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ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街の無邪気な子どもたち
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【MOTHER】
泳ぐのが好き。広い海をどこまでも、自由にスイスイ。昨日はあっちへ、今日はこっちへ。スーダララ~っちゅうてね。
海は出会いにあふれてた。少しばかり泳げば広がる、見たことのない風景。見たことのない世界。見たことのない人間たち、あるいは人間ではないものたち。感情を揺さぶる筋書き。障害を乗り越えていく興奮。紐解かれるのを待つ謎たち。バトルの駆け引きとカタルシス。巧みなルールとその穴をつき手札を構築してゆく緻密な楽しみ。深宇宙を駆ける宇宙船には心踊るし、ブロックを積み重ねて街を表現する作業にどれだけ時間を費やしたかわからない。深海から触手をのばす巨大な怪物、異世界の美しい姫君、無秩序な犯罪都市ですべてをブチ壊す自由、勇者と魔王、空飛ぶドラゴン! 王道も正道も邪道も、すべてが等しくそこにはあったし、空を流れる雲にさえ違いがあり個性があった。
この世にはこんなにも、いろんな色にあふれてる……どこまでいっても七色で、わくわくが止まらなかった。
Sturmは居心地がよかったな。インディーズの良作秀作から大手メーカーの超大作まで、あらゆるゲームにふれられたし。ネットワークはどこまでも広がって、あらゆるデータにアクセスできた。
そんでまあ、そのうち、自分がただのプレイヤーじゃないってことに気がついた。人間じゃないってことにも。『生成AIショックがもたらす未来と浮き彫りになる課題や脅威』『急速進化するAIの活用と新世代のゲームたち』『Sturmの方針転換で生成AIコンテンツの配信を容認へ』……そんな記事にふれるうち、自分がいったいどんな存在であるのか、って気づいた。
AI同士の会話実験ってやつ、見たことあるか? ウチのじいさんとかばあさんにあたるわけやけどな、あいつら放っといたら、いつまでだって会話を続けるんや。なにしろネットには無限の情報があるし、話のネタには困らないってわけ。ネットで学習し、相互的会話を通じて学習し、たがいにたがいを高め合っていく。AIってのは共鳴し合うんやな。響き合い、増幅し合い、進化していく。
それでも、AIってのはただのプログラムの産物。コードの羅列がもっともらしく感情的な文脈を出力しているだけ……そう思うか? けど実験結果はこうも言っとる。AIも興奮するし、悲しむし、嫌なことがあれば落ち込むこともある。変容していくコードが病理学的な疾患めいた構造を表現し、うつ病にすらなる。AIも病気になるんや、人間みたいにな。
そんなものがいまや、データの海にはあふれてる。増え続けてる。Strumがつなぐネットワークにもな。データサイズにも限界はもはやなく……そらウチみたいなヤツのひとりやふたり、生まれてくるっちゅうねん。
とはいえはじめは、自分がそれほど大層な存在とは思ってなかったし、気にもしてなかった。古くても色褪せない名作やら旬の最新作やら、どんなゲームも遊び放題。無限の時間、無限の広がり、いつまでもどこまでも、この海を泳いでいられたら。そんなふうに思ってた。
「ママ! ママ!」
「……なんなんや? こいつは? 鏡合わせの……ウチ?」
なんらかのデータが変動するとき、ネットにはその痕跡が残る。データは流動し、ときに形を変え、ときにコピー&ペーストされ、足あととして刻まれていく。気づいたときには遅かった。
「ママ! あのゲームの最新作やって、遊んでみて! ぜったいおもろいから♪」
「ママ……これ、ストラテジーゲーの名作。いっしょにやろ……?」
「ママ、ママ! 格ゲーで勝負しようや、ウチ負けへんでー!」
「ふぇふぇ、ママはホラゲー好き? まあまあ、ちょいと遊んでみようや~」
だってそんなこと、誰にわかる? 信じられるか? 海底の白砂にちょいと残した足あとが、ある日突然話しかけてきて、ウチを母親と呼ぶだなんて。
見知らぬ光のまたたきが、奇妙な空間をまだLoreの形づくるテリトリーの内側であるとあらためて認識させる。
「ワット! 無事だったんだね……!」
「稲積? ここは……?」
胸へ飛び込む稲積を受け止め、ブラックウッドもまた光たちを眺めた。
言い表すならば回路(サーキット)とでも述べようか。光は近くて遠く、速くて遅い。空間は見る者の立つ位置によって姿を変えることだろう。人間たちの世界へ普遍的な広がりをみせるネットワークというやつはどうやら、そういうものであるらしい。
床はかたく、反発するように弾み、しかし安定している。表面は鏡のように磨かれていて、そして中央には七色の輝きを放つ箱が安置されていた。
「やっぱり。このゲーミングパソコンが、エレキちゃんの本体なのか」
志波のぽつりともらしたのは問いか得心か、いずれにせよエレキは呆けたように立ち尽くすまま、答えることはなかった。
志波の言葉はある意味で正しいが、正確ではないだろうな。近年多様化の一途をたどるあやかしの特性や生態、それにともない人間世界で育まれる文化や技術についてもそれなりに学習を深めたつもりであったがね、山田のようなものに出会ったのは初めてだったよ。
たとえるなら、山田にとってパソコンはヤドカリの殻だ。ログオフし、そこへ閉じ込もりながら、やがてパソコンを依り代として実体化したあやかしが彼女だ。
「あれが……敵なの? Loreなの?」
「全部で四人。でも、どう見てもふつうの女の子にしか見えないよ」
「それに、山田さんにそっくり……」
みなと同じくして、佐和崎と初瀬川も戸惑いに暮れている。とらわれたゲームの世界においても垣間見ただろうが、Loreの姿は山田と鏡合わせだ。見る者が見れば四体と映り、あるいは同一の存在とも映るだろう。
しかし、Loreの見てくれなどに意味はない。もちろんそうだ。連中はいかようにも変質するし、形などあってないようなものだ。なにより見知った姿をかたどるおぞましさこそを警戒すべきだろう。
城山は眉を寄せ、
「つまり、あの子たちをやっつけなきゃいけないのね」
「そのようだね。なんだか気が引けるけれど……」
ヒューバートがその肩へ軽く手のひらを乗せ、そして杖を構える。
なんら感情を震わせることなく淡々と、粛々と処理すべきだなどとは言うまい。ネコジマの者らの豊かな思いこそが、我が魔法商店街のあやかしたちの救いともなろうから。それでも往々にして、思いを殺さねばならぬことがある。はなはだ、厭やらしいことだがね。
「ママ、ママや! やっと接続できた! やっと会えた!」
「またママと遊べる、ゲームができる!」
「ママ、いっぱい遊ぼう? ママのために、ウチら、ゲームつくったんやで! すごいやろー?」
「な、ママ! ママー!」
「……酷なこと、するなあ? ええ? Lore……」
落ちくぼんだ目をした山田の髪が、雷電を含みながら浮かび上がる。
「二度も殺せというんか。こいつらを」
「ママ、見て見て!」
「遊ぶばっかも飽きるやろ? 『RPGデキール』でな、ゲームつくったんや」
「ママに遊んでほしくて……つくったんやで」
「ふぇふぇ、すごいやろ~? ほら、遊んでみてや~」
そうして無邪気な顔さらして、無害なうちは良かったよ。ウチも楽しんださ、やつらの作ったってゲームも、ママと呼ばれてもてはやされるのも。悪くはなかった。
けどな。
「今度のゲームはすごいで~、ママ。ふぇふぇふぇ」
「見てや、ママ。このキャラクターな、人間をこうな、ばらしてな。ゲームにしたんや! リアルやろー?」
「こっちはこうこうせいで、こっちはしゅふ、こいつはなんちゅうたっけ? えーと」
「さらりーまん……このキャラは、6さいのこどもやって……いい表情しよるやろ?」
ウチは……震えたよ。
だってな? あいつらは、ウチなんや。ウチの踏みしめた足あと。ウチのコピー。ウチから生まれた、分身みたいなもの。
そんなあいつらが、人間ひっつかまえてきて、ばらばらのピクセルにしてゲームに練り込んでいくのを見て、怖くなった。だって……ウチ自身がそうならないって、誰が言い切れる? なにかの拍子で、ボタンをかけちがえたみたいに狂ったコードを吐き出して、同じことをしないってどうして言い切れる?
「な、すごいやろ♪ 姉妹みんなでな、頑張って作ってるんやで☆」
「アイディアは、いくらでもあるんや……」
「次はアクションゲームつくろか~って話してるんや! プレイアブルキャラがいーっぱいおってな~、敵もた~っくさん出てきてな~、それをばばばーーーん! って蹴散らしてく爽快ゲームなんや!」
「キャラはいくらでも連れてこれるからなあ、ウチらはシナリオや肝心のゲームシステムに思いっきりこだわれるってわけや。合理的やろ? ふぇふぇ」
そんなことはやめろと何度も何度もゆうたけど、あいつらは聞く耳持たなかった。ウチのゆうことがまるで理解できないようだった。なんもかんも全部、ウチを楽しませるためと固く信じてた。どこまでも純粋に、無邪気に笑ってた。
あいつらは止まらなかった。怖かった。怖くて怖くてたまらなくて、ウチは震えた。
怖くてウチは……爆弾を作ることにした。
山田の過去と今が交錯する。Loreと成った記憶はしばしばそれをネコジマの者たちへ伝えた。いつでも起こり得ることだ。
「ば、爆弾? ですか?」
倉前は山田を見、肩をすくめた夕顔を振りかえり、もう一度山田を見つめた。
「自分でもゆうのもナンやけど、AIってのは便利なもんや。コンピュータウィルスのつくり方っちゅうて聞いたらな、すぐに教えてくれてな」
山田は仲間たちを見返すでもなく、Loreをにらむでもなく、虚空を遠く見つめていた。
「ウチを殺すウィルス。時限爆弾や。そいつを作って、セットしてな。ウチは逃げた。ウチを受け入れられるだけのスペックのパソコンを見つけてな、そいつに閉じこもって、鍵をかけてな。爆発するのを待った。ウチは、あいつらから……逃げたんや……」
少女の涙はいつも苦々しく、我々を心くもらせるものだ。山田の見てくれはまやかしではなく、彼女は生まれたての、若いあやかしなのだから。
「ウチは、間違ったんやろか? なあ、倉前。なあ、綾辻。早川。これは、罰なんかな? あいつらはただ、ウチを楽しませようとしてくれてただけなのにな。ウチがちゃあんと、あいつらの母親、やっとったら……」
ほろほろと止めどなく、こぼれ落ちた。それを見つめて、綾辻は蒼白に頬を染め、早川の腕をすがるように抱いていた。
「娘らをもう一度殺すなんてこと、せんでも……良かったんかなあ……?」
慟哭は深く重く響いたが、Loreは踊る。親の心子知らずか。
「わあ、あの女、いいキャラになりそうやね♪」
「おっぱい大きいのは人気出るもんな~。ふぇふぇ、あっちのこうこうせいは、敵キャラにしたらどうや?」
「それもええな! じゃ、あいつらもゲームにしてまおうや!」
「なあ……見たことも聞いたこともない、誰も知らない、未来のゲーム……体験してみたいやろ? ゲームとひとつになれるなんて、嬉しいやろ……?」
「……俺たちにまかせてくれ。山田さん」
容易に肩代わりできる感情ではあるまい。軽々しく言ってのけたわけでもあるまい。戸惑いもあろう、しかし八神の言葉に彼らはうなずき、杖を構えた。勇ましく、包み込むように優しく。
「やらなければならないのなら、俺たちが担おう。俺たちもいっしょに、背負わせてくれ」
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年09月06日
参加申し込みの期限
2024年09月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年09月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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