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寝子島高校
Change of Season
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想花は立ち上がって紗櫻都の病室のドア前に立つ。いわゆるスライドドア、手をかけると意外にもすんなりとひらいた。
危険な状態だから面会謝絶と思ったけど。
いいのかな。
構うもんか。
これが最後になるかもしれないんだ。
ふらふらと誘いこまれるように想花は病室に入った。
大きな部屋ではなかった。ベッドが一つあるきり。カーテンを開けて中に入る。
ロロ――!
ベッドには紗櫻都が眠っている。それこそ童話の、眠りの森の美女さながらに。
豊かな巻き毛ということもあり、文字通りプリンセスを思わせた。ただし大怪我をしたプリンセスだ。頭には包帯、頬と顎にはガーゼ、左目は覆われ右脚は吊られている。痛々しい。瀕死の姫君だった。
ロロの痛みの一万分の一すらぼくは肩代わりできない。
そのことが、つらい。
はじめて紗櫻都を見たときのことは、いまでも明確に覚えている。
寝子島高校の入学式だった。両親ともに双子の弟の入学式に出席したという事実、どうせそうなるとわかっていたのに想花はあらためて打ちのめされ重い気分になっていたのだが、門をくぐるや間もなく、その意識は吹き飛んだ。
すごい髪型の人がいる!
寝子高には個性的な容姿の生徒が多い。それでも彼女の見た目は群を抜いていた。おそらく白人とのハーフなのだろう、整った顔立ちでナチュラルなブロンドである。けれど髪色や顔立ちよりも、左右におさげにした髪を縦巻ロールにしたヘアスタイルが目を惹いた。あまりにゴージャス、まるで昔の少女漫画のようではないか。背景に薔薇の花束を散らしたくなる。
その彼女が同じクラスだと知ってまた驚いた。
さらに名前が川上紗櫻都だ。紗櫻都と書いて『しゃるろっと』と読む。キラキラネームにしても超弩級ではないか。ただしこれは彼女が、フランス系としては特に極端なわけでもない『Charlotte』と名付けられたゆえによるもので、単なる当て字だと後から知った。
はじめて交わした会話も覚えている。
教室の一番隅、窓際の席で頬杖をつき、何をするでもなく校庭を眺めていた想花に、
「ねえ、これ見たことある?」
紗櫻都のほうが話しかけてきたのだ。
「え……?」
紗櫻都はスマートフォンを手にしていた。動画サイトで面白い配信を見つけたという話だった。
はじめまして、も、よろしく、もなかったな。
ずっと前から友達だった、って感覚で、ロロはぼくと距離を詰めてきた。
鬱陶しいと思ったこともないわけではない。悪役令嬢みたいなルックスなのに気さくな紗櫻都は人望があって、早々に友達に囲まれている様子だったのに、急に輪から離れてはなにかと想花に話しかけてきたから。ひとりにしておきたくないとでも思っていたのだろうか。
だが親しくなるにつれ、想花は紗櫻都のなかに自分と共通するものを感じはじめていた。
ぼくが前面に出しているものを、彼女は心の奥に秘めている――。
明確に言語化できたわけではないが、そんな風に思った。
やがてあきらかになったのは、紗櫻都がmamanと慕うクレマンティーヌが彼女の実の母親ではなかったこと、本当はその妹で、父親の不倫相手だったということだ。不倫が露呈した結果、元々不安定だった紗櫻都の実母は発作的に自殺、まもなく父親もクレマンティーヌと紗櫻都を置いて海外に出てしまったという。父親は世界的にもそれなりに知られたジャズミュージシャンで、以後も多数の若い女性のあいだを渡り歩き浮名を流しているそうだ。紗櫻都には彼に会った記憶がない。
想花は知ったのだ。紗櫻都も自分と同じで、両親に捨てられた子どもなのだと。
父親に捨てられた事実は言うまでもない。実母について紗櫻都が知ったのはつい
最近
だが、本能的にわかっていたのかもしれない。
いつしか想花と紗櫻都は、『ソフィ』『ロロ』と呼び合う仲になった。
親友、と呼ぶことにためらいはない。けれど想花にとって、彼女はそれ以上の存在だ。
ロロ、お願いだよ。目を開けて。
僕を置いて行かないで。
想花は紗櫻都の右手を握る。温かい。脈打っていることがわかる。
神様、どうかロロをあなたの下へ召されるのはやめてください。
ぼくにとって彼女は……ロロは大切な……大切な……大好きな人なんです……ロロをぼくから奪わないで……!
紗櫻都の寝顔をもう一度見て、その唇に想花は唇を重ねた。
このところ奇跡という言葉は安売りされがちだ。滅多に起らないから『奇跡』なのだ。
だがゼロではないから、この言葉は存在しつづける。
想花は身をすくませた。
数センチの距離で紗櫻都を眺める。
いま、動いた。
気のせいではなかった。紗櫻都の唇がふるえていた。まもなく開いた。つづいてミルクティーの色をした瞼(まぶた)も。
「ロロ!」
「……私ね」
彼女が何か言おうとしている。声はかすれていた。想花は耳を近づける。
「私、自分から『ソフィ』って呼びたい、って言いながら、あなたのこと心のなかでは、ついつい『想花さん』って呼んじゃってた……まだ、照れがあったのかも」
でもいま、と瞳を滑らせて言う。
「心のなかで叫んだんだ。『ソフィに会いたい!』って……そしたら、本当にソフィが目の前にいた。これって、夢なのかな……?」
「夢じゃないよ」想花は紗櫻都の手を、痛いくらい握りしめる。「夢じゃない。ぼく……」
と言ったまま言葉を失う。かわりにあふれ出したのはたくさんの涙だ。
紗櫻都が微笑した。包帯につつまれていないほうの目を細める。
「ソフィに……ファーストキス奪われちゃった」
「……!」
想花は、とっさに何を言えばいいのかわからなくなっている。
「いま全身めちゃくちゃに痛いけど、戻って来れてよかった、って思ってる」
ますます想花は、何を言えばいいのかわからなくなっている。
「ところで、あの子は……?」
「あの子?」
「うん、緑の髪の――ああそっちは」
夢だったんだねと紗櫻都は言った。
――『Change of Season』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございました! 桂木京介です。
いま気づいたのですが前回が私の100本目のシナリオでした。そして本作が101本目となります。思えば遠くにきたもんだ。
今後ともよろしくお願いいたします。
今回も皆様のアクションは思いがこもっていてすばらしく、受け取った輝きをリアクションにどう起したものか悩むくらいでした。おかげさまでとても楽しく描くことができました。私が感じた楽しさが、少しでも伝わっていたとしたらとっても嬉しいです。
一部シナリオガイドから状況が変化していますが、これはアクションに影響を受けたものです。
ですが改変後のリアクションのほうがずっといいと思います。素敵なアクションをいただけたことに感謝しています!
リアクションはだいたい時間軸通りですが一部前後しているところがあります。ご了承ください。
毎回言っていますけれどもご意見ご感想は私の原動力です。何度も読み返してエネルギーにしています。
どうか今回もよろしくお願います。
それではまた次回のシナリオで会いましょう! 桂木京介でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年04月24日
参加申し込みの期限
2024年05月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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