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雛の祭りに思いを馳せて。
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島山梅園は、昨年訪れた時と様子が変わらないように感じられた。去年は島山 久幸に案内されて歩いたその梅園を、
城山 水樹
と
ヒュー・ヒューバート
は小高い丘の上から見下ろし、眺める。
眼下に広がる梅の花――場所によっては既に散ってしまった木もあるようだけれど、概ねは変わらず可憐に咲き誇ってる、それ。けれども見下ろす2人の間に落ちるのは、あの頃に比べればひどく訥々としていた。
――どうして此処へ来ようと思ったんだろうと、自身に問いかけるように水樹は考える。ヒューとただ2人きりで、手を繋いで。
(ひな祭りで賑わう街の喧騒を離れたかった、のかしら)
(ひな祭りで賑わう街を避けて、2人きりでいたかったのかもしれない)
胸の内で考える水樹と同じような事を、ヒューもまた考えながら傍らの水樹をちらりと見た。しっかりと握った手を解く気配はなく、指先から伝わる温もりは、温度以上に暖かな気持ちがこもっているのを感じられる。
こうして2人手を繋いで歩くのも、何ヶ月かぶりの事だった。――それだけの間、水樹はヒューから逃げ続けていたのだ。
チクリ、胸が痛んだ。けれども今日の水樹は、この状態に終止符を打つために、ここまでやって来たのである。
(もうこれ以上、逃げ続けちゃいけない)
先日見た、妙にリアリティのある夢を思い出す。あのおかげで水樹は、自分がヒューの事を愛しているのだと、改めて思い知った。
(本当に、バカな事をしたわ)
でも、もう2度と過ちは繰り返さない。そう胸に誓って――もう逃げないのだと決意を込めて、見つめた水樹の眼差しを、ヒューは、静かに受け止める。
恐らく今日、自分達の関係に何らかの終止符が打たれるのだ。それを、ヒューはやってくる前から感じていたし――水樹の意を決した様子に、ああやはり、と心のどこかで納得すらした。
けれども、
「私、これ以上逃げたくないから、思い切って言うね。……私、あなたのことが好きよ」
水樹が告げたただそれだけの、シンプルな言葉に逆に、ヒューは戸惑う。戸惑っているのを、表情から感じ取って水樹は苦笑する。
だが仕方ないのだ、水樹の偽りない想いは『それ』なのだから。だからそのままじっとヒューを見つめ――その眼差しの揺らぎの無さにヒューは、そうか、と悟る。
水樹はまだ、ヒューを愛しているのだ。そしてヒューもまた、水樹をまだ愛している。
たったそれだけのシンプルな話。――ならば、返答はたった1つしかない。
「おかえり、水樹」
「……ッ、ただいま!」
軽く腕を広げてそう微笑めば、くしゃりと泣く寸前の表情で水樹が飛び込んできた。そのまましっかりと抱き締めて、取り戻した腕の中の温もりを確かめる。
まるで前からずっとこうして居たように、互いの腕の中がひどくしっくりした。そのまま2人、しばし抱き合って時を過ごしていたら、ようやく気持ちも落ち着いてくる。
ゆえに今度は2人、寄り添いながら丘を降り、島山梅園の中へと足を踏み入れた。と、門の脇にある島山家の建物の方から、何やら祝っているらしい声が聞こえる。
これは、お邪魔をしてしまうだろうか。ひょいと顔を見合わせて、お暇しようとUターンしかけた瞬間、ガチャリと玄関ドアが開く。
「お邪魔しました」
「またいつでも遊びに来てよ。――あ、いらっしゃいませ」
中から出て来たのは遊びに来ていたらしい学生と、以前にも顔を合わせた久幸だ。1年前の話なのに、幾人も居たであろう観光客の中の2人だった水樹とヒューを、どうやら覚えていたらしい。
学生を見送ってから、久幸が声をかけてきた。
「梅園の方は今日は休みなんですよ。妹のひな祭りのお祝いで。お客さん達も、よろしかったらどうぞ上がってってください」
「え……」
「良いんですか?」
突然のお誘いに戸惑うも、先程も学生が訪れていたという事は、来客を断っている訳でもないのだろう。ならば、と少しだけ上がらせてもらう事にして、通された広めの座敷には腰の高さほどの雛壇と、塗装が剥げて味のあるひな人形が並んでいた。
その前にぺたりと座り、人形の1つを両手にとって指先で形を確かめていた、少女が水樹達の方へと顔を向けた。
「あれ、またお客様?」
「こんにちは、
城山 水樹
よ。お兄さんにお招き頂いたの」
「お邪魔します。
ヒュー・ヒューバート
です」
こくりと首を傾げ、水樹とヒューへ顔を向けた弥生の瞳がなにも映していない事は、一目見れば判る。そういえば去年そんな話をしていただろうかと、思い返しながらそれぞれ名乗れば、島山 弥生です、と少女がペコリ、頭を下げた。
きっと見えていないだろうけれど、水樹とヒューもそんな弥生に会釈をし。――ひな人形を見て、そっか、と水樹は呟く。
「今日はひな祭りか……家にまだ人形あるかな」
「水樹も、ひな人形を持ってたの?」
「そうよ。高校に入る頃――弥生ちゃんと同じ歳くらいまでかしら、飾ってたのよ」
そんな事を懐かしく話せば、興味を惹かれたらしい弥生が、どんなひな人形なんですか? と尋ねてきた。目の見えない子にどう説明したものか、と一瞬悩んだのを察した久幸が、普通に話してもらって大丈夫です、とフォローする。
ならば、と水樹は記憶を掘り起こしながら、家で飾っていた――もしかしたらまだ家にあるかもしれないひな人形を、こんな風で、と話し始めた。何段あって、どんな衣装で、どんな顔をしていて――
「やだ、案外覚えてないわね」
恥ずかしそうに笑う水樹の後を引き継いで、ヒューも仕事柄見た事のあるひな人形の話なんかを話して聞かせる。そうして過ごすうち、気付けば壁の時計が17時の鐘を鳴らした。
すっかり長居をしてしまったと、慌てて立ち上がった2人に久幸が「ちょっと待っててください」と声を掛け。
「良かったらこれ、持ってってください。うちがやってる隣の菜園の春野菜なんですけど」
「ありがとうございます。綺麗な野菜ですね。食べるのが楽しみです」
それに丁寧に礼を言い、ヒューはありがたく春野菜の袋を受け取った。途端、ずっしりとした重みが腕にかかり、色々と詰めてくれたのだろうと悟る。
その好意がありがたく、再び頭を下げてヒューと水樹は、島山梅園を後にした。門扉を出て、少し行った所で水樹がひょい、と春野菜の袋を覗き込む。
「ねえ、ヒュー。今夜はこれで、私が晩ごはん作ってあげる」
「水樹の手料理? 楽しみだね」
――そうして2人、やって来た時とは打って変わって和やかに、仲良く帰路に着いたのだった。
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あとがき
担当マスター:
蓮華・水無月
ファンレターはマスターページから!
いつもお世話になっております、または初めまして、蓮華・水無月と申します。
この度はご参加頂きまして、本当にありがとうございました。
皆さまそれぞれのひな祭りの物語、いかがでしたでしょうか。
様々なひな祭りの情景に、蓮華も嬉しい気持ちになりながら、頑張って執筆させて頂きました。
蓮華も幼い頃は大きなひな人形を飾ってもらっていたものですが、この歳になってもいまだに並べ方が判らず、写真と見比べております。
あ、もちろんミニミニのおひな様ですが……ミニはミニでとっても可愛いですよね。
お届けさせて頂きましたリアクションが、皆様に僅かなりとも楽しんで頂ける物であれば、心から嬉しく思います。
またのご縁がございましたら、どうぞ宜しくお願いいたします(深々と
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
12人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年05月08日
参加申し込みの期限
2024年05月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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