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MODERN LOVE/バレンタインデーくれー知ってるよ!
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縦長の巻き貝だ。白くてすべすべしている。縞模様は淡い茶色だ。波にほどよく洗われたのか先端も丸みを帯びていた。
「ガラケー?」
と言って晴月は貝殻をラッセルに押しつけた。
いやそれはとラッセルは苦笑する。
「ガラはガラでも貝殻(ガラ)だろ」
「ガラケー?」また言う。
「きれいだし今日の記念品にしような。でも俺が言いたいのは通信手段で……」
晴月は気にしない様子で、もうひとつ同じような巻き貝を手にすると、電話のようにして自分の耳に当てた。「もしもーし」
「えっ!?」
ラッセルは貝殻を取り落としそうになった。丸く空いた穴から声がしたのだ。『もしもーし』。晴月の声だ。
晴月はふふっと微笑して空に浮き上がった。「もしもーし」
やっぱり聞こえる! 『もしもーし』。頭上の晴月の声とは別に、自分の手の内の巻き貝から同じ声が。
「これもしかして!?」ラッセルは巻き貝を電話のように耳に当てた。
「ガラケー!」
さらに晴月は浮き上がった。今度は頭上の声は遠い。貝殻からはっきりと晴月の声がした。
「ガラケーだ! まちがいない! ガラケーはガラケーでも、貝殻ケータイ略して『殻(ガラ)ケー』だ! って、俺の声も聞こえてる?」
「聞こえてるよー。感度良好ー」
実のところラッセルは、世間の『ガラケー』という呼称はあまり好きではなかった。『ケー』は携帯電話のこと、ガラは『ガラパゴス』の略、ガラパゴス諸島の生物よろしく『世界の潮流から外れ独自進化した携帯電話』という意味だが実際は、『時代遅れの』『不便な』と小馬鹿にするニュアンスで使われることが多いからだ。使う人によって携帯電話に求める機能も便利の水準もちがうのだから、十把一絡げに遅れてると決めつけるのはどうなのだろう。
でもこの『ガラケー』なら歓迎だ。スクリーンはもちろんボタンすらついていない。当然NYAINもできないだろう。でも自分と晴月の専用なのである。かけ放題なのは言うまでもない。いわばコードレスの糸電話といえようか。
「すげーな。これ魔法なのか!? どれくらいの距離まで使えるんだ!? 呼び出し音とか出せるのか!?」
「むー。いっぱい質問されても困るよー」
すまんすまん、とラッセルは頭上はるかの晴月ではなく巻き貝にむかって話した。
「よくわかんないけど、寝子島にいるかぎりは届くと思うー」
「そーか」だとすると
先日
のように、島外ではぐれた場合には使えない。本土に行くときは別の手立てを考える必要がありそうだ。「呼び出し音は?」
「口で『とぅるるるるー』とでも言えばいいんじゃない?」
「そりゃそうか」
糸電話に呼び出し音はないだろう。
「晴月特製ガラケーのありがたみはわかった。わかったところで降りてこねーか? どっか行こう。海岸の散歩でもいーぞ」
「うんっ」
前にも思ったことがあるが、やはり晴月の場合空の飛び方は、鳥類の飛翔ではなく海の魚やイルカに近い。自由にくるっと回転して、ラッセルの胸に飛び込んできた。
「海岸、歩こっ。大丈夫、私とくっついてれば寒くないよ」
「そうしよう。手、つなぐか」
ただつないでいるだけではなかった。指と指をからめ合う。恋人つなぎになっていた。ごく自然に。
貝殻をポケットにしまい、ラッセルは晴月とならんで海辺を歩いた。放置されたボートに出くわすことはあったが、やっぱり誰ひとり人を見かけることはなかった。無人島に漂着した気分だ。彼女とふたりきりで。
重力から自由になってふわふわと歩く。ときどき体が浮いてしまって笑いあう。
たったそれだけのこと、かわす会話も他愛ないものばかりなのに、これ以上なく楽しい。
晴月がここに存在してくれる当たり前を大事にしたいな。
BGMは波音だけ、見ている者があるとすればオレンジ色の太陽だけだろう。
オレンジ色――。
夕陽なのだった。空はもう茜色だ。
そっか、今日は晴月を探すのに手間取ったからな。
しかし最高にロマンティックなシチュエーションなのはまちがいない。友人の千こと海道 千里なら断言するはずだ。『お膳立ては整った!』と。さらに言うだろう『雰囲気盛り上がったとこでキスやそれ以上だろー』と。もちろん千里はここにはいないが、『ゴー!』と親指を立てる彼の姿が目に浮かんだ。
いや、ゴー! とか言われてもな。
心の中の千里に反論する。
俺そこまで考えてねーから!
こういうのは、こう、気持ちが乗ったときにがんばりゃできるんだよ。
なぜ自分の心に弁明しているのかという気もしたが、弁明しなくてはやりきれない。
でももし、晴月も同じ気持ちなのだとしたら……映画とかじゃよくある展開だし……。
まさかその気持ちを読んでいたわけでもなかろうが、このとき、
「ラッセル」
と言って晴月が顔を上げた。砂浜に足を止める。
もしかして!?
晴月、と言いたかったのにラッセルから出たのは、声ではなく腹の虫の声だった。しかも切ない感じの。
「ラッセルお腹空いてる?」
あはっと晴月が笑った。
「す、すまん。寮を出てから何も食ってなくて……」
あーもう! ラッセルは赤面する。初キスの予感に緊張したせいだろうか。
俺に必要なのは慣れだ。慣れ。
焦ることはない。次の機会を待とうと思った。来週とか、ひょっとしたら来月――。
「何か食べようよ。ペコペコなんでしょ? お腹」
「面目ない」
何かないかとカバンを開けると、白い小箱が顔を出した。リボンはエメラルドグリーンだ。
「昨日私があげたチョコだね。まだ開けてないんだ?」
「うん。なんかもったいねーじゃん、って……。部屋に置いてくのも心残りで、つい持ってきちまった。そうだ、じゃあ一緒に食うか? 晴月が食うなら俺も心置きなく食べれるし」
海辺の岩までひと飛びした。ふわっと飛んで軽く着地する。腰を下ろしてリボンを解いた。
チョコレートの詰め合わせ、ハート型、王冠型、小鳥みたいなもの貝殻みたいなもの、バラエティに富んでいる。
最初に選んだものが偶然、ともにハート型だったことにほほえみ合う。
「甘くておいしいね」
「ああ。ちょっとほろ苦いのも」
つぎはどれにしよう、と言おうとして顔を上げ、ラッセルは心臓を銀河の彼方に飛ばしてしまいそうになった。
晴月が目を閉じていたのだ。ラッセルに顔を向けている。少しだけ顔を寄せていた。
次の機会? いまがその機会じゃないか。
ラッセルは黙って晴月の肩に手を置いた。顔を近づける。
はじめてのキスは、チョコレートの味がした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年02月20日
参加申し込みの期限
2024年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年02月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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