さてその日、3月3日ひな祭り。
寝子島ではあちらこちらで、ひな祭りにちなんだイベントやキャンペーンが催されている様子。
例えばシーサイドタウンで、星ヶ丘で、はたまた寝子島商店街で。
さあ、あなたは今日を、どんな風に過ごす?
◆
シーサイドタウン駅から少し離れた、ちょっと裏路地のような、けれどもどこか洒落た雰囲気を持つ通りの一角にそのお店、『somnium(ソムニウム)』は在る。取り扱っているのは色んな雑貨やアクセサリー、それから店主夫婦が毎日心を込めて焼いている、焼き菓子やケーキの類。
そんな『somnium』ではひな祭り限定の、桃のスイーツ無料キャンペーンが行われている。というのも、
「りっちゃんのひな祭りのお祝いなんですよ」
「うふふ。皆さん、沢山召し上がっていらしてね」
「おじいちゃん……おばあちゃん……」
店主の
木原 高明(きはら・たかあき)さんと
木原 伊都子(いつこ)さんの嬉しそうな言葉に、2人の孫である木原 理子(きはら・りこ)は、恥ずかしそうにトレイに顔を伏せる。高校2年生にもなって、店をあげてひな祭りのお祝い――なかなかに恥ずかしい事態だ。
けれども、理子の言葉に高明さんと伊都子さんは、そぅお? と揃ってほんの少し眉尻を寂しげに下げる。大好きな祖父母のそんな顔を見ると、そう、と強く頷くのも気が引けてしまう理子だ。
ゆえにごにょごにょと、口中で言葉を飲み込んで。
「その、大丈夫……だよ。今日も忙しくなりそうだし、お手伝い頑張るね!」
出来れば寝子高の友達には見られたくないな……! と思いながらもトレイをぐっと握り締め、理子はカフェのお手伝いに精を出し。そんな孫娘の姿に、木原夫妻はニコニコ目を細めた。
◆
九夜山の裾、天宵川を挟んで星ヶ丘を望める辺りに、島山梅園はある。梅の花はすっかり終わりを迎え、観光客もすっかりなりを潜めたこの時期、島山一家はどちらかと言えば梅園の隣にある菜園の、収穫作業に追われているのだが。
「弥生、おめでとう」
「おめでとう」
今日ばかりは、畑作業も何もお休みをして、島山一家はお祝いムード。毎年ひな祭りの日には、娘の島山 弥生の誕生日祝いも兼ねて、ささやかながらも心尽くしのお祝いをするのが恒例だった。
ありがとう、とはにかむ弥生の瞳は用意されたケーキも、ご馳走も、飾り雛も映す事はないけれども。
「ほら、弥生。こっちが女雛」
「左手は男雛よ。わかる?」
弥生の手を取り、雛人形を1つ、1つと握らせてやれば、指先や手の平でその感触を味わって、嬉しそうににっこりする。弥生が事故に遭って光を失った、その次のひな祭りから島山家の雛人形は、手に持って楽しめる物に買い替えられた。
毎年恒例の家族でのお祝いに、弥生はとっても嬉しそう。その様子に両親も、兄の島山 久幸もほっと胸を撫で下ろす。
島山家のひな祭りは、そんな風に過ぎて行くのだった。
◆
さあ。
3月3日のひな祭り、どんな風に過ごそうか。
いつもお世話になっております、または初めまして、蓮華・水無月と申します。
春めいたと思ったら真夏日が到来していた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回はひな祭りのシナリオを担当させて頂く事になりました。
今年は以下のようなイベントも催される様子。
ぜひ、お楽しみ頂けましたら幸いです。
※特にご一緒に行動されるという指定がない場合、リアクションは個別に作成させて頂きます。
◆イベントについて
ひな祭りにちなんだイベントが、寝子島各地で催されています。
参加してみても楽しいかもしれませんね。
★参道商店街&寝子島神社
あちらこちらに桃の花が飾られて、いつもとは少し違った雰囲気が楽しめます。
商店街から寝子島神社にかけてのあちらこちらに、様々なひな人形が飾られていて、スタンプラリーになっています。
全てのひな人形を巡ってスタンプを集めると、商店街から景品の吊るし雛がもらえる模様。
なお、参加賞は甘酒(ノンアルコール)となっておりまして、こちらはスタンプカードを貰った時点で全員がもらえます。
★シーサイドタウン
駅前には大きな7段飾りのひな人形が飾られています。
シーサイドタウンアウトレット内には、有志のお子さんが作った折り紙のひな人形や、桃の花の絵も飾られている様子。
店内は3月3日限定で、女性客とそのお連れ様は誰でも33%オフのセールを開催しているとか。
なお、ガイド本文にもあります通り、シーサイドタウン駅から少し歩いた場所にあるカフェ&雑貨店『somnium』では、様々な桃のスイーツが無料のキャンペーンを行っています。
こちらは男性のみのご来店でも大丈夫。
★星ヶ丘地区
近隣のオープンカフェやオシャレなバー、ホテルのオープンテラスなどで、ひな祭り限定のスペシャルメニューがお楽しみ頂けます。
概ねは桃を使った料理やスイーツ、ドリンクが多いようですが、それ以外にも限定メニューが用意されているでしょう。
★島山梅園
ガイド本文にあります島山梅園へもご自由にお立ち寄り頂けます。
特にイベントなどはご用意されていませんが、島山菜園に併設されている無人販売所では、様々な春野菜が皆さまを待っている事でしょう。
過去にご縁の在った方は、島山家へもお越し頂く事が可能です。
その他、ご自宅で、どこかのお店で、仕事場などで、ご自由にひな祭りをお楽しみください。
【NPC、Xキャラクターについて】
本シナリオでは、水無月の過去のシナリオに出てきたNPCや特定の担当が居られないNPC、そしてXキャラクターを基本的にはご自由に誘って頂けます。
お誘いになりたい方がいらっしゃる場合、お相手の名前(Xキャラクターは参照URLも)を明記して頂けますようお願い致します。
なお、NPCとの描写は大変申し訳ありませんが、以下のルールに則って行わせて頂きます。
・NPCとの描写は基本、個別に行わせて頂きます。グループで参加されている場合は、そのグループ&NPC、という描写になります。
・もしPC様同士で指名が重複した場合、希望と異なる場面や時間帯での描写となる、一緒に行動する時間が短くなる、などの描写になる場合がございます。悪しからず、ご容赦くださいませ。
【登場NPCについて】
木原 高明(きはら・たかあき)さん&木原 伊都子(いつこ)さん
『somnium』の店主夫婦。
ご主人が定年を迎えた後に夫婦揃って寝子島に移り住み、趣味を一杯に詰め込んだお店を開いたという。
歳を重ねた今も、海外や国内各地に旅行に赴いては、あちらこちらで仕入れてきた雑貨なんかをお店に並べていたり。
髪に混じった白いものも目立つお年頃ですが、どこか可愛らしいような、優しい雰囲気が親しみやすい、とご近所では評判だとか。
木原 理子(きはら・りこ)
寝子島高校普通科2年3組。
出身は西の方なのだけれど、祖父母が大好きなあまり、一緒に暮らすために寝子校に通っている。
休みの日は『somnium』でお店のお手伝いをしている事が多い。
島山 久幸(しまやま・ひさゆき)26歳
島山梅園の跡取り息子。梅園を継ぐべく、本土の大学の農学部で農業を学んだ。
下宿して家を離れている間に事故にあった妹・弥生を不憫に思い、何かと気にかけている。
島山 弥生(しまやま・やよい)14歳
寝子島中学2年生。小学2年生の頃に自動車事故に逢い、目が不自由になった。
幼い頃は活発な子どもだったが、事故以降は音楽やラジオを聞いて家の中で過ごすことが多い。
※NPCとの関係は、クラスメイト、友人、知り合い、常連など、無理のない範囲でご自由にご設定頂いて構いません。
それではお気が向かれましたら、どなた様もお気軽に、どうぞよろしくお願い致します(深々と