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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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ハレよ、風吹け ～ぼくらが幸せでありますように～
休憩のひととき
「あーっ、つっかれたー！」
料理の補充などパーティの手伝いをしていた仙藤 蒼に、休憩時間がやってきた。
人が多くて息苦しくなったのでふらりと外の空気を吸いに出る。
桜花寮は桜川を挟んで女子寮と男子寮に分かれているので、水の流れでも見ようと川辺に向かうと、幹事のひとり椎井 莉鳥が佇んでいた。
「椎井先輩、お疲れ様です。先輩も休憩ですか？」
「ええ、まあ」
「先輩も卒業生ですよね、すこしは食べられました？」
「食べたわ。あなたや鴻上君が手伝ってくれたおかげで、思ったより早くお役御免になったから」
「良かったです。それにしてもいい陽気ですね」
「いい陽気だわ。でも気になることがあるの。あれ……何かしら」
莉鳥は空を指差す。蒼も見上げると、空から花びらのようなものが降ってきている。
「……」
莉鳥はそれを手で受け止めた――。
――莉鳥は無機質なオフィスにいた。周りにはゾンビのような顔色をしたエンジニアたちが座っていて、各々キーボードを叩いている。莉鳥の目の前の画面にも長いプログラミングのコードが表示されている。時計を見る。針は１２時。だが窓の外は暗い。真夜中のようだ。ここはまさか……ブラック企業……。
……。今のは何だったのか。
無言で手のひらを見つめていると、もう一枚、花弁が手の中に吸い込まれてゆく。
――莉鳥はカーキ色の探検服を着てジープに乗っている。
窓の外はサバンナ。遠くにキリンやゾウなどの姿も見える。
「Ｈｅｙ！」と同乗しているマッチョな男が莉鳥に合図をした。
ライオンだ。莉鳥は脇に置いていた銃を手に取り安全装置を外す。
……違法な猛獣ハンター、それが莉鳥の今の仕事だ。
「椎井先輩、どうしました！？」
ぼーっとしている莉鳥を心配して、蒼が肩を揺さぶってくる。
「……、心配ないわ。ちょっと……そうね、未来のようなものをいくつか見ただけ」
「未来、ですか！」
面白がった蒼は、三枚、花びらを取ってみた。
――スポーツと化したゲームの大会。七色に光るごつい筐体から降りた葵は、つけていたＶＲゴーグルを外す。辺りからは大歓声。今日の大会、優勝だ。
――薄紅色の絹が幾重にもかかった天蓋つきベッドの中で、セクシィなレディに成長した葵が、セクシィなままの姉・紫と抱き合っている。お互い以外、何もいらない……。
――葵はヒヨコの柄のついたエプロンを付けて、オルガンを演奏中。園の中には子どもたちがいっぱい。せんせい、せんせい、と可愛い声で呼ばれる蒼は、まさかの保育士……！？
「うわぁ、うわあぁぁ、うっわー！」
ありそうな未来、恥ずかしい未来、意外な未来、いろいろすぎて「うわー」のバリエーションしか言葉が出て来ない。でも。
「おもしろ～い！」
同じころ。
食堂のパーティ会場にいた鴻上 彰尋は、一人の少女を見かけて立ち止まった。
（あれ……知らない卒業生がいる。見たことあるような、ないような……遠いクラスの子だろうか）
三年も同じ学校に通っていたら、だいたいの人の顔くらいは見たことがあるものだけれど、どうしてかそのアホ毛の女の子のことは記憶にない。その子はあまり料理に手を付けているふうでも、友人たちがいるふうでもなく、校長先生の猫たちをなでなでしている。
彰尋はその子に近づいていき挨拶をした。
「こんにちは」
「こんにちは」
「ええと……パーティもよかったら楽しんで？」
「うん、ありがとう」
なにかが引っかかる。この子と話すべきなのは自分じゃない。そんな想いが突き上げてくる。
そうだ、あおいさん。
あおいさんと彼女をあわせなきゃ！
どうしてもそうしなければいけない気がして、彰尋はあたりを見回した。
幸い、あおいはそう遠くないところで談笑していたので手招きで呼ぶ。
「あおいさん、今いいかな？」
あおいが不思議そうに近づいて来た。名も知らぬその子も立ち上がってあおいを見つめる。
「えっと……あおいさん、こちら……」
紹介しようとして名前を知らないことに気づく。
彼女はそんなことは何も気にしていない様子で、あおいに向かって微笑んだ。
「一緒に猫、撫でない？」
あおいも、まるで昔からの友人と会ったかのような自然な笑顔を浮かべる。
「猫、撫でる」
一緒にその場にしゃがみ込む。すぐに笑いあって打ち解けている様子に、彰尋はそっとその場を離れた。
なんとなく、ふたりきりにしてあげるのが良い気がして。
「あーっ、つっかれたー！」
料理の補充などパーティの手伝いをしていた仙藤 蒼に、休憩時間がやってきた。
人が多くて息苦しくなったのでふらりと外の空気を吸いに出る。
桜花寮は桜川を挟んで女子寮と男子寮に分かれているので、水の流れでも見ようと川辺に向かうと、幹事のひとり椎井 莉鳥が佇んでいた。
「椎井先輩、お疲れ様です。先輩も休憩ですか？」
「ええ、まあ」
「先輩も卒業生ですよね、すこしは食べられました？」
「食べたわ。あなたや鴻上君が手伝ってくれたおかげで、思ったより早くお役御免になったから」
「良かったです。それにしてもいい陽気ですね」
「いい陽気だわ。でも気になることがあるの。あれ……何かしら」
莉鳥は空を指差す。蒼も見上げると、空から花びらのようなものが降ってきている。
「……」
莉鳥はそれを手で受け止めた――。
――莉鳥は無機質なオフィスにいた。周りにはゾンビのような顔色をしたエンジニアたちが座っていて、各々キーボードを叩いている。莉鳥の目の前の画面にも長いプログラミングのコードが表示されている。時計を見る。針は１２時。だが窓の外は暗い。真夜中のようだ。ここはまさか……ブラック企業……。
……。今のは何だったのか。
無言で手のひらを見つめていると、もう一枚、花弁が手の中に吸い込まれてゆく。
――莉鳥はカーキ色の探検服を着てジープに乗っている。
窓の外はサバンナ。遠くにキリンやゾウなどの姿も見える。
「Ｈｅｙ！」と同乗しているマッチョな男が莉鳥に合図をした。
ライオンだ。莉鳥は脇に置いていた銃を手に取り安全装置を外す。
……違法な猛獣ハンター、それが莉鳥の今の仕事だ。
「椎井先輩、どうしました！？」
ぼーっとしている莉鳥を心配して、蒼が肩を揺さぶってくる。
「……、心配ないわ。ちょっと……そうね、未来のようなものをいくつか見ただけ」
「未来、ですか！」
面白がった蒼は、三枚、花びらを取ってみた。
――スポーツと化したゲームの大会。七色に光るごつい筐体から降りた葵は、つけていたＶＲゴーグルを外す。辺りからは大歓声。今日の大会、優勝だ。
――薄紅色の絹が幾重にもかかった天蓋つきベッドの中で、セクシィなレディに成長した葵が、セクシィなままの姉・紫と抱き合っている。お互い以外、何もいらない……。
――葵はヒヨコの柄のついたエプロンを付けて、オルガンを演奏中。園の中には子どもたちがいっぱい。せんせい、せんせい、と可愛い声で呼ばれる蒼は、まさかの保育士……！？
「うわぁ、うわあぁぁ、うっわー！」
ありそうな未来、恥ずかしい未来、意外な未来、いろいろすぎて「うわー」のバリエーションしか言葉が出て来ない。でも。
同じころ。
食堂のパーティ会場にいた鴻上 彰尋は、一人の少女を見かけて立ち止まった。
（あれ……知らない卒業生がいる。見たことあるような、ないような……遠いクラスの子だろうか）
三年も同じ学校に通っていたら、だいたいの人の顔くらいは見たことがあるものだけれど、どうしてかそのアホ毛の女の子のことは記憶にない。その子はあまり料理に手を付けているふうでも、友人たちがいるふうでもなく、校長先生の猫たちをなでなでしている。
彰尋はその子に近づいていき挨拶をした。
「こんにちは」
「こんにちは」
「ええと……パーティもよかったら楽しんで？」
「うん、ありがとう」
なにかが引っかかる。この子と話すべきなのは自分じゃない。そんな想いが突き上げてくる。
そうだ、あおいさん。
あおいさんと彼女をあわせなきゃ！
どうしてもそうしなければいけない気がして、彰尋はあたりを見回した。
幸い、あおいはそう遠くないところで談笑していたので手招きで呼ぶ。
「あおいさん、今いいかな？」
あおいが不思議そうに近づいて来た。名も知らぬその子も立ち上がってあおいを見つめる。
「えっと……あおいさん、こちら……」
紹介しようとして名前を知らないことに気づく。
彼女はそんなことは何も気にしていない様子で、あおいに向かって微笑んだ。
「一緒に猫、撫でない？」
あおいも、まるで昔からの友人と会ったかのような自然な笑顔を浮かべる。
「猫、撫でる」
一緒にその場にしゃがみ込む。すぐに笑いあって打ち解けている様子に、彰尋はそっとその場を離れた。
なんとなく、ふたりきりにしてあげるのが良い気がして。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年08月04日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年08月11日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年08月11日 11時00分
