マイ・フェイバリット｜リアクション

マイ・フェイバリット

●お気に入りの味と散歩コース発見

「今日は星ヶ丘エリアを目指して歩きましょうかね」
　倉前七瀬は、日課の散歩のために外出をしている。
　散歩コースはいつも決めていないので山に行こうか、海に行こうか、ざっくりした目的地だけ決めて後は気の向くままにぶらぶらと。
　どこに行こうか考えながら歩いている道中、ウォルター・Bに遭遇した。
「おや、奇遇ですねぇ」
　といつもの挨拶を。
　挨拶が終わった後、七瀬はウォルターに「よかったら、僕と一緒に散歩しませんか？」と誘った。
　忙しいようなら無理に引き止めないが、ウォルターは「いいねぇ、しよう」と誘いに応じてくれた。
「散歩コースは決まっているのかなぁ？」
「いえ、いつも決めてません。気の向くままにぶらぶらとです。これが結構楽しいもので、思いがけない発見があるとですよ」
　それは面白そうだねぇ、とウォルターも何か発見してみようと辺りを見回す。

　気の向くままぶらぶらしているうち、二人はとある店を発見した。
「お、あんなところに本屋さん。絵本専門店だそうです」
「絵本専門店かぁ。入ってみようか」
「今度改めて行ってみます。今、入ると夢中になって抜け出せなくなりそうなので……」
　本に夢中になり、専門店で長時間過ごしていると散歩の時間が短くなる。七瀬はそう思ったのだろうか。
「今は、本よりもウォルターさんと一緒に散歩したいです」
　次の散歩で立ち寄ってみようと気持ちを切り替えた七瀬は、行きましょうと絵本専門店の近くを離れた。

　絵本専門店から少し離れた場所に、ジューススタンドのお店を発見。
「星ヶ丘はオシャレなお店が多いですね。せっかくの発見と散歩のお供に、ジュース買っていきましょう」
「喉が渇いたから、ちょうどいいねぇ」
　ジュースを買ってどこかで休憩と決めた二人は、ジューススタンドのお店に行き何を飲もうか考える。
「僕はキウイジュースにしようかな。緑色が綺麗なので。ウォルターさんはどうされますか？」
「そうだねぇ……あ」
　メニューをじっくり見ていたウォルターは、キウイジュースの下にレモネードがあるのに気づいた。
「僕はこれにするよ。おいしそうだなぁ」
　そう言って指さしたレモネードを見て、レモン好きなウォルターらしいと七瀬は微笑ましくなる。
　買うジュースが決まったので、さっそく注文する。
　スタンド付近の公園のベンチで一休みし、買ったジュースを一口。
「キウイジュースおいしいです。ウォルターさんの好きな味、気になります。あとで一口、飲んでもいいですか？」
「いいよ。僕も七瀬のジュース、一口飲んでもいいかなぁ？」
「いいですよ」
　お互いのジュースを交換し、カップに口を付けて一口飲む。
「キウイもおいしいねぇ」
「レモネードもおいしいですよ」
　ありがとう、とお礼を言ってから返し、自分達が買ったジュースを飲み干す。

　ジュースで喉を潤し、ベンチで休憩し終えると再び散歩を。
「どうですか、散歩。歩くのって楽しいですよね」
「新しいお店や意外なものがあるといいもの見つけたという気分になるねぇ」
　ちょっとした探検気分だったと、ウォルターは楽しそうだ。
「うち、今日はウォルターさんと一緒やけん。いつもの数倍楽しいです」
「僕も、七瀬と一緒で楽しいよ」
　もう少しぶらぶら散歩を楽しもうか、と二人は話しながら歩き出した。

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