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二月の魔法は春を呼ぶ
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参道商店街、約束の場所にやってきた静は春を先取りするような服装だった。襟がVの字にひらいて背中に垂れる形状のニットカーディガン、こういうかたちをセーラーカラーというらしい。オフホワイトで上品だ。いっぽうでスカートはパステルカラーの浅黄色で、ライトブラウンのショートブーツと小さなバッグをあわせている。可憐、華奢な体つきもあいまってそう呼びたくなる。
「こんにちは」
静は照れ気味にほほえんだ。いつも以上にしっかりメイクしているのもわかった。
花音は頭頂から電撃をくらい、指先にまで感電したように思う。
か、可愛い……!
可愛すぎて死ぬ。
卒倒しそうなくらいだが本当に倒れるわけにはいかない。
「こ、こんちは、どうもっス」
どうにかこうにか自然に近い口調で言えたと思う。『来でぐれでありがどぼざいまずブワー!』と顔面崩落号泣大洪水しそうな心とはうらはらに。
「にぎわってますね」
静は商店街に目を転じた。とりわけ寝子島神社につづく道はたくさんの人でごった返している。
「カップルが多いっスねー」
口に出したとたん花音は後悔した。
自分たちはそうでないと、言わんばかりの発言ではないか。
かといってここで『俺たちもですけどねー』とつなぐのは無理だ。厚かましすぎて無理だ。
ならばなんて言えばいいのか。嘘くさくなく、それでいてさりげなく好意を感じさせる表現はないのか。ああ神様、もしいるのならば三択でいいので選択肢を示してください。
されどそんな花音の懊悩など気づかぬ様子で、
「デートウィークですもんね」
静はあっさりと応じたのである。
そうだった。
デートウィークだったんだよッ!
デートというお墨付きをもらったようなものだ。しかも静さんは全然イヤそうじゃない! むしろ嬉しそうじゃねーか。
こんな幸運、あっていいのか!?
「行きましょうか」
「はいっ!」
また感涙にむせびそうになり、花音は思わず空を見上げた。
ところがなかなかどうしてうまくいかないものだ。歩き出すとほぼ一方的に静が話す展開になってしまったのである。
静の話題は、彼女がこのところ育てている小松菜に移っている。
「この日も午前中は元気だったのに……昼過ぎに見たら葉っぱがしおれてたんです」
タネをもらってなんとなくはじめたものなのだという。調子よく育っていたのに、なんだか急に具合が悪くなったらしい。
「水やりがたりなかったのか、栄養剤でもあげたほうがいいのか、ちょっと悩んでます」
静はため息をついた。小松菜が静をブルーにさせたのなら、花音だって心は群青色だ。なんとか元気づけてあげたい。野菜は専門外とはいえ植物をあつかう身として、アドバイスのひとつだってしてみたい。しかし現在の花音にできることは、
「そっスかー」
「困ったっスねえ」
「それは大変っス」
といった具合で短い相づちをうつばかりなのだった。興味がないようにも、もっといえば無愛想なようにも思われるかもしれない。あるいは不機嫌なのかと。
でも仕方ないのだ。
花音はこれ以上ないほど緊張しきっていて、貧血にならないだけマシなくらいだったから。
俺だってできるものなら気の利いた返事がしてえよ……だから落ち着け心臓の音!
しかしいくら落ち着け落ち着けと言ったところで、素直に言うことを聞くハートではなかった。それもまたもどかしい。
こんな調子だから会話ははずまなかった。少しでも軌道に乗ってきたかと思いきや途切れる。軽快にはほど遠い。乗馬にたとえるならギャロップはおろかだく足にもならないという感じか。馬というよりはのんきなロバを、手綱もつけずぽくぽくと歩かせているようなものだ。すぐ休むし、草を食(は)むために止まったりする。
退屈な男と思われてないだろうか。
ウイットに富んだ小粋なトークをくりだすとまではいかずとも、せめて楽しく会話したいではないか。
どうしよう。
焦燥感ばかりがつみあがっていく。
だが転機は唐突に訪れた。
「あっ、京極さん」
玉砂利を踏んで小走りしたのち、静は両足をそろえて停止する。
すでに神社の敷地内に入っていたのである。
静が立っているのは梅の木の目の前だった。はやくはやくと花音を招いた。
「咲いてます、梅の花。こんなにきれいに」
見上げるまなざしが嬉しそうだ。花音も追いついて彼女に並んだ。
「……ほんとだ」
喜びをわかちあう。
白みがかったピンクの花は、目に優しくて心やすらぐ色だ。それもひとつやふたつではない、数えきれないほど咲く満開だった。濃い油絵というよりは、淡い水彩画のようでもある。
そうだった。
今日は梅を観に来たんだ。静さんと。
いい印象を与えようとかカッコいいとこ見せたいとか、そんなの二の次じゃねーか。
この素敵な花を素敵な静さんと一緒に楽しむ、それでじゅうぶんなんだ。
「あれっ、あそこ、見えます? かわいい」
静が片手で枝を指した。
「え? どこっスか?」
「ほらあのあたり」
言いながら静は肩を寄せてきた。小さな頭が、花音の二の腕のあたりに触れそうになる。
距離、近っ!
本日最高の接近だ。またも硬直しそうになった花音だが、あえて静を見ず梅を見上げる。
そして彼も見つけたのである。
「いますね」
思わず笑みが浮かんだ。
静が示しているのは枝にとまる小鳥なのだった。メジロだろう。静の手のひらよりも小さいくらいだ。抹茶に似た色で、小さく跳ねてチュルチュルと鳴いた。
「可愛い」
「とっても可愛いっス」
「なごみますね」
「なごむっス……」
「好きだなぁ」
「俺も……好きっス」
花音は梅を見ている。梅の木のメジロも見ている。
見ているが同時に――空いた手を静の肩に置きたくてたまらなくなっている。
もちろん、その一歩を踏み出すことはどうしてもできなかったが。
「あ、そだ。暁月さん、さっきの小松菜の話っスけど」
「ええ」
「いま思いついたんスけど、もしかして、ずっと陽に当ててるんじゃないスか? 冬だけど最近は暖かいし、好天もつづいてるから。ま、今日は曇りっスけど」
「陽に当てすぎってことですか?」
「かもしれないっス。ちょっと日陰に置いてみませんか。急にお日さまが照って小松菜もびっくりしてるのかもしれないっスよ」
「ありがとうございます! 京極さんのアイデア、試してみます!」
静は目を輝かせた。
しばらく神社内を散策した。どの梅の木も美しく、もっと赤みがかった梅にも風情を感じた。参詣客は少なくないが、せっかく来たので列にも並んだ。
ようやく順番が来て、花音は賽銭を投げ込み本殿に手を合わせた。
もちろん花音の願いはひとつだ。
静さんともっと親しくなれますように――。
祈る。真剣に。
ちらと横目で静を眺めた。おだやかな表情で合掌している。
列を離れたところでにっこりして、静は花音に告げた。
「私、小松菜の回復を祈りました」
「優しいっスね」
よくなってほしいっスと言う花音に、
「京極さんは?」
無邪気に、とてもとても答えづらい質問を静は投じたのだった。
無理、正直に言うのゼッテー無理!
窮して花音がひねり出した回答が、
「し、商売繁盛……」
であったことを記して本ページをしめくくるとしよう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年03月17日
参加申し込みの期限
2024年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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