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Pioggia Capriccioso
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面白い演奏をする人だと思った。こんなにも明るい曲なのに、物悲しく響くピアノの音色は不安定なほど繊細で、
桜 月
は暫し赤い瞳を閉じると音に聞き入った。
とても悲しい音は辛そうで、明るい曲と交じり合いながらも浮いて聞こえる。深く心に突き刺さる音色に月は目を開けると、大きな赤いリボンで一つに縛った長い白髪を揺らしながら音楽室へと向かい、中を覗きこんだ。
ピアノの前に座っている少女のうち、淡い金色の髪をした少女は知っていた。同じクラスの、優妃だ。いつも一人でいて、喜怒哀楽の薄いイメージが強かったが、まさかこんなに物悲しい演奏をする人だとは、思ってもみなかった。
そこまで今が辛いのだろうか。一人でいる事が当たり前のような顔をしていたから、気付かなかった。本当は、寂しかったのかもしれない。誰かに気付いて欲しかったのかもしれない。
月も人付き合いは得意ではない。だから普段は積極的に関わろうとはしないし、それで良いと思っている。一度心に作った壁は、なかなか取り除けるものではない。けれど、ここまでの物を聴かされたら、これほどまでに強い心の叫びを聞いてしまったら、無視する事は出来ない。必死に伸ばされた手を振り払えるほど、月は冷たくなかった。
入り口に立ち教室全体を見渡すと、月は鞄からスケッチブックを取り出し、楽器を演奏する一人一人の顔を見ながら、どんな服をデザインしようかと考え込んだ。相変わらずの空模様の窓に目を向け、けれどいつか止むであろう雨に思いを馳せる。
雨が上がれば、きっと教室には陽の光が差し込むだろう。オレンジ色の光はグランドピアノを柔らかく包み、優妃の淡い髪を燃えるような色に染める。脳裏に浮かんだ光景を逃さないうちに、月は鉛筆を走らせた。
この場にいる人は皆、優妃の声なき叫びを聞いて駆けつけてきた人ばかりだ。明るく優しい曲は、皆が彼女の寂しさを取り除きたいと思っているからこそ出せるのだろう。だからこそ、色は明るい方が良い。女性の衣装にはラメの入ったレースやリボンを多めに使ったらどうだろうか。きっと、窓から差し込んできた陽の光を反射して、教室をキラキラと輝かせることだろう。
明るく華やかなデザインにする事は勿論だが、楽器を演奏する人の邪魔になっては衣装とは言えない。あくまで衣装とは、着ている人を輝かせるためのものなのだから。
ふと隣に気配を感じ、月はスケッチブックから視線を上げた。隣には月詠が立っており、彼女に気付いた小淋に片手を振っている。おそらく、お構いなく続けてくれという意味なのだろう。小淋が小さく微笑み、会釈をすると再び演奏に戻った。
月詠は小淋の隣に座る少女を見ると、思慮深げに赤い瞳を細めた。きっとあの少女は、会話によるコミュニケーションが苦手なのだろう。それはそれで、個性なのだから気にしない。けれど、月詠が気にしないからと言って、少女の寂しさは埋められない。
スケッチブックに鉛筆を走らせる。少女の表情は、少しだけ柔らかくなっている気がするが、相変わらず音色は悲しい。月詠は少女の表情をよく観察しながら、スケッチブックに鮮明に描いていく。
「みんなの奏でる音色や歌声を重ねて、広げて、もっともっと素敵な音にしていこうよ!」
凜の明るい声が響き、それに応えるように春哉のトランペットが勢いを増す。ヴァイオリンも煌びやかな音色を輝かせ、フルートが甘さを加える。蓮のヴィオラが柔らかく奏でられ、ピアノが力強く音を響かせる。
月がそっと月詠の隣に立ち、絵の依頼をしようとするが、この場に違う音を加える気になれずに、自身のデザインした服を無言で見せた。聡明な月詠は月の言いたいことを即座に理解すると、小さく頷いてデザイン画を受け取った。月詠の絵の腕は確かだ、きっと素敵な一枚を描いてもらえることだろう。
日和は壮大な音の渦を肌で感じながら、音楽の素敵さについて考えていた。人生に、音楽はつきものだ。それはきっと、日和だけではない。
音楽は素敵。そして、そう思えること自体が素敵なのだ。上手い下手の問題ではない、ただ音楽は素敵。小さな音が集まり、空気を震わせ、誰かの心に届く音楽になる。その過程も含めて、音楽は素敵。
凜のギターが楽しげに最後の音を奏で、一瞬の静寂の後に華が咲いたような歓声が上がる。凜はギターを置くと、黒髪を揺らしながらパタパタとピアノの方へと走って行った。
「いやぁ、なんだか夢中で演奏しちゃったよー♪ すっごい気持ち良かった!」
元気いっぱいに凜がそう言って、くしゃりと満面の笑みを浮かべる。
「こうやって集まった皆をつなげてくれるから、音楽ってホントに魔法みたいだよね♪」
皆もそう思うでしょう? そう言うかのように、その場に居た面々の顔を見る。凜の興奮を表すかのように、長い黒髪が楽しげに揺れる。
「えっと、隣のクラスの優妃ちゃんだっけ? ピアノの音色、感動しちゃった! 想いが音を通して全身に響いてきた感じがしたよ! その技術は誇っていいと思うよ!」
凜の勢いに押されるように、優妃が大きな瞳を丸くしながら恥ずかしそうに顔を赤らめる。何かを言いたそうに唇を動かした優妃だったが、言葉はやはり出てこない。
演奏が終わった後、蓮はヴィオラを片手に呆然と宙を見つめていた。傍から見れば余韻に浸っているようでもあったが、蓮の心は感動に満ちていた。音楽がこれほどまでに力を持って人の心を揺さぶるとは思わなかった。
蓮はゆっくりと優妃に近づくと、彼女の華奢な手を握った。女性の手を握る事は失礼だと、普段ならば絶対にそんなことはしない蓮だったが、溢れ出した感動は言葉よりも先に行動となって現れた。
「ありがとうございます。見事な曲でした。……私はあなたを尊敬します」
真摯にそう言われ、優妃が戸惑いながら目を伏せる。その目は握られた手へと向けられており、蓮は「失礼しました」と言いながらそっと手を離した。心の底ではほんの少しだけ慌てていたが、突然手を離すというような更に失礼なことはしなかった。
「私は1年5組の
森 蓮
です。お名前をお伺いしても良いですか?」
優妃が唇を開き、そのまま噛み締める。隣に座る小淋は、優妃の小さな震えに気付いていた。優妃にとって、自身の名前を知らない人に名乗ると言うことだけでも相当に勇気のいることなのだろう。何とかしなければとスケッチブックを取るが、シグレが助け舟を出すほうが早かった。
「御陵 優妃だ。篠崎と同じクラスってことは、7組か?」
シグレの問いに、優妃が小さく頷く。唇を噛む力が強くなり、立っているシグレと蓮にも優妃の震えが分かる。自己嫌悪、罪悪感、苛立ち、そんな感情を隣で感じ、小淋は思わず優妃の手を握ろうとしたが、更に彼女の心を追い詰めてしまいそうで、踏み止まる。
どうしたら良いのでしょうか。そう言いた気な小淋の青い瞳がシグレと蓮を交互に見上げる。何か良い言葉がかけられたら良いのだが、不用意な言葉は逆に優妃を傷付けてしまいかねない。シグレが考え込むように目を伏せた時、蓮が優妃の前にしゃがみ込んだ。
「優妃さん、私はあなたを尊敬します。……尊敬します」
蓮の茶色い瞳は、真っ直ぐに優妃の瞳を見つめていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年11月28日
参加申し込みの期限
2013年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年12月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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