが送れるのはほんの小さな紙きれ一枚だけ。そこへびっしりと文字を書き込むこともできたけど、悩みに悩んでお姉ちゃんが書いたのは、ほんのひと言でした。
「『お名前は?』って書いたんです。お返事もひと言だけ、『ウォルターだよ。君は?』って。うちはそのお返事に、『七瀬です。19歳です。あなたは?』って」
『好きな食べ物は?』『趣味は?』『空に見える星座、どれが好き?』なんて、一度にひと言ずつ。ずうっと長い間、お姉ちゃんと金色のひとの文通は途絶えることなく続きました。
いつも本を読んでいるくらい、お姉ちゃんは活字中毒だから、それじゃ満足できないんじゃない? って聞いたことがあったけど、
「それが案外、楽しくって……本当はもっと、知りたいですけど」
いつもよりほっこりしてやわらかい顔で、楽しそうに、ほんのすこしさみしそうに、七瀬お姉ちゃんは笑いました。
今日もあのひとはお姉ちゃんに手を振って、お姉ちゃんは歌をとどけます。
いつかふたりが会えるときが来るのかな。ともだち? こいびと? なんて呼ぶのかわからないけど、仲良くなれる日がくるのかな。
近くて遠いペンギン島とダチョウ島がつながって、自由に行き来できるようになればいいのに。そうしたらぜんぶ、なにもかも上手くいくような気がします。
そういえば、流お兄ちゃんはどうしたんだろう。霧の毒で死んじゃったのかな。それとも、どこかへ通じる道を見つけて、遠くへ行っちゃったのかな。
これはあとから聞いたおはなしで、流お兄ちゃんの大冒険のはなし。だってぼくはまた兄ちゃんと会えるだなんて、ぜんぜん思ってなかったから。
「おっし、酸素残量はまだ持つな。あとは各所に残されてるはずのボンベを回収していけば、かなり下層まで潜れるはずだ……ボンベ、あるよな? 120年も前の見取り図だからなあ、ちっと不安だが……」
霧の中には、見たこともないものがたくさん。
「なんだこりゃ、キノコが光ってやがる。食えんのか? でも、毒霧のなかで育った植物だからなあ。ま、サンプルとして持ち帰ってみるか」
いくつも見つけた光るキノコ、光る苔、光る花なんかはたしかに霧の毒を含んでいたけど、研究がすすんで、その毒を抜いて食べられる方法が見つかれば、食料危機の助けになりそう……なんだそうです。ぼくは難しいこと、よく分からないけど。
「うおおおおなんだこいつ!? 霧ん中にこんなバケモンがいたのかよおおお!!」
もちろんそれはカンタンなことじゃなくて。霧はずうっと昔からぼくたち人間を拒んできたし、やさしく迎え入れてなんてくれない。『ビル』を下っていくたび、霧のなかで進化した動物とか動き出した植物とか、昔は人間だったナニカとか、こわいものがたくさんいて、流兄ちゃんは隠れたり、やっつけたりしながらどんどん下へ降りていったんだって。
「こいつはまるで、脱出ゲームだな。条件を満たさなきゃ出られない密室に閉じ込められて、監視の目をくぐりながらゴールを目指すんだ。ダイスロールに失敗したらゲームオーバー、なんつって……おおっ、これは!?」
そのとき流兄ちゃんが見つけたものが、ぼくたちの毎日を、あんなふうに変えてしまうだなんて。ぼくも、誰も、思いもよらないことでした。
……そして、今。
僕の身体は少し大きくなって、もうあと何年かすればオートジャイロに乗れるよ、とお父さんが言った。
流兄ちゃんが霧の中から持ち帰った設計図が、島と島をつないだんだ。僕たちは、霧を飛び越える羽を手に入れたんだ。
島同士で交易が始まって、食料問題も少しずつ解決してきたし、暮らしも豊かになりつつある。
「よー、少年! 今日はエミュー島まで飛んでくるぜ。土産に期待してろよな!」
流兄ちゃんの冒険はまだまだ続いてるし、七瀬姉ちゃんだって、幸せそうだ。
「倉前、またウォルター先生んとこ行くんだろ? 乗せてってやるぜー」
「ああ、待って! 今行くとですー。それじゃ、行ってきます!」
霧は晴れない。どうして世界が霧に包まれたのか、誰にも分からない。でも、霧の上にだって太陽は上るし、僕たちは生きている。飛べない鳥だって、頑張れば飛べるんだ。どこまでだっていけるんだ。
ああ、歌が聞こえる。どこかの島で、誰かが僕を呼んでいる。いつか僕も、飛んでいくんだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年09月18日
参加申し込みの期限
2024年09月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年09月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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