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夜光照らす百花の先触れ
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お互いに、都内での仕事を終えた帰りの電車。
そこで
城山 水樹
と
ヒュー・ヒューバート
がばったりと出会ったのは、まったくの偶然の出来事だった。
混み合っていた乗客が一斉にはけてがらがらになった車内、窓に反射した互いの姿を目にして、ほとんど同時に気付いたのだった。
シートの端に座っている水樹と、向かいのつり革につかまっていたヒュー。窓の反射越しに目が合った二人は、互いに軽く目を大きくした。
二人の視線が、やはり窓越しに水樹の隣の席へ流れる。さっきの駅まではサラリーマンが座っていたそこには、今は誰も居ない。他に座ろうとする人も居ない。
向き直ったヒューが、一歩二歩と水樹へ足を踏み出す。
「隣、いい?」
水樹が頷くのを見て、ヒューはそっと隣へ腰を下ろした。
二人は恋人同士だ。
だから電車で隣の席へ座るのに、やり取りなど要らないはずで。
それが必要になるくらいには、二人の間にはすれ違いの名残がまだ残っている。
そしてこうして隣に座れるくらいには、二人の関係は少しずつ修復しつつあった。
「仕事帰り?」
「ええ。ヒューも?」
「ああ」
電車に揺られ続けた二人は、そのまま寝子島駅へと到着した。
以前に比べれば互いに口数は少ないままだったけれど、あるいは沈黙を許容できるということ自体が、今の二人の関係を何より雄弁に語っている。
そうでなければ、電車を降りる二人が、互いの指を絡め合っていることなどないはずなのだから。
駅舎を出て見上げた寝子島の夜は、澄んだ月明かりと静けさに包まれていた。
ヒューが水樹に顔を向ける。
「家まで送るよ」
「ありがと」
小さく頷く水樹。
指を絡め合ったまま、二人は水樹の家がある参道商店街の古本屋へ向けて歩き出した。絡めたソレが離れないよう、互いの指先をよりしっかりと絡め合う。
少し行ったところで、水樹がふと足を止める。
「どうかした?」
「あそこ……庭園で何かやってるみたい」
水樹の家へ続く道、その途中にある庭園が妙ににぎやかなことになっていた。珍しいくらいの人混みにくわえて、イルミネーションでもやっているのか昼の様に明るい。
ほんのりと興味の色を滲ませた瞳で、水樹がヒューの方へ振り向く。
「行ってみる?」
「ああ、行ってみようか」
ヒューもいくらか興味ありげにうなずいた。
水樹を送り届けたら、今日はそのまま別れるつもりだった。だけど、水樹の方から誘ってくれるなら話は別だ。
庭園に足を踏み入れた二人を出迎えるのは、ライトアップされた梅の花たち。
見頃を迎えた花は、光を受けてあるいは妖しい、あるいは荘厳な美しさで夜闇の中に存在感を放っていた。
「綺麗……」
「……カメラ、持ってくればよかったな」
圧倒されたように見惚れる水樹と、写真に残せないことに若干の口惜しさをにじませるヒュー。
梅の花に感じ入る心があふれたように、二人の絡め合った指先にそっと力が入る。そうすることで、互いの心と指先にこの景色を刻み込もうとするみたいに。
そのままどちらかが提案するまでもなく、二人は道なりに庭園の中を散策していった。
「梅って白い花だけだと思ったけど、赤いのもあるのね」
そんなことを呟く水樹は、いつの間にかヒューにくっついている。
くっついたところから水樹の体温を感じながら、ヒューは相槌を返す。
「桜みたいな色合いのもあるな。こういう機会でもないと、よく知らないままだったかも」
そうして見てまわっているうちに、二人の足は見晴台へ向かう。
見晴台は庭園の中でもひと際高い位置にあって、照らし出された色鮮やかな梅林を、阻まれることなく一望することができた。
白、赤、淡紅色、微かに見える紫色。暗い夜景の中に浮かびあがる花の色は、モノクロの世界がそこだけ色づいたかのようで。
水樹もヒューも、しばし言葉を忘れて見惚れていた。
不意に夜風が吹きつける。思わずといった様子でヒューに身体を寄せた水樹が、ややあってから横目にヒューを見やって口を開いた。
「なんだかんだぐるっと見てまわったし、少し疲れたわね」
「確か、広場でカフェをやってたな。休憩していくか?」
「いいわね、そうしましょ」
◆
そして二人は今、広場のミニカフェで注文の品をつついている。ヒューは梅タルトとほうじ茶ラテ、水樹は梅ジャムソフトクリームと緑茶だ。
「……身体冷えないか?」
梅ジャムソフトを口に運ぶ水樹に、ヒューは少し心配げに問いかける。梅の花は見頃を迎えたが、季節としてはまだまだ冷える頃である。
「大丈夫よ。緑茶で中和されるから」
水樹は小さく笑って、緑茶の入ったカップを揺らした。
「そういうものか?」
苦笑するヒューに、「そういえば」と水樹。
「今日はカメラ持ってきてないの?」
「ん?」
「ほら、持ってくればよかったーって言ってたから」
「ああ。今日は打ち合わせだけだったから、持ってきてなかったんだ」
広場から見える梅林に目を向けて、ヒューはほんの小さなため息をこぼす。
「これなら持ってくればよかったよ、本当に。職場の人たちにも見せたいくらいだ」
何より、梅と水樹の写真も撮りたい。まだ口には出せなかったが、ヒューはそうも考えて居た。
「んー……でもこれ、まだしばらくやってるみたいよ。チャンスあるんじゃない?」
ほら、と水樹がスマホで調べたこのイベントの情報を見せる。それによると、確かにまだしばらくの間はやっているようだった。
その後も二人は、他愛のない会話を続けていく。
仕事のこと、日常の何気ない出来事のことや、今ここでお互いが頼んだスイーツの感想。スイーツ繋がりから、ヒューの職場の近くに新しくできたスイーツのお店に話題が飛んだりもする。
「いつ見ても行列が出来てるんだ。有名店かとも思ったんだけど、全然見たことない名前で」
「それは気になるわね。何てお店?」
こんなどうってことない話をできるようになるまで、どれだけの時間がかかっただろうか。
こんななんでもないやり取りをしているだけで、心に温かいものが満ちてくるのを水樹は感じていた。
やがて満ちた温かさが、微笑みとなって表出する。それに気付いたヒューの目の前で、水樹の目元がじわりと濡れた光を帯びた。
満ちていく一方の温かさが、水樹の瞳から涙となってあふれ出る。止めどなく零れる涙は、はらはらとこぼれて舞い込んだ花びらと混ざり合うみたいだった。
「水樹……?」
突然の涙に動揺しつつも、ハンカチを取り出そうとするヒュー。
「……私、泣き虫になっちゃったね……」
水樹は涙と微笑みをたたえたまま、泣くとも笑うともつかない、けれど確かな温度を感じさせる声で言った。
「……でも、嬉しいの……ヒューとこうしていられることが……」
ハッと息を詰まらせたヒューが、ゆっくりと目尻を垂らす。
テーブルの上、緑茶のカップを握る水樹の手を、ヒューの手がそっと包み込んだ。
それから彼が口にした言葉は、きっと水樹にしか聞えない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
風雅宿
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年04月30日
参加申し込みの期限
2024年05月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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