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インキの切れかかった桃色の蛍光ペンで大きく、力強く日付に丸をつけた。
かすれたので二、三回くりかえした。
これでもう、この日に用事があることは誰が見ても明白だろう。
ひとり暮らしの部屋なのだから、誰が見るわけでもないのだけれど。
京極 花音
が対峙しているのはA2サイズのカレンダー、月名と数字だけで写真もイラストのない機能重視のアイテムだが、それゆえにスペースも潤沢だ。日付を示す数字の下に用件を書きこむスペースが確保されている。しかも二行も。
花音は震える手で0.5軸の黒ボールペンをとり、キャップを外した状態で硬直した。
書けない。
書き入れられない。
数字の下に
『デート』
なんて……!
だったら『静さん』のほうがいいか。
いや待てよ。
ボッと顔から火炎放射する。
そっちのほうがよっぽど書けないだろーが!
挑戦すればそれこそ、ペン先が暴走して文字ともつかず記号ともつかぬ数式みたいなものを書き散らすのではないかという気がしてきたので花音はペンにキャップを戻した。
心のなかでは『静さん』と呼ぶことに成功しているが、まだ呼びかけるのは『暁月さん』が精一杯、下手をすれば『お客さん』と言いそうになって仕方がなかった。彼女のほうはもうずっと『お花屋さん』から『京極さん』に移行しているというのに。
キャップがはまるカチっという音とともに、先日あじわった緊張の瞬間が頭によみがえった。
あの日、店を訪れた静さんに俺――。
バイト先、つまり花屋の店内、花音はレジカウンターに立っていた。幸い店内は他に人がなく、
暁月 静
とはマンツーマンのシチュエーションだった。言うならばいましかない! 慣れた手つきで花束を包装紙に包みつつ、花音は背中にびっしりと汗をかいていた。
静に花束を手渡す瞬間、
「ああ、ええと」
何気なくさりげなく、まるでふと思いついたかのように切りだそうしたのだが、なかなかどうしてうまくいかなった。
しっかりしろ。
花音は自分を叱った。
家であんだけリハーサルしてきたじゃねーか、俺!
最初のフレーズは『今度の日曜日』、とても簡単なはずだ。百回くらい練習したので家ではできた。なのに口をついたのは、
「こここ……」
ニワトリか! とツッコミたくなるような声でしかなかった。
「喉のお加減でも悪いんですか?」
ほれ見ろ、彼女は心配そうな顔してる。
「いえそんなことはなくッ」
不審な早口で猛訂正して、舌がなめらかになったのか一気呵成に花音はつづけた。
「今度の日曜、一緒に出かけませんかッ……!?」
言えた。なんとか。
優先順からすれば後半ほど強調すべき内容だといえよう。しかし勢い任せではなった言葉ゆえ気力がつづかず、クレッシェンド(だんだん強く)ではなくデクレッシェンド(だんだん弱く)になってしまった。
それでも言い終えることができたんだからいいとしよう!
人生で一生分の勇気と男気を絞り出した瞬間だったと思った。我ながら。
しかし花音は彼女の反応までは予想していなかったのだ。
静はキョトンとした顔をしていた。『なんで?』と問いかけるような。当然だった。前フリなしの唐突すぎた。
ヤベえええええええええええええええ!
おだやかに小川を下っていたはずの小舟が突如激流に巻き込まれた気分、しかも激流の先はナイアガラ級の滝だ! 人生で一生分の後悔と焦りが花音を襲った。
『うわああぁっ、最近仲良くさせてもらってるし名前も知れたもので、俺、調子こきました本当スンマセンッ!!!』
よっぽどそう叫ぼうかと思った。土下座できるものなら土下座したかった。
しかしそれこそドツボというやつだ。怖がらせかねない。というか、まちがいなく怖い。
もっとストレートなほうがよかったのだろうか。たとえば、『デートウィークだから俺とデートしましょう!』とか。
あるいはいまからでも『ちょうどデートウィークでヤンスからねぇ~』とか、カジュアル気味に補足することもできるかもしれねー。(ヤンス?)
でも無理、できない相談だ。
さっきのセリフで一生分の勇気を使い果たしちまった今の俺には到底言えねえ!
口実だ口実! 『デートウィーク』以外のもっと自然なやつ。自然、ネイチャー、そういえばここ花屋だった。そうだ!
以上、文章に起すとなかなか長文になったが、「出かけませんかッ……!?」と花音が発してから実際は二秒とたっていない。長々と書いたのは閃光のように浮かんでは消えていった花音の思考を文字起こししたものである。
まあともかく、
「いいですねえ」と静が言ったのと、「ちょうど梅の花がきれいな時期ですし!」ナイス口実! と心中サムアップしそうな言葉を花音が発したのはぴったり同時だった。
だがふたりの声は重なってしまって「えっ?」とたがいに聞き返すはめになった。
「あ、どぞ」
「いえ京極さんこそ、どうぞ」
「どうぞどうぞ」
「いえいえどうぞ」
妙な譲り合いをへて、
「梅の花見に行きませんか」あらためて花音は言い、
「はい、行きましょう」あらためて静は受けたのだ。
マジデスカーーーーーーーーー!
ロケットに変形して天井をつきやぶり、宇宙の彼方へ(と書いて『More than a feeling』と読む)飛び出しそうになった花音だが、なんとか地球に踏みとどまった。静がさらにこう言ったからだ。
「梅の花といえば、やはり寝子島神社でしょうか」
かくしてその日、花音のカレンダーに桃色蛍光ペンの丸がついたのである。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年03月17日
参加申し込みの期限
2024年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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