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【夜はしずかに】
夜に迷う。
朝鳥 さゆる
にとってはいつものことにも思えて、この夢は複雑にして茫洋としていた。
このところのさゆるは夜ごと夢を見た。夢は前夜の続きのようで常に既視感があり、それでいて新鮮な感情をさゆるへもたらしたが、共通しているのは圧倒的な現実感だった。
「ほんとうに、夢なのかしら」
街はたしかにそこへ存在していた。寝子島ではないどこか。つるりとして不思議な手ざわりのビルが並び、煌々とネオンが灯るが音はなく、人の声も姿もない。恋人、
姫木 じゅん
の笑顔やぬくもりや揺れる後ろ髪の影すらも。
夜が来るたびまるで、さゆるという存在ごと異世界へすべり込むかのようだ。それが証にか、夜空を泳ぐクジラは巨体を気持ち良さそうにくねらせ、道を跳ねてゆくウサギはどこか聞き覚えのある歌を口ずさんだ。二階の窓からこちらを見下ろす猫は誰にも媚びるまいとしてか、ツンと胸を反らしている。犬たちは仲睦まじくかけまわり、さゆるに気づくこともなく目の前をとおり過ぎてゆく。ほえ声はさゆるへ届かず、メス犬の声だけが歌のように聞こえた。
「どうして?」
街をゆく者たちはいずれもビビッドな赤や青に照らされ、輪郭を夜闇へ浮かび上がらせている。それらを見つめてさゆるの胸に湧き上がるのはなぜだか、懐かしさだった。
「……寝不足?」
「ううん、眠れてはいるんだけど」
「昨夜はすこうし、はしゃぎすぎたかしらね~。さゆるが可愛くて、つい張りきっちゃった」
「そういうのじゃなくて……」
テレビから目を離し、じゅんはトーストをかじりながら怪訝そうな顔をしてさゆるを見つめる。なんと説明したものかとさゆるはためらった。自分の毎夜見ているものをうまく言語にできるとは思えなかったし、そもそも言うべきか判断がつかない。余計な心配をかけはしないか気になる。
それに、あの奇妙にして超然と感ずるリアリティはなんだか、夢のようには思えなかった。今触れているテーブルの感触と、言語なき光の街で触れる壁のかたさは同じに感じるのだ。眠りに落ちて見る夢ならばもっとふわふわとして、とらえどころがないのではないか。足元とてもっと頼りなく、ときに浮いたり沈んだりするものではないだろうか。
「ふうん? まあ、もてあますなら言いなさいよ。恋人でしょ」
「ええ……そうする」
通じているのかいないのか分からないようなことを言って、じゅんはテレビのなか躍動する魔法少女のバトルへふたたび見入った。
よくよく見ると街は唐突に途切れ、地平線へ向かってぼんやりと青いビビッドを灯すガラス板のような地面が続いていた。まるで飽きっぽい神さまが天地創造の仕事を途中で投げ出したかのような、あるいは作りかけのデジタルゲームのフィールドみたいな、ひどく物足りず未完成に思える風景だった。
しばらく目的もなくそこを歩く。街の明かりがとおくなっても地の光は絶えず、歩くのにこまらないのはありがたい。今日は空にクジラは見えず、かわりにエビのようなものが遠くで跳ねていた。
次の夜にも続きを歩いていると、地面は唐突に途切れ、その終端ちかくにファミレスが立っていた。光の板の切れ目から眼下をのぞき込み、そこになにもないことを確かめると、さゆるはファミレスの扉を押して入店した。からからとかわいたベルの音が鳴り、なかでグラスを拭っていた仮面の女が言葉もなく会釈をし、さゆるはカウンター席へと着く。女はなめらかな曲線を描く艶めかしい身体をシックなドレスに押しこめていたが、背中に幾本も生やした甲殻類めいた足をわしゃわしゃと動かしており、やはり奇妙なな夢だとさゆるはうなずく。手を乗せたカウンターのかたさはやはり、じゅんの部屋のそれと変わらなかった。
「……コーヒーでももらえる?」
思ったよりもすんなりと声が出た。女はさゆるへいささか大仰な仕草で一礼をし、こたえる言葉はないままにポットからカップへ褐色のコーヒーを注ぎさゆるの前へと置いた。かちゃりと小気味よい音にどこか安堵しつつ一口ふくむと、ほどよい酸味がさゆるの覚醒をうながした。
「夢ってさあ」
さゆるの胸に顔をうずめたじゅんが唐突にそう言ったので、さゆるは少し身をかたくした。別にやましいことがあるわけでもないのだが。
「うん?」
「なにかを暗示してるとか言うよね」
まだ火照りを帯び汗濡れたままの肌をじゅんの指先がなぞると、ぞくぞくとして震える。
「それってどういう」
「ん~? なんとなく。なんでもな~い」
そうしてひとつふたつたあいのない言葉をかわした後に、するりと眠りへ落ちた。
夜は懐かしく、あらためて見れば覚えのあるものばかりであり、さゆるへそこにひそむ危険な記憶をも揺さぶり起こした。
「こ……来ないで」
狼は口の端からあぶくを吹き、歯をむき出しにし、血走った目でさゆるをにらむ。
もっとも以前は、危険だとも恐怖だとも思わなかったものだ。なんら感慨もおびえもなく身をさらけ出し、身をまかせた。時にさゆるがむさぼることもあった。幾度となく繰り返したことだが、今はそれがさゆるにはたまらなく恐ろしい。汚される自分の身が自分だけのものではないと自覚したとたん、恐ろしくて恐ろしくてたまらなくなって、さゆるは逃げ出した。
狼は何頭もおり、しつこく追い縋るものもあればあっさりとあきらめ離れてゆくものもあった。なかには群れをなして迫るものも。静かな目でさゆるを見すえるものもあれば、興奮しほえかかるものも少なくなかったが、やはり声は聞こえない。
追いたてられるまま、気づけばあの夜闇にあって煌々とまたたく光の街へと戻ってきたようだ。路地を駆け抜け、通りを横断し、ショウウィンドウの明かりを通りすぎ、壁に囲まれた路地へと追い込まれ荒く息をついたところで、
「こらっ、あっちいけ! さゆるはあたしのよ!」
凛と響く声がさゆるの耳を打った。
「散れ散れ、野蛮な連中なんだからもう……大丈夫、さゆる? もう安心よ、あたし、あの手の手合いのあしらい方は慣れてるから」
「……じゅん」
にか、と白い歯がやけに艶光して見え、それを思いきり舐めまわしたい衝動にかられながらも差しだされた手を取り、立ち上がる。
「探したわよ」
「そう。探してくれていたの」
「三日目くらいかしら? 世界って案外広いのよね、もう見つからないかと思っちゃった」
「じゃあ、もう……」
「うん」
「もう……手放さないで……」
「うん」
頭頂へ乗せられた手のひらのあたたかさに思わずこぼれたしずくは、それが初めて夜に流す涙であるかのように熱く、止めどなく。
目が覚めると頬にいまだ涙のあとがくっきりと残り、さゆるへしがみつくように眠るじゅんの鼻先をも濡らしていた。
まだ夜半だ。安堵し、さゆるは二度寝を決め込むことにした。夢はもう見なかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年09月18日
参加申し込みの期限
2024年09月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年09月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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