this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
WONDERFUL OPPORTUNITY!
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
…
15
つぎへ >>
みちるは真遠のベッドサイドの席に腰を下ろした。
「もう平気なの?」
「まあな。明日からシャバに復帰だ。当分は松葉杖だけどな」
「退院して最初にやりたいことは?」
「ラーメン食うことかな。それも背脂ギットギトの健康に悪そうなやつを。入院前は滅多に食べなかったんだけどなあ」
「あはは、禁断の味って感じ?」
等々しばらくふたりは見舞いにつきものの会話を交わしていたが、やがて話題はみちるが抱えている裁判に移っていった。
「もともと今回のクライアントとはつながりがあったからね。大学の集団強姦サークルの事件、あったでしょ? あの主犯が通ってた美容室ってのがあの子の家でね」
「みたいだな」
真遠も知っている。主犯の十輪田 黄金(とわだ・こがね)が通っていた美容室だ。たまたま近い店だったというだけで事件との関連性はない。しかし主としてテレビのワイドショーが事件について深掘りした結果、悪い意味で注目が集まり一時期美容室は嫌がらせの電話や迷惑MewTuberの被害にさらされるはめになったのである。
店から依頼を受け、悪意の攻撃からの対策をみちるは請け負った。あの当時はまだ、そういった仕事を受けるくらいの時間的余裕はあった。徹底して対策したのが奏功して嫌がらせは絶えた。
なのにその矢先がこれだ。
「その縁もあって、今度の裁判も引きうけたってことか」
「うん。まあそうでなくても、加害者が被害者を訴えるなんてメチャクチャ、とてもじゃないけど看過できないからね」
現在のみちるは殺人的な過密スケジュールにあり、入ってくるすべての弁護依頼は断らざるを得ない。彼女の本業が弁護士であることを考えると本末転倒な状況ではある。しかしみちるはどんな依頼があっても最低限の概要を聞き、事件にあった信頼できる弁護士事務所を紹介するよう努めているそうだ。見上げたプロ意識だと真遠は思う。
「それに」
「それに?」
「どうも他人事って気がしないんだ。あの母子見てると」
開けていい? と断ってみちるは、カーテンをひらき黙って窓の外を見つめた。
やはり灰色の壁があるだけ、もう夜なので黒に近い灰色だ。なのにみちるは視線を動かさない。
俺と同じであそこをスクリーンにして過去を観てるんだろうか。
「……私が北海道生まれってこと、知ってるでしょ?」
おもむろにみちるが口を開いた。
「ああ。直接聞いたことがあるし、一番はじめに出たみちるの本にも書いてたな。自伝っつーか」
「やだあの本買ってたの!?」
「出てすぐな。言わなかったっけ」
「聞いてないよ。あんなジャンク本忘れてっ」
タイトルは『Michiru―華麗なる転身』だったと思う。みちる初の著書である。発売されたのはみちるが、法律家寄りの本やエッセイ集を出すよりずっと前、まだテレビに出始めたころの話だ。いわゆるタレント本であり新書サイズ、帯には『元トップキャバ嬢が弁護士に☆ 噂の美女の波乱の半生記♪』『タレント○○さん鬼推し!!』といった恥ずかしくなるような文言が踊っている。表紙とて宣材写真もかくやのキラキラぶりだった。そこそこ売れた本のはずだがあまりにタレントノリ過ぎて、みちる自身が重版を拒否しておりいまや絶版、ネットのフリマサイトでは高値がついているという。みちるが嫌がるのも当然かもしれない。なにせ最初の数ページはみちるのカラーグラビアだったりするのだ。お宝水着写真もある。
「そんな否定しなくてもいいだろう」とまで言って、真遠に思い至ったことがある。「もしかしてあれ、ゴーストライターが書いたのか?」
「一応、自分で書いた。かなり編集者が手直ししたけど」
だったら、と言いかけた真遠をとどめてみちるが言った。
「でもねあの本には、書いてないこともあるんだよ。一般受けしそうなとこしか明かしてない」
真遠を見ずにみちるはつづける。
「札幌でね、私、建設会社の社長令嬢だったんだ。ずっと裕福な暮らしを送ってたけど、高校進学直後に父親が失踪した。会社は無茶な投資にのせられて倒産しちゃってね。残ったのは莫大な借金だけ。父親、いまだに生死不明だから」
みちるは寂しげに唇をゆがめた。
真遠は口を挟まなかった。ただ思う。
有名になったみちるのもとに、父親が名乗り出てこないのはなぜだろう。
恥ずかしくて出てこられないのか、すでに出てこられない状態にあるのか。
「借金取りが押し寄せてきて、母親はショックで自殺しちゃった。親戚も誰も助けてくれなかった。だから私、高校は中退して逃げるように上京したんだ」
初耳だ。たしか自伝には、学校生活になじめなくて退学したとしか書いていなかった。
「そこからいろいろあって、六本木でキャバ嬢デビューしたのは十九歳のとき。素質、というよりは適性があったのかな。最初に勤務した店で私、たちまちトップになった。ヘッドハントされた店でも同様、都内最高級のクラブで五年連続ナンバーワンになって――あとはご存じの通り」
まだ絶頂期がつづくと思われていたさなか、みちるは突然二十四歳で引退した。法曹界に興味を持ったからだった。知らぬ間に連帯保証人にされ金銭トラブルに巻き込まれかけた際、常連客だった弁護士の助けで窮地を逃れたことをきっかけに、この道を目指すことに決めたのである。
時間はかかったがみちるは成功した。そして現在、弁護士の世界でもトップクラスの活躍をしている。
「さっきまで下で、クライアントの母子と話してたんだよ」
「紗櫻都、って子だよな。俺とはリハビリ仲間だ」
「きっと勝ってみせるよ、裁判。副業もしてるけど、本来私は、こういう裁判を戦うために弁護士になったんだから。力なき人の力になる、それが私の使命。勝たなきゃいけない」
「もともと訴えた側が無理筋の話だ。そんな気負わなくても」
「ごめんね、星山くんがそう言ってくれるの嬉しいけど。でも私は気負っていきたい。だって世の中は女に厳しいから。とくに、この国では」
おそらくみちるも、ネットにあふれる罵詈雑言を見たのだろう。
紗櫻都って子も母子家庭らしいな。しかも母親は外国人、憎悪のターゲットを探している手合いには格好の餌食だ。
みちるの根が真面目なことを真遠は知っているつもりだ。だがここまで真剣な彼女を見たのは、知りあって以来はじめてかもしれなかった。
「おっと」時計を見てみちるは立ち上がった。「もう面会時間は終わりだね。お見舞いに来たはずなのに、なんか私の話ばっかになっちゃって。聞いてくれてありがと」
「いや、俺も楽しかった。いろいろ話してくれたのは、俺が信用されてる……ってことでいいのか?」
みちるは何も答えなかった。
だが身をかがめ、真遠に口づけした。
ただふれただけではない。二、三秒ほど、深く。
唇同士が離れると、真遠が何か言うより先に、
「……バカなやつ」
ぽそっと告げ、みちるは謎めいた笑みを残して病室から立ち去った。
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
…
15
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
WONDERFUL OPPORTUNITY!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年07月25日
参加申し込みの期限
2024年08月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年08月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!