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【欠片たち(1)】
物持ちがよすぎるのも考えものです。部屋が使わなくなったあれやこれやであふれてしまう前に、部屋を片付けるべきでしょう。
と、
倉前 七瀬
が思い立ったのが一週間前。
「……はっ」
もはや何度目かの『はっ!?』をやり、われに返って時計に目をやると、作業を始めてからずいぶんと時間がたっています。ひろげた本のなつかしさに、かつてのめりこんだすばらしいセンテンスへあらためてふれたよろこびに、うっかり。片づけをしようと思い立った誰しもが体験する、奇妙な時間消失現象です。いや、実に奇妙。
「いかんですね。ぜんぜん進まない」
七瀬にとって主に部屋を占有するものたちの代表は、やはり本です。読みやすい文庫本、ハードカバーの海外小説、絵図がたっぷりの図鑑もあれば、ただの電話帳もありました。文字がおおければおおいほどよい、という活字中毒な七瀬ですけれど、近頃は書籍のもつ物語性や込められた情緒、行間を読み想像をめぐらせる楽しみなどにも浸るようになってきました。文字だらけのCDの歌詞カードだって、その文脈や単語のひとつひとつにだって、それを書いたどこかの誰かの感情が込められていて、ときにそれらは行間のなかに隠されていたりするものです。気づいて、ああそうか! と思えたときの感動や気持ちよさときたら、格別なのです。
「……はっ!」
われに返って時計に目をやり、ふたたび発生した謎の消失現象にうしなわれた時間を惜しみながらも、本の仕分けを続けます。
いる本、いらない本とかんたんに割り切ることはできません。どんな一冊もなにかしらの思いを帯び、それを伝えるための言葉が尽くされ、読むひとにとってすばらしい読書体験となるよう創意工夫がこらされているものです。七瀬は将来司書教諭となるべく勉強しているのですし、簡単につまらない本とか駄作とか決めつけてしまうのもはばかられました。必ず読み手がその一冊にたくした思いが、そこにはつづられているのだと、七瀬は思うのです。
「は」
などと手にした洋楽の歌詞カードを見下ろしながらに我にかえり、海外のちょっとなつかしいバンドを紹介してくれた彼の顔を思いうかべつつ、『いる本』エリアと決めたところへそれを置きました。
図書館で借りてきたりもするから、そんなにもたくさんの本を買ったつもりはありませんでしたけれど、見回してみると実になんとも。ちいさな古書店でもひらけそうなくらいの物量に、ちょっぴり気圧されてしまったりして。
「こんなに買ってたとは……ううっ」
これは本腰いれて取り組まねばまったくもって終わりが見えません。むんっ、と気合イッパツ、七瀬は山積みの本たちを前に、さあやるぞ!
……と、七瀬が思い立ったのが三日前。
「はっ!!!!!?」
どうにかこうにか整理を終えてみると、『いらない本』は大きめの紙袋にふたつぶん。思ったよりは大荷物ではありませんでしたけれど、両手にひとつずつ持ってみるとずっしり、肩に腰にとのしかかる重みはまるで売られゆく本たちの断末魔のよう。けれど彼がその重量感に思うことは、これでまた本が増やせる。でした。本との付き合いは人とのそれと変わらず、一期一会の別れアリ、次なる出会いもアリというわけでして。
「あれえ? どーしたの七瀬、その本」
「あ。ウォルターさん!」
見ればちかごろよくこの界隈へ顔を出す、
ウォルター・B
が片手にタコス、片手にコーヒータンブラーを持って怪訝そうなお顔をしておりました。
「なんだか大変そうだねえ。本の整理?」
「そんなところです。ウォルターさんは?」
「ん」
タコスをはむっ。休日にシーサイドタウンのグルメ食べ歩きを満喫中、といったところでしょうか。
「重そうだねえ。手伝ってあげたいけど、悪いね。両手がこれなもんで」
「大丈夫ですよ、見た目ほどには重くないですから……よっ、と」
汗にすべる手のひらに紙袋をしっかと持ち直し、七瀬が歩きはじめると自然、ウォルターも隣を歩きます。今日は特に用事もなくぶらぶらとしていただけだそうでして。
「そこの本屋さんに売ろうかと思って。捨ててしまうよりよかですよね」
「うん、しかしなかなかの量だねえ」
「僕が桜花寮を出て、ひとり暮らしを始めてからだから……一年くらいでしょうか。こんなに増えてしまって」
「たしかに七瀬の部屋、本だらけだものねえ」
ふうふうと荒い息をつきながらなんとはなしに空を見上げると、青く青く澄んでいます。たしかにおさんぽびよりです。なんて気持ちのいい日でしょう。おまけに隣を歩いているのがほかでもない彼なのだからもう、言うことナシ!
「そうかあ。君が寝子高を卒業して一年、ってことだよねえ。早いもんだ」
「ほんとですねえ。あの頃は……」
ふと、上目づかいに彼の青い瞳を見上げます。
「あの頃は、卒業したらもうウォルターさんに会えなくなるんじゃないかって。わりと本気で、思ってました」
「ああ……まあ実際、教師と生徒の関係ってそんなものだよねえ。卒業してからも会ったりたずねてきてくれたり、っていうのは稀だよ」
肩をすくめた彼の言葉どおりなら、七瀬とこうして外で会ったり、親しくしたりするのはどうやら、レアなケースのようです。
なるほど、なるほど。七瀬の胸にはなんだか不思議な優越感が満ちました。
「卒業してもこうやってウォルターさんと会えて、うち、幸せです」
「あはは。そりゃあ安上がりでけっこうだね」
なんて言いながらタコスをぱくんと食べてしまった彼は、七瀬の荷物の片方をひょいと取って、
「じゃ、七瀬の幸福のために、僕もひと肌脱ぐとしようか。手伝うよぉ」
「いいんですか、ありがとうございますー。おお、ウォルターさんは力持ちですねえ」
「軽い軽い」
本屋さんまで、距離にして200メートル程度でしょうか。このひと時に幸せを感じながら、短い道行きが縮まるにつれて、もっといっしょに歩きたい、そばにいたいとさみしさもつのります。
「そうだ。ウォルターさん、このあとのご予定は」
「いやあ、特には。もうひとつふたつ、なにか買い食いでもして帰ろうかなあって」
「それじゃ、ちょっと待っててください。この本が売れたら、手伝ってくれたお礼になにかおごりますから。ジュースの一本分くらいにはなるかも」
「いいの? じゃ、ごちそうになろうかな。ああ、この店だね」
七瀬の馴染みの本屋さん。ウォルターさんはまだ入ったことがないそうで、興味深げにのぞきこみます。
「査定にすこし時間かかりそうですし、終わるまでどこかで時間をつぶしててもらっても」
「いや、僕も入ろう。なかなかよさそうな店だしねえ、掘り出しものが見つかるかも?」
そう笑って扉をくぐる彼に続いて、七瀬もお店のなかへ。
あたらしい本と出会えば、あたらしい思い出も重なるでしょう。また本が増えてしまうなあ、と嬉しい悩みに、七瀬の頬はほころびました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月02日
参加申し込みの期限
2024年06月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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