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LIQUID -Star Chronicle- 時は流れゆく
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【ストーリークエスト『エピローグ』(4)】
東方二国の片われ、ウーローンの都カンノンに建つマオメイの豪奢な邸宅を旅の終着と定めた。おそらくたどりつくころにはちょうどよく、期限の一ヶ月を過ぎているだろう。
「ふおおお……」
ぽかんと口をあけて吐息をもらしたシフォンに、ソフィアはくすりと笑む。その視線に気づくと、彼女は口元をゆるめて言った。
「絵になるよねえ。ソフィアちゃん」
「ええ、そうね。ふふ、絵筆とキャンバスが必要かしら?」
「いや~、今はやめておこうかなあ。今はなんていうか……じっくり目に焼き付けておきたい、っていうか」
目を細め、ぽつり。その光景は彼女のどこか琴線に触れたようだ。ソフィアは隣に立ち、眼前の雲海をともに見つめた。
そう、雲海だ。光の海と言いかえてもいい。朝日をはらみ、底からぼうとまばゆく輝いている。連峰の頂へといたる道程はそれなりに険しくあったが、それが報われた思いだ。
レインの弁舌も軽やかに回る。
「リキッド大陸の絶景をめぐる旅、今朝はウーローンから生中継でおとどけするよ~。見て、この景色! 思わず見入っちゃうよね。『LIQUID』の世界って、本当にきれいだなあ」
「うむ、そうだろうとも!」
配信に割り込むマオメイと、肩を組んでツーショットを撮影。多くのコメントがにぎやかに乱れ飛び、レインもほっこりと笑んだ。
彼女らが絶景を楽しむ一方で、エイジやオサムなどは警戒を解かぬままに周囲を見回した。
「うーん。やっぱりまだ……」
「ああ、いるな。ほら、あそこだ」
オサムが指差した先に、馬上の一団がちらと見えた。すぐに接敵するような距離ではないし、たがいの顔も見えないくらいの遠巻きながらに、こちらを真っすぐに見据える視線を感じずにはいられない。
エイジは首をかしげた。
「でも、おかしいよね。これまで一度も襲撃してこなかったなんて。本当に、彼らが追手なのかな」
「ワインツの旗を立てているから、騎士であるのは確かなようだが。こちらを監視しているのか? いやしかし……もしかして、彼らの目的は……」
とオサムがひらめきを述べかけたところで、
「ねえ見て、オサムくん! あそこ!」
アオイの叫びにオサムやエイジ、みながそろって振り向くと、内に抱く光を空へもらす雲海の上を、燃ゆる羽を持つ不死鳥が悠然と飛んでいた。思わず見つめるうち不死鳥はゆっくりと高度を上げ、急くこともなく、光にじむ稜線を飛び越えて消えていった。
尾根の向こうに、朝露に濡れたようにきらめく都が横たわっているのが見えた。カンノンだ。
「……終わってしまうんです、ね」
旅の終点を視界へ明確に認めたところで、アヤカの口からこぼれるように言葉がもれた。瞳にはきらと雫をためていた。その肩をケイがそっと抱き寄せる。彼らの視線の先には雲海とともに収まる、マオメイの屈託ない笑みがあった。
冒険者として活動を始めて久しい。ことに遺物、月の杯をめぐる冒険は大陸のすべてを舞台に、アヤカやケイは東奔西走。その過程に出会ったマオメイとも、実に長いつきあいとなったものだ。
色鮮やかで美しい着物をいつもだらしなく着崩して、からからとよく笑った。隙だらけな彼女だが専門とする研究には真摯に向き合い、ときにその身を投げ出すほどだ。瞳を白く染め上げ姿をあらわしたときなど、アヤカは心臓が止まるかというほどに驚いたし、心配もした。彼女という存在に、すっかり愛着がわいていた。
「でも、それももうすぐ……」
「縁が切れてしまうわけではないよ。大丈夫。また会えるさ」
おりしも、リキッド大陸の外の世界においても別れの季節はおとずれんとしていた。その事実がアヤカをいささか多感にしたようだ。思わずケイの胸に額をよせ、アヤカはすこし泣いた。
暗闇に炎が揺れる。闇はときに恐怖ももたらすが、人々にとって安寧の象徴でもあろう。その夜は冒険者らにとって、忘れられないひと時となった。
山腹にておこした焚き火を囲い、ささやかな夕飯をともなうキャンプはマオメイが音頭をとり、ちょっとした酒盛りとなった。そのさなかに、彼はおとずれたのだ。
「……! あ、あなたは」
アヤカが杖を取り上げ、ケイが彼女を背にかばいながら剣を引き抜く。
「んお?」
赤ら顔のマオメイは杯から酒をこぼし、レインは実況配信に余念がない。
「うわわ、大変なことになってきちゃったよ! キャンプ中、ついに追手の襲撃が! これはもーバトル勃発……」
「いやあ、ここいらは思いのほか冷えるんだな。こんな軽装で来るんじゃあなかったぜ。はあ、やれやれ」
旅を続ける間、常に一定の距離を保ちながら随行してきた、あの男だった。特務騎士ビサップ。ワインツ皇帝キールの手による追手を率いる、かつては元皇太子ベルモットに見いだされて騎士となり、数多くのおぞましい任務をこなしてきたという。
男はたしかに、おそろしげな風貌をしていた。口角を上げれば獣の牙めいてむき出した歯がぎらつくし、鋭い目つきなどまさに獲物を狙う猛禽のごとしだ。岩か山のような巨漢だし、浅黒い肌は傷だらけだし、胸の焼き印だっていやでも目に入る。
「申し訳ないが、ちょいとばかり火に当たらせてもらってもいいかね? できればあちらで子犬のように震えている、部下たちもいっしょに」
しかしよくよく見れば、細められた瞳はなんだか穏やかだし、不意を突き取って食おうなどというそぶりも見られない。なにより彼も、木々の向こうから姿を見せた彼の部下たちも、一切の武具の類を取り去っていた。
なるほど、とオサムはうなずくと、不安そうに揺れるアオイの目にやさしくうなずいてから、ビサップへ語りかけた。
「では、君たちも飲むか? みんな、どうだ? マオメイも、かまわないだろう?」
「ふむ? まあ、そうだなあ。どうやら聞いていたより、穏やかな男であるようだし……」
「おおそうとも。虫も殺せん男でね、俺ってやつは。それに、酒にも目がない」
そうして奇妙なことに、追手たちとの酒盛りが始まったのだった。部下たちも焚き火のまわりへ腰を下ろし、騎士と呼ぶにはどうにも粗野に思える彼らへ、となりあったソフィアやシフォンが酒をついでやった。いつのまにやら、マオメイを討ちにきた厄介な追走者とは思えなくなっていた。
「どうぞ、騎士さん。玉楼の宿で譲ってもらった、一番安いお酒だけれど」
ソフィアの酌を無遠慮に受けて、ビサップはそれをひと息に飲みほすと、熱い吐息をもらした。殺しの逸話が常につきまとうような凶暴な男とは思えない、たとえるなら絵本に出てくる巨躯だがおっとりとした熊のようなたたずまいだった。
「ああ。こいつは美味い。俺が今までに飲んだ酒で、二番目に美味い酒だよ、こいつは」
「二番目ですか? じゃあ、一番美味しかったお酒は?」
エイジがたずねると、男は獣のような凶相に似合わぬ穏やかさを笑みに深めた。その表情に、エイジは彼が得物のだんびらも持たずに冒険者らの前へ身をさらす理由へ、なんとなく思い至った。
なかばつぶやきのように、ビサップは言ったのだ。
「でかい仕事の前夜だったな。血のように赤い安酒を、浴びるように飲んだよ。あの人が遠慮するな、いくらでも飲めと言ったんで、俺は本当に遠慮しなかった」
かつて地に染みこむ泥水をすするような奴隷であったビサップは、腕っぷしや度胸を見い出され、騎士へと引き上げられたという。ベルモットによって。かの元皇太子の奇行はワインツのみならず各国へも知れ渡るくらいであったし、皇帝の息子という血統もレッテルもすべて意に介さず、そのくびきから逸脱することを己の命題とでもするかのような男であったから、もちろん正しい手続きなど踏むこともなく強引を押しとおしたのだろうことは想像に難くない。
いずれにせよ、ビサップにとって奔放にすぎる皇太子の存在は、彼へ寄せられた奇異やおそれの目に反して、救いであったのだろう。どんなに奇矯な狂人であったとしても。
「残忍で、イカレてて、食えない男だったがね。あの夜に、あの人と肩を組んでさ、くだらねえバカ話に大笑いして……バカ騒ぎしながら、夜通し飲んだ酒の味を、俺はまだ忘れられない……」
彼の部下たちもまた同じ思いであったのだろう。なかにはそっと涙をこぼす者もいた。彼らもまたごろつき揃い、きっと物好きな誰かによって引き上げられねば、いつまでも闇の中をのたくっていただろう者たちだ。
彼らの掲げた杯は、献杯なのだ。
エイジもまた思い出す。
彼と初めて出会ったとき
などはこの上なく不遜な男に見えたものだが、哀れにも希水へ散った彼の最後がまぶたの裏へちらつくと、なぜだかすこしだけ、あの日がなつかしく思えた。
しばらく玉楼の安い酒をあおった後、ビサップはおもむろに立ち上がった。
「さて、皇帝陛下のおいぼれにゃあ、任務失敗の報告をしなきゃあな」
「おとがめは無いだろう」
その背へオサムは告げた。ソフィアもまたうなずいて、
「きっとはじめから、そんな気はなかったのよ。きっとどこかで、けじめが……区切りが必要だったんだわ。誰も彼も……」
ビサップはしばし立ち止まり、天をあおいだ。やがてもの言わぬまま再び歩き出し、部下を引き連れ、ワインツへの帰路を去っていった。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年08月02日
参加申し込みの期限
2024年08月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年08月09日 11時00分
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