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真紅の月
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絢が寝子島に来たのは七年前、彼女が十二歳のときだった。
ねこでんではなく船で来た。真優理は絢を、港まで迎えに行った日のことを思い出す。よく晴れた日だった。
降船客の最後、見られることを恐れるようにして絢が姿を見せた。つきそう姿はない。大きすぎるトランクがひとつ、それが絢の荷、ひいては財産のすべてだった。トランクのキャスターが船のタラップに乗り上げ、がくんと大きな音がたった。
当時の絢の服装についてはよく覚えていない。しかし彼女が白い、つばの広い帽子をかぶっていたことだけはなぜか記憶にある。真優理の前に立つとトランクと帽子、その両方で身を守るようにして、
「お父さんが」
と言ったきり絢は言葉に詰まり、自分のつま先を見つめた。
つづく言葉は『私をこの島に捨てました』だろうか。まさかそこまでストレートな物言いは絢にはできないだろう。せいぜい、『真優理さんによろしくと言っていました』といったところのはずだ。
しかし現実は前者のほうに近い。真優理はそのときすでに確信していた。
絢の父
諒一
は写真家だ。世界的な知名度がありそれゆえか、女性関係が派手だったと聞いている。原色の艶聞をあちこちにまきちらし、幼かった絢はともかく、その母を苦しめたことは疑いがない。苦労したためか若くして絢の母が亡くなって間もなく、諒一はアシスタントの女性と再婚した。しかも再婚相手の腹には、そのときすでに子が宿っていたのである。母の喪もあけぬうちに再婚すること以上に、絢を打ちのめすに十分な現実だったのは想像にかたくない。
絢が島に来たよりずっと後のことだが、
墓参りの場
で一度、真優理は諒一と再会したことがある。その場には絢もいたので棘のある怒りを投げつけるのはこらえたものの、差し出した黒い泥のような嫌悪感は、彼にもはっきりと伝わっただろう。
絢自身は父親に、怨みをいだいているわけではないようだ。もちろん腹立ちはあろうし許してもいないようだが、まだ慕っているように真優理には見える。あえて訊かないようにしているがおそらく、寝子島で会ったこともある様子だ。
女優となり成功への階段を着実に上がりつつあることは素直に賞賛したいし、いまも夜の床で自分を手玉にとる絢には驚くばかりだ。けれど絢のなかにはまだ、トランクと帽子に隠れて下をむく女の子がいるのではないかと真優理は思っている。
それが絢ちゃんだものね。絢ちゃんのそんなところも、好きになった理由のひとつかもしれない。
絢がいつから自分のことを愛していたのか、真優理は知らない。
でも真優理のほうはもうかなり早い段階から、絢を単なる従妹とは見ることができなくなっていた。
まさか同じ気持ちだったなんてね。
はじめて結ばれたのはアクシデントに近い。酒に酔ったわけでもないのに理性が溶け落ち、猛烈な欲情に駆られ勢い任せに絢と交歓したのだ。絢を穢(けが)してしまったと、激しく後悔したものだ。いくら絢も同じ状態だったとはいえ、年長者の自分が食い止めるべきだった。真優理は長く罪悪感を抱えることになった。
ところがクリスマスの夜、絢は真優理に胸の内を明かしたのだ。
好きです。
愛しています。
一番聞きたい言葉を一番聞きたかった人から聞いた。これ以上の喜びが他にあるだろうか。
記念すべき夜となった。快楽より気持ちをたしかめあうためのセックスをした最初の夜だったから。
その後、絢は受験があり、また、真優理も年末年始の繁忙期がつづいたため身体を重ねる機会はなかった。そして紅い月夜の今夜、三度目に結ばれたのだ。
夜更かしもたまにはいいかもしれない。
抱き合い、紅い月夜に照らし出されながら話をした。
「真優理さん、天文学者目指してたって言ってたよね」
「ええ。数学でつまずいて、その道はあきらめるほかなかったけど」
「それでも普通の人よりはずっと詳しいんじゃない? 教えてほしいことがあるんだ」
「待って待って、私の場合、天文好きといっても趣味の域を出ないよ。専門的な回答なんてできないから」
「それでも訊くだけ訊きたいな」身をすり寄せて絢は言う。「紅い月夜って天文学的にはどう説明がつくの?」
真優理は内心ほっとした。わかる範囲の話だったから。
「詳しく説明すると身も蓋もないんだけどね、要は見え方の問題でしかないわけ」
「見え方?」
「そう。月は地平線、ないし水平線に近いときには赤みを帯びて見えやすくなるの。ええと、一口に月の光といっても青や赤、いろいろな色が混じりあっていること、絢ちゃんも知ってるよね?」
「光の三原色は混ぜると白になるんだよね。中学のとき理科で習った」
「そう、月からくる光だって同じよ。原理は省略するけど、青い光は赤い光より届きにくいの。地平線に近いときは特にね。だから昇りかけ、沈みかけの月光は、青い要素が弱まって赤っぽく見えるのよ」
なるほどと言って、また絢は不思議そうに告げた。
「だけどいまは、沈みかけの月じゃないよね」
「そう。だから原理からは外れているけど、青い光が邪魔される大気の状態なのかもしれない。一概に不吉というわけではないけれど……」
「不気味? そうは思わないけど。綺麗だし。私、好きだな」
「そうね。神秘的、っていったほうがいいかもしれないね」
「いいねそれ。神秘的。ロマンティックだと思う」
絢は、身をかがめて真優理に口づけた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
ホラー
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月13日
参加申し込みの期限
2024年06月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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