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木の芽雨にはぐくまれ
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【秘雨】
卓へ運んだ本は全て読みきってしまった。春の長雨、菜種梅雨などというが、店外も路上もいまだしとどに濡れている。今日のところはずっとこのまま降りつづくのかもしれない。静寂にやや飽いて、
倉前 七瀬
は手持ちぶさたに今しがた読破した青春群像劇の表紙を指でなぞり、追加でソフトドリンクとトーストを注文した。
雨模様はすこし憂うつ。向かいの席にあの金髪碧眼があれば、あるいは傘ひとつにきゅうきゅうと身を押しこめて歩いてくれる相手がいるなら長雨もわるくはないが、あいにくと今日の七瀬はひとりきりだ。
「ふむん」
古書喫茶『思ひ出』はいつもより少しばかり多くの客が見られた。カウンターに詰めているのはどうやら団体客か。大学生くらいの数人の男女に、店主がひょうひょうとして応対している。理知的かつ気さくな彼は常連の七瀬の顔も覚えてくれていて、注文ついでになにかと会話をかわしたりもするが、今日のところは手いっぱいらしい。
「ふむん」
二度目の『ふむん』とともに店内をぐるり見回す。品ぞろえ豊富な書架からまた何冊か抜き出してきてもいいものだが、なんだかそういう気分でもなかったりする。窓の外をつたう雫たちがそうさせるのだろうか。
「おや?」
そうして暇をもてあましていたら、奥まった一画にゆれるピンク色が目に入った。
何度か見かけたことがある。たしか同年代の女性だ。同じ『思ひ出』の常連客らしく、熱心に、そしてなにやら楽しそうに読書へふける様子に好感を持ち、気になっていた。
三度目の『ふむん』は口に出さぬまま、考える。本好き同士なら、通じあうものがあったりするかもしれない。この宙ぶらりんな時間を埋めるにちょうどよい、軽妙であとを引かない軽い会話にさっくりとひたれるかもしれない。声をかけてみようか。
「んふふっ」
などと逡巡していたら、目が合った。おや、と思う間に彼女は立ち上がり、すたすたと七瀬へ歩み寄ると、座ってもいいですか? とたずねるでもなくすとんととなりへ腰を落として、に~んまり。
「ごきげんよう」
「こ。こんにちは?」
苗字だけは知っていた、というか店主と会話をかわすところが聞こえたことがあった。たしか、うろんじ……なんとかという名前だったはずだ。
「ええと。うろんじさん……ですよね?」
「あら、ご存じでした? んふふ。わたくし、
胡乱路 秘子
と申します。どうぞよしなに。んふふふ♪」
「あ、どうも。僕は倉前といいまして」
聞けば向こうも幾度となく店内で七瀬を見かけ、気になっていたという。
秘子はなにかと笑みを絶やさなかった。
「へえ、下着屋さんにつとめてるとですか」
「わたくしもなんだか不思議ですけれど、性に合っていたみたいです。同僚のみなさまにもお客さまにも、よくしていただいておりますし」
大学へは進学せず就職したという彼女は、七瀬とほとんど歳も変わらないが、自分とは少しばかりちがった道を歩んでいるらしい。纏うどこかミステリアスな空気感に加えて、そんなところにも興味がわいた。
「倉前さんは、大学生ですか」
「マタ大の一年です。司書教諭になりたくて」
「まあ! 素敵ですね」
秘子の時おり口にするこの『まあ!』がなんだか楽しくて、ついあれこれと語りたくなってしまう。
「ここにはよく来るとですか?」
「ええ、お気に入りのお店なんです。素敵な本ばかりですし、んふふふ。店長さんのおしゃべりも楽しいですし」
「分かります。僕も時どき、恋バナ? とかしちゃいますよ」
「まあ♪」
いかにも興味深そうな顔をするもので、少しばかり、彼の話もしたくなった。
「僕、好きな人がいるんですが」
「ふむ、ふむ!」
「でも、その人と恋人になりたいかっていうと、そうじゃなくって。でもただの友人でいいかっていうと、そうでもなくて……」
「ほう。ほう」
「好きな人と、たとえば、結婚したいって思うとか。そういうのが、『普通』なんでしょうか?」
なかなかの聞き上手だ。いつのまにやら七瀬は自身の胸の内との対話をしながら、目の前の彼女へあけすけに感情を吐露していた。
「ちょっと、こう……僕の感情って、人と違うのかなって。ねえ秘子、秘子から見て僕みたいのは、ヘンだと思いますか? そりゃあまわりがなんと言おうと、僕があの人を好きなことは変わらないですし、自分を変えようとも思わないですけど」
「いいえ。ちっとも」
真っすぐに、ほほ笑みながらにもどこか真剣なまなざしで、彼女は七瀬を見つめていた。
静かに、
「誰かの目に映った道端のつまらない石ころは、誰かにとっての宝石かもしれません。壊れて捨てられた古くて薄汚れたオモチャは、誰かの思い出かもしれません」
力のこもった言葉で、秘子は断じた。
「他者との異なり、隔たり、それそのものに罪がありましょうか。どんな個性であれ、たとえ人目はばかる奇異奇矯であれど軽んじられるいわれはなく、ただ光あたらぬすべてにカメラを。スポットライトを……」
ぱちくり、七瀬は目をしばたかせた。どうやら彼女なりの言葉で、七瀬の思いを肯定してくれたらしい。
「なんて、受け売りですけれど。んふふふ」
「……ありがとうございます。なんだか少し、気が楽になったかも」
たあいもないことと笑い飛ばしもせず、そんなの間違ってると否定もせず、かといって安直で薄っぺらい応援を口にするでもなく。自身の言葉で七瀬の惑いに激励を述べ、それでいて涼しげな顔を浮かべるまま紅茶のカップを上品に持ち上げた彼女に、七瀬は感謝した。
「雨のせいでしょうか。僕ばかりしゃべりすぎてしまったとです」
「あら、そんなことはありませんよ。倉前さんのお話、とってもとっても興味深いですから」
「そうですか? でも、僕も秘子の話が聞きたいですよ」
「わたくしのですか? そうですね。でしたら……
不思議な深夜番組とそのストーリーテラー
のお話でも、いたしましょうか。んふふふふ♪」
その日はそうして彼女の語る、奇妙でぶっとんでいて、時に胸おどり時にざわつかせる話の数々に夢中で聞き入り、退屈することはなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年07月01日
参加申し込みの期限
2024年07月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年07月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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