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Pioggia Capriccioso
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華やかな曲にも関わらず悲しい音を響かせていた理由を、深雪は分かっていた。優妃にとっての音楽は、自分を保つための、自分を存在させるための理由だ。周りが音楽を楽しんでいる中で、一人素直に楽しめない。彼女にとっての音楽は、楽しむものではないから。
「リストに似ているけど、深い海を思わせる重厚な悲しみはブラームスにも似ていたな」
修が独り言のように呟き、ピアノの前で俯く優妃に目を向ける。今にも泣き出しそうな様子に、隣に座る小淋が戸惑っているのが分かるが、何故こんなことになっているのか分からない修は、理由を求めて周囲を見渡した。一心不乱にスケッチブックに絵を描いていた月詠が視線に気付いて顔を上げ、短く「彼女は会話によるコミュニケーションが苦手なようだ」と告げる。感情の込められていない平坦な声だったが、月詠の意識の大部分が絵に注がれていたからだろう。
「ならば、俺達の想いも音楽で伝えるのが良いな。……ミユはピアノ、俺はヴァイオリンで、曲は皇帝でどうだ?」
深雪が修を見上げ、目だけで頷くと、ツカツカとピアノの前まで歩いて行く。対応に悩んでいたシグレが深雪を見下ろし、しゃがんでいた蓮が立ち上がる。深雪の表情を見て何かを悟った小淋がそっと椅子から離れ、優妃が顔を上げる。
「お前が今まで弾いてたんだな、御陵」
「……
霧生 深雪
、さん……」
始めて優妃の唇から声が紡がれる。透明感のある、細い声だった。ピアニストの道を歩む二人は、当然のように互いの顔と名前を知っていた。深雪が優妃の隣に座り、彼女が立ち上がろうとするのを留めると、優妃にしか聞こえないような小さな声で「お前のそういう音、嫌いじゃないけど、もっと色んな音聴いてみてぇよ」と囁く。優妃が戸惑っているのを隣に感じながら、修と目を合わせる。
壮大な皇帝の旋律に込めるのは、鼓舞と激励。皇帝にかけるのは、認め、受け入れ、歓迎すると言う意味の肯定。それは何も、優妃だけに向けたメッセージではない。修は深雪をチラリと見た後で、彼のアレンジに遅れないように音を奏でる。
気持ちを素直に口に出来ない苛立ちは、深雪も持っているものだった。だからピアノにぶつける。感情だけではない、悩みも音に乗せる。音は、溺れるほどに心地良い。そして深雪は、溺れすぎて苦しい思いをしている。日常の些細な音で満足していれば良かったのに、深雪はそれ以上のものを求めた。暴力の音は心地良く、深雪の心はその音を求めた。
砕ける音、潰れる音、その音を求める心が異常だという自覚はある。けれど、自覚したところで何になる? 理性で押し留められないほど、心は貪欲に音を求める。壊れた音を渇望する心は、家族との絆である音楽を汚している。
深雪と家族とを繋ぐ大切な音楽、血の色をした心地良い暴力の音、間に立って身動きが取れないでいる自分。どれほど魂を込めて弾いても、そこには異物が混入する。綺麗な旋律に紛れ込む壊れた音が、深雪の耳には聞こえる。
優妃がどうして悲しい音しか出せなくなってしまったのか、その理由は分からない。けれど、その苦しさは分かる。誰にも分かってもらえないと、自分で作った心の壁に深い孤独を味わっていることも、本当は寂しいと言うことも、分かる。お前は一人じゃない、そんなメッセージを音に乗せる。
優妃の灰色の瞳が修を見上げる。きっと、こちらの思いに気付いたのだろう、修は小さく頷くと、弓でピアノを指し示した。深雪が少しだけ横にずれ、優妃がピアノに細い指を置く。曲は既に終わり、深雪の即興曲のようなものになっていたが、優妃なら入ってこれると分かっていたために、止める事はしなかった。
どこからともなく、綺麗な歌声が聞こえてくる。誰が歌っているのかは分からないが、透き通るような美しい声だった。その歌に呼応するように、歌声が重なる。アリーセの歌だと気付いた凜が、ギターを背負って声の方へと走って行く。瑠奈も最後に一度だけ優妃を見てから、凜の背中を追いかけた。
他にも入ってこれる奴がいるなら、遠慮なくこいよ。そう言いた気な深雪の赤い瞳に、響也とシグレがヴァイオリンを手に取る。再び広がって行く音の輪に、小淋は鞄から一枚の楽譜を取り出すと、膝の上に広げた。途中から音が途切れているのは、これが未完成の曲だからだ。
小淋の目に、中学時代の親友の姿が映る。作曲を勧めたのは、彼女だった。目の前で屈託なく笑う彼女は、もうどこにもいない。
優妃のメロディーが頭の中に流れ、彼女の心の悲しみが、親友がこの世を去った日と重なる。未完成のままずっと鞄の中で眠っていた理由は色々ある。続きを書こうとするとどうしても親友の事を思い出してしまい辛くなるから、何も出来なかった自分を思い出して嫌悪するから、これが完成してしまったら、もう二度と親友とは会えないような、そんな気がするから……。
未完成の楽譜は、過去の時で止まっている。書き進めてしまえば時間が動き出し、楽しかったあの時が遠ざかってしまいそうで、怖かった。親友と交わした会話が、彼女の笑顔が、色褪せるのが怖かった。……でも、彼女はこの曲の完成を楽しみにしていた。
小淋は一度だけ強く目を瞑ると、心に流れるメロディーを楽譜に書きとめて行った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年11月28日
参加申し込みの期限
2013年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年12月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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