- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ハレよ、風吹け ～ぼくらが幸せでありますように～
黄金色の夕日、黄金色の樹
「なんかこうして二人で何かを追いかけたりするの懐かしいな……」
「あれぇ、陽太くんも？」
花びらを追って九夜山を下りてきた呉井 陽太と志波 武道が走っている。
「キミとは色んな事をたくさん乗り越えてきた気がするんだけど困ったな。よく思い出せないや……」
「俺もだよ。ただこの状況は普通じゃない、ってのはわかる。何かが起きているか分かれば、少しは心が軽くなるかもしれない」
陽太はそういう武道の横顔をみた。思い出せないこともあるが、忘れていないこともある。彼のこと、彼の力になりたいと今も昔も強く思っていること――。
「陽太くん、この先って……」
「ああ、寝子高だねぃ」
降ってくる灰のような花びらも、気持ちよくゴロゴロと喉を鳴らした猫たちから舞い上がり輝きを抱いて空へと逆流してゆく花びらも、寝子高のグラウンドの遙か遙か上空から来て還ってゆくようにみえる。
と、寝子高のそばの自販機のところに佐藤 英二とアホ毛の少女がいた。
いい雰囲気のようにも見えたが、いまはそれに配慮している余裕がない。
「えーっと通りまーす☆」
「ごめんねぇ」
「志波先輩と呉井先輩？ なにかあったんですか？」
武道は申し訳なさげに空を舞う花びらを指差す。
「俺たち不思議な花びらを追ってて」
「花びら？」
英二はアホ毛の少女と一緒に空を見上げる。
先程よりさらに日が傾き、黄金色に輝く夕陽が寝子高の校舎をキラキラと照らしだしていた。
その手前、茜めいてきたグラウンドの上空に――
「なんだあれ！」
「黄金色の……」
「桜の樹？」
巨大な巨大な金色の大木が、うっすらと姿を現し始めたのである。
突如の巨大樹の出現は寝子島のどこからでも見えた。
唖然と驚く陽太や武道、英二の脇を追い越して、黒塗りの高級そうな車が校門の前に止まった。
スマホを手に、厳しい表情で車から降りてきたのは八神 修だ。
「やはり、寝子高がこの不思議な花びらの元だったか」
俺たちの記憶に『ナニカが干渉している』――早い段階でそう確信していた修は、卒業式直後から島内を調査し花びらの目撃情報を地図に落とし込んで中心地が寝子高であると推理、この場所へと駆けつけたのであった。
「修くん！」
修から連絡を貰った七夜 あおいも寝子高の校門に駆けつける。
「あおい！」
「こんな樹がグラウンドの上空に……。大きすぎるし……神々しくて圧倒されるね」
「皆に写真付きで知らせようと思ったが、これも映らないな。でもひとまず情報は拡散しておこう」
「これだけの樹だもの、みんなびっくりしてあつまってくると思う」
あおいの予測のとおりだった。
寝子高のグラウンドにはすぐに多くの人が集まって来た。
人だけではない。どういうわけか猫たちまで集まってきた。その数はとても数えきれない。人よりも多いと言われる寝子島の猫のほとんどがこの地に集結したのではないかと思われるほどである。どの猫も首を伸ばして、まるで神の降臨を待つ信者であるかのように上空の巨大な樹を見上げている。
巨大な樹は根元の方は蜃気楼のように揺らいで霞んでいたが、上空は透き通ってはいるもののはっきりと枝葉が見えて、その大きさは寝子島を覆うほど。
樹は枯れかけていた。葉は落ち、花びらを散らして、その枝は冬の木立のように寂しく細くなっていた。
だが輝く花びらが樹に戻って吸収されてゆくたびに、その幹は輝きを増しているように見える。
修はそこに希望を見た。
「もう一度この樹が花を咲かせることはできるはずだ」
「俺たちが花びらを手にしたときに見たものが未来のたくさんの可能性なら」と武道。
「消えないようにこの樹に戻してやればいいんだねぃ？」陽太が武道の言葉を継ぐ。
「でもどうすれば」
英二が疑問を口にしたとき、アホ毛の少女がみんなの輪の真ん中に進み出た。
「みんな！ 猫をなでなでして！」
どこからか灰色猫と白猫も現れて、アホ毛の少女の腕の中に収まる。
少女は灰色猫を、それから白猫を撫でた。
ゴロゴロと喉を鳴らす灰色猫と白猫の周りから、輝く花びらが浮かび上がる。
「よくわからないけれど、撫でればいいのね」
恵御納 理沙が進み出る。
「なでなでするよー！」
元気いっぱい手をあげてお返事するのは柚瀬 玲音。
修とあおいもお互いに顔を見合わせあう。
「修くん」
「ああ。皆で咲かせるぞ。猫たちを撫でて花びらを活性化して、枯れ木に花を咲かせるんだ！」
「なんかこうして二人で何かを追いかけたりするの懐かしいな……」
「あれぇ、陽太くんも？」
花びらを追って九夜山を下りてきた呉井 陽太と志波 武道が走っている。
「キミとは色んな事をたくさん乗り越えてきた気がするんだけど困ったな。よく思い出せないや……」
「俺もだよ。ただこの状況は普通じゃない、ってのはわかる。何かが起きているか分かれば、少しは心が軽くなるかもしれない」
陽太はそういう武道の横顔をみた。思い出せないこともあるが、忘れていないこともある。彼のこと、彼の力になりたいと今も昔も強く思っていること――。
「陽太くん、この先って……」
「ああ、寝子高だねぃ」
降ってくる灰のような花びらも、気持ちよくゴロゴロと喉を鳴らした猫たちから舞い上がり輝きを抱いて空へと逆流してゆく花びらも、寝子高のグラウンドの遙か遙か上空から来て還ってゆくようにみえる。
と、寝子高のそばの自販機のところに佐藤 英二とアホ毛の少女がいた。
いい雰囲気のようにも見えたが、いまはそれに配慮している余裕がない。
「えーっと通りまーす☆」
「ごめんねぇ」
「志波先輩と呉井先輩？ なにかあったんですか？」
武道は申し訳なさげに空を舞う花びらを指差す。
「俺たち不思議な花びらを追ってて」
「花びら？」
英二はアホ毛の少女と一緒に空を見上げる。
先程よりさらに日が傾き、黄金色に輝く夕陽が寝子高の校舎をキラキラと照らしだしていた。
その手前、茜めいてきたグラウンドの上空に――
「なんだあれ！」
「黄金色の……」
「桜の樹？」
巨大な巨大な金色の大木が、うっすらと姿を現し始めたのである。
突如の巨大樹の出現は寝子島のどこからでも見えた。
唖然と驚く陽太や武道、英二の脇を追い越して、黒塗りの高級そうな車が校門の前に止まった。
スマホを手に、厳しい表情で車から降りてきたのは八神 修だ。
「やはり、寝子高がこの不思議な花びらの元だったか」
俺たちの記憶に『ナニカが干渉している』――早い段階でそう確信していた修は、卒業式直後から島内を調査し花びらの目撃情報を地図に落とし込んで中心地が寝子高であると推理、この場所へと駆けつけたのであった。
「修くん！」
修から連絡を貰った七夜 あおいも寝子高の校門に駆けつける。
「あおい！」
「こんな樹がグラウンドの上空に……。大きすぎるし……神々しくて圧倒されるね」
「皆に写真付きで知らせようと思ったが、これも映らないな。でもひとまず情報は拡散しておこう」
「これだけの樹だもの、みんなびっくりしてあつまってくると思う」
あおいの予測のとおりだった。
寝子高のグラウンドにはすぐに多くの人が集まって来た。
人だけではない。どういうわけか猫たちまで集まってきた。その数はとても数えきれない。人よりも多いと言われる寝子島の猫のほとんどがこの地に集結したのではないかと思われるほどである。どの猫も首を伸ばして、まるで神の降臨を待つ信者であるかのように上空の巨大な樹を見上げている。
巨大な樹は根元の方は蜃気楼のように揺らいで霞んでいたが、上空は透き通ってはいるもののはっきりと枝葉が見えて、その大きさは寝子島を覆うほど。
樹は枯れかけていた。葉は落ち、花びらを散らして、その枝は冬の木立のように寂しく細くなっていた。
だが輝く花びらが樹に戻って吸収されてゆくたびに、その幹は輝きを増しているように見える。
修はそこに希望を見た。
「もう一度この樹が花を咲かせることはできるはずだ」
「俺たちが花びらを手にしたときに見たものが未来のたくさんの可能性なら」と武道。
「消えないようにこの樹に戻してやればいいんだねぃ？」陽太が武道の言葉を継ぐ。
「でもどうすれば」
英二が疑問を口にしたとき、アホ毛の少女がみんなの輪の真ん中に進み出た。
「みんな！ 猫をなでなでして！」
どこからか灰色猫と白猫も現れて、アホ毛の少女の腕の中に収まる。
少女は灰色猫を、それから白猫を撫でた。
ゴロゴロと喉を鳴らす灰色猫と白猫の周りから、輝く花びらが浮かび上がる。
「よくわからないけれど、撫でればいいのね」
恵御納 理沙が進み出る。
「なでなでするよー！」
元気いっぱい手をあげてお返事するのは柚瀬 玲音。
修とあおいもお互いに顔を見合わせあう。
「修くん」
「ああ。皆で咲かせるぞ。猫たちを撫でて花びらを活性化して、枯れ木に花を咲かせるんだ！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2024年08月04日
- 参加申し込みの期限
-
- 2024年08月11日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2024年08月11日 11時00分
