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携帯戦記カプセルギア 第九話「生まれ変わる、カプセルギア！」
盛り上がる公園へとやって来た桜井 ラッセルは、その様相を見て驚いた。
遠くまで聞こえてくる声は、子供達がはしゃいでいる声ではあったが、その多くが何かに列をなして何かを受け取っている。
「なんだ？ イベントか？」
一緒に来ていた海道 千里も周囲を見渡してみるが、遊具も広場も閑散としている児童公園は違和感しかなく、眉を顰めて冷静に状況を確認し始めた。
にこやかに子供と応対する大人達。手にはタブレットを持ち、子供達に何かを回答させている。
「新手の詐欺とか……じゃ、ねーよな？」
「えっ!? そ、そんなヤバい感じには見えねーけど」
「だからだろ」
さも怪しいですと言わんばかりの出で立ちで、誰が騙せると言うのか。千里が呆れ気味に吐き捨てるものだから、ラッセルは途端に心配になって列から離れてきた子に声をかけた。
アンケートに答えたら、新作のパーツが貰えること。それがギアとお揃いで着けられるアクセサリーなこと。
ミサンガはお願い事をする物だから、互いに付けている期間が長いほど、より強くなれる……ということらしいが、機械に弱いためかラッセルには仕組みがサッパリわからない。
「とにかくギアがすげー強くなるパーツで、個人情報とかは答えなくていいんだな？」
それだけ重点的に確認を終えると、ラッセルは心底安堵した顔で得意げに千里へ振り返った。
「ほぉら見ろ！ 単なる愛光堂さんのアンケートじゃねーか」
「んー……本当にそうなら、単なる謝礼に凄いパーツなんて配るか？」
未だ訝しみ考え込む千里は、言外に『お前は答えないよな？』という圧を込めラッセルを見据えている。けれど、ラッセルには簡単に引けない事情があった。
ここ最近の事件に関わって、カプギア存続の危機に直面したからこそ、開発関係やカプギアの未来に希望を灯す協力は惜しみたくない。小難しいことは分からなくとも、利用者の視点で答えるアンケートくらいならば自分にもできるはずだと、風の竜、カザリューを握りしめる。
「それでも俺は、悪いことじゃねーと思うし……」
こうと決めれば強いラッセルも、まだ迷っているのだろう。個人情報の類いを避けることは頭にあっても、それ以外の観点から危険を察知するのは難しい状態のようだ。ならば、千里は友人として胡散臭い物に飛び込もうとするラッセルを止めるまで。
「わかった。じゃあ……オレにギアバトルで勝ったらな！ 昨晩から負け続きのラッセルくん☆」
「なにおう!?」
お泊りがてら弁当や限定菓子を持ち寄りちょっとした賭け事をして遊んでいた２人は、元々その延長戦として公園に来ていた。賭け事と言っても微笑ましいもので、ＴＶゲームで勝った方が追加の飲み物を自販機に買いに行くとか、じゃんけんで先に３勝したほうが次に食べるお菓子の選択権があるとか、平和で健全なものばかり。
途中までは千里も負け続きのラッセルに気を遣って、悩む素振りを見せながら「今の気分だから」と彼の好物であるチーズケーキ味のお菓子を選ぼうとした。が、ラッセルが「施しは受けねーよ！」と熱くなってしまった上、さらに負けが込むという面白い展開となり……一晩経った今でも、件のお菓子は開封されていない。
「上等だ！ 俺が勝ったらアンケートに答えて、チーズケーキのうまい店に行くからな！ 千のおごりで!!」
「じゃあ、オレは……アンケートの阻止と、不審者対策講座でも受けてもらうってことで」
ある程度の障害物があれば盛り上がるだろうと、２人は大小様々な飛び石の密集する場所へとやってきた。
小さなギアが隙間を掻い潜り、必要があれば自分たちも移動しながら戦うことになるが、その動きも相手を油断させる戦略となるはずだ。
トントンッと飛び石を渡り、中央辺りで向かい合うとギアを構えてアプリを起動させる。合図は要らない、目線を合わせれば２人は口角を上げてそれぞれギアを出撃させた。
先手必勝とばかりにスピードで切り込みたい白虎カプリッチオだが、潜ってしまうと飛び石が大きくそびえ立つビル群のようで、予想以上に視界が悪く移動が難しい。千里は飛び石を渡りながら、カプリッチオの速度を、障害物にぶつからない程度まで落とす。動きにどれほど制限があるのかを確認しているようだ。
対するカザリューは素早さはあまり高くないため、障害物の多いフィールドでも普段と変わりなく飛行ができた。ラッセルはカプリッチオと鉢合わせないように気をつけながら、こまめに一撃必殺に向けてエネルギーを溜めつつ、移動を繰り返している。その場でじっと溜めることに集中できればいいのだが、無防備な最中に襲われることは避けたいし、移動をし続ければ徐々にゲージが減ってしまうしで、どうしても身を隠しつつ溜め時間を稼がなければならない。
千里が移動のコツを掴んでしまうのが先か、カザリューが溜め技の準備を整えるのが先か。２人の本気のバトルは、時間との勝負になりそうだ。
遠くまで聞こえてくる声は、子供達がはしゃいでいる声ではあったが、その多くが何かに列をなして何かを受け取っている。
「なんだ？ イベントか？」
一緒に来ていた海道 千里も周囲を見渡してみるが、遊具も広場も閑散としている児童公園は違和感しかなく、眉を顰めて冷静に状況を確認し始めた。
にこやかに子供と応対する大人達。手にはタブレットを持ち、子供達に何かを回答させている。
「新手の詐欺とか……じゃ、ねーよな？」
「えっ!? そ、そんなヤバい感じには見えねーけど」
「だからだろ」
さも怪しいですと言わんばかりの出で立ちで、誰が騙せると言うのか。千里が呆れ気味に吐き捨てるものだから、ラッセルは途端に心配になって列から離れてきた子に声をかけた。
アンケートに答えたら、新作のパーツが貰えること。それがギアとお揃いで着けられるアクセサリーなこと。
ミサンガはお願い事をする物だから、互いに付けている期間が長いほど、より強くなれる……ということらしいが、機械に弱いためかラッセルには仕組みがサッパリわからない。
「とにかくギアがすげー強くなるパーツで、個人情報とかは答えなくていいんだな？」
それだけ重点的に確認を終えると、ラッセルは心底安堵した顔で得意げに千里へ振り返った。
「ほぉら見ろ！ 単なる愛光堂さんのアンケートじゃねーか」
「んー……本当にそうなら、単なる謝礼に凄いパーツなんて配るか？」
未だ訝しみ考え込む千里は、言外に『お前は答えないよな？』という圧を込めラッセルを見据えている。けれど、ラッセルには簡単に引けない事情があった。
ここ最近の事件に関わって、カプギア存続の危機に直面したからこそ、開発関係やカプギアの未来に希望を灯す協力は惜しみたくない。小難しいことは分からなくとも、利用者の視点で答えるアンケートくらいならば自分にもできるはずだと、風の竜、カザリューを握りしめる。
「それでも俺は、悪いことじゃねーと思うし……」
こうと決めれば強いラッセルも、まだ迷っているのだろう。個人情報の類いを避けることは頭にあっても、それ以外の観点から危険を察知するのは難しい状態のようだ。ならば、千里は友人として胡散臭い物に飛び込もうとするラッセルを止めるまで。
「わかった。じゃあ……オレにギアバトルで勝ったらな！ 昨晩から負け続きのラッセルくん☆」
「なにおう!?」
お泊りがてら弁当や限定菓子を持ち寄りちょっとした賭け事をして遊んでいた２人は、元々その延長戦として公園に来ていた。賭け事と言っても微笑ましいもので、ＴＶゲームで勝った方が追加の飲み物を自販機に買いに行くとか、じゃんけんで先に３勝したほうが次に食べるお菓子の選択権があるとか、平和で健全なものばかり。
途中までは千里も負け続きのラッセルに気を遣って、悩む素振りを見せながら「今の気分だから」と彼の好物であるチーズケーキ味のお菓子を選ぼうとした。が、ラッセルが「施しは受けねーよ！」と熱くなってしまった上、さらに負けが込むという面白い展開となり……一晩経った今でも、件のお菓子は開封されていない。
「上等だ！ 俺が勝ったらアンケートに答えて、チーズケーキのうまい店に行くからな！ 千のおごりで!!」
「じゃあ、オレは……アンケートの阻止と、不審者対策講座でも受けてもらうってことで」
ある程度の障害物があれば盛り上がるだろうと、２人は大小様々な飛び石の密集する場所へとやってきた。
小さなギアが隙間を掻い潜り、必要があれば自分たちも移動しながら戦うことになるが、その動きも相手を油断させる戦略となるはずだ。
トントンッと飛び石を渡り、中央辺りで向かい合うとギアを構えてアプリを起動させる。合図は要らない、目線を合わせれば２人は口角を上げてそれぞれギアを出撃させた。
先手必勝とばかりにスピードで切り込みたい白虎カプリッチオだが、潜ってしまうと飛び石が大きくそびえ立つビル群のようで、予想以上に視界が悪く移動が難しい。千里は飛び石を渡りながら、カプリッチオの速度を、障害物にぶつからない程度まで落とす。動きにどれほど制限があるのかを確認しているようだ。
対するカザリューは素早さはあまり高くないため、障害物の多いフィールドでも普段と変わりなく飛行ができた。ラッセルはカプリッチオと鉢合わせないように気をつけながら、こまめに一撃必殺に向けてエネルギーを溜めつつ、移動を繰り返している。その場でじっと溜めることに集中できればいいのだが、無防備な最中に襲われることは避けたいし、移動をし続ければ徐々にゲージが減ってしまうしで、どうしても身を隠しつつ溜め時間を稼がなければならない。
千里が移動のコツを掴んでしまうのが先か、カザリューが溜め技の準備を整えるのが先か。２人の本気のバトルは、時間との勝負になりそうだ。
シナリオ
シナリオデータ
- 担当ゲームマスター
- 前回シナリオ
- シナリオタイプ（らっポ）
-
- シルバーシナリオ（150）
- グループ参加
-
- 3人まで
- シナリオジャンル
-
- 日常
- バトル
- オールジャンル
- 定員
-
- 20人
- 参加キャラクター数
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年10月29日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年11月05日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2024年11月05日 11時00分
