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MODERN LOVE/バレンタインデーくれー知ってるよ!
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バレンタインデーですから、との理由で設定したという。
「今日のインタビューのテーマは『恋愛』。それでは紗月さん、準備はいいですか?」
「はい」
佐和崎 紗月
は唾を飲みこむ。もちろん音は立てない。
インタビュー会場として設定されたのは、星ヶ丘にある瀟洒なカフェだった。ほぼ全面がガラス張り、丘の上なので見晴らしがよく、美しい街なみと海が一望できる絶好のロケーションだ。前夜からの雪であたりは真っ白、さらに粉雪がちらついており風情をそそる。スタッフは少なくないがいずれも無言で、ゆえにか無音というよりは静謐と呼ぶにふさわしい静けさがあった。
インタビューを受けるのは、何度目になるのかもう覚えていない。収録だって慣れっこだ。端役とはいえ映画撮影も経験したし、世界的なファッションショーのランウェイだって踏んできた。
なのに。
なぜ緊張してるの? 私。
寒い。冷たい。氷になったみたい。指先の感覚がない。
ここで大きな音でも立てられようものなら、きっと自分は文字通り脱兎の勢いで逃げ出してしまうと思った。
ユカ・オオツキ
さんと対面しているから?
今日は理緒ちゃんが別仕事でいないから?
どっちもあるだろう。
でも最大の理由はきっと、インタビューの主題だ。
テーマは「恋愛」というけれど、何を話したらいいのだろう――。
デジタル表記で一秒また一秒、ICレコーダーの数字が増えていく。さすがプロ仕様、ぎょっとするほど大きい。
我に返る。
そう、プロだ。私はプロ、今から話した言葉は公式のステートメント、活字となり記事となって、雑誌やネットメディアにひろがっていく。たくさんの人に届く。
不思議なもので、そう考えると逆に落ち着いてきた。体温が戻ってきた。
現代の情報の海は膨大、誰かに届いても、ふーんと読み流す人が大半だろう。
読んだ翌日にはもう内容を忘れてしまうだろう。
でもごく一部かもしれないけれど、熱意をもって読み返す人がいるとも思う。
私より若い世代で自分の恋愛に悩んでいる子。女の子に限らない。男の子だって。自信をもてないでいる子。絶望しかけている子、恋愛にかぎらず生き方に、あるいは自分のセクシャリティに悩んでいる子だっているはずだ。
そんな子たちに語りかけたい。
もちろん私の言葉が、たちまち福音だの救いだのになるなんて思ってない。でも一助、もっといえば、ごくわずかではあってもヒントにしてもらえたらって願う。
「いきなり大きな質問かもしれませんが」ユカは優しい口調で切り出した。「まずうかがおうと思います。紗月さんにとって、恋愛とは?」
ユカはドキュメンタリー番組のナレーションも担当している。そのせいか語り口が優しくて、紗月の肩の力は抜けた。
少し考えて、ひとつひとつの言葉を紡ぎだす。
「……私にとっての『恋愛』というのは──大した考えがあるわけでもないので本当に月並みなことしか言えないんですが……」
ユカの笑みにうながされてつづけた。
「大切な人がいて、その人のことが心の底から好きで、その人に私の愛を惜しみなく降り注ぐこと、私が最愛の人から捧げられた愛に対して誠実であること……だと思うんです」
言ってから、あまりに一般的な言葉だったかなと紗月は思った。
「……本当に、つまらないですよね……」
「そんなことありませんよ。紗月さんの誠実さは、少なくとも私にはしっかり伝わりました」
ユカの言葉が紗月の支えとなった。思い切って言う。
「初恋の話、していいですか?」
「うかがいたいです」
ユカがいくらか前傾姿勢になった気がした。
「私が最初に恋をしたのはピアノでした」
いまでは遠い過去の話だ。紗月は言った。
「幼いころに友達のお母さん……ピアノ教室の先生だったんですが、彼女が弾くラヴェルの『水の戯れ』に衝撃を受けて、それで一生懸命に努力しました。あんな風に弾きたくて」
「私も好きな曲です」ユカが応じた。「アルゼンチンの名ピアニスト、彼女のデビュー盤に収録されていますし」
その録音なら紗月も知っている。もっと端麗な『名演』ならほかにもあるが、瑞々しくて楽しげで、自分が目指していた演奏に近いバージョンである。ユカとの距離が一気に縮まったように感じた。
「きっかけは単あるあこがれかもしれませんが、たちまち私はピアノに夢中になりました。いくらでも練習できました。練習すればするほど上達するのがわかって、私はピアノの神様に愛されているんだと思ったくらいです」
あのころの高揚感は、いまでもありありと思い出せるほどだ。八十八個の鍵盤、ピアノの左端から右端まで、ぜんぶ自分のものだと思った。同じピアノ教室の誰も自分に追いつけなかった。誰も自分より上手く弾けなかった。自分なら、どんな表現でも可能だと信じていた。
「でも……そんな私のうぬぼれは中学三年のときのピアノコンクールで粉々にされました。自分には才能がないって思い知らされたんです」
井の中の蛙、それが現実だった。同じピアノを使っているはずなのに、年齢だってほとんど変わらない、なかには年下だっているのに、紗月を超えるコンテスタントはいくらでもいたのだ。まったくちがう解釈で演奏するピアニストならまだいい。なのに紗月が理想とする表現の方向で、紗月の技量をはるかに上回るピアニストすらいたのだ。とりわけ『水の戯れ』を弾きこなした小学生の演奏には、聴いていて不覚にも涙がこぼれてしまった。悔しさからではなく、美しさに胸を打たれて。
慰めにはならないが、この年のコンテストは大会史に残る近い高レベルだったという。優勝した年長の中華系ピアニストは、その後プロに転身し世界ツアーを開催できるほどの奏者へと成長している。
万感の想いをこめて紗月は言った。
「これが私の初恋、そして最初の失恋でした」
『美しいお話ですね』とわかったような言葉や、逆に『意外なお話ですね』とありがちな言葉が返ってくるのを紗月は覚悟していた。ところがユカの回答はちがった。
「おこがましいかもしれないけど、わかりますと言わせてください」深く息を吐いて言ったのである。「私の場合はバレエでした。自分が最高のつもりだったのに、大きな大会で天狗の鼻をへし折られたんです。あこがれどころか恋人、パートナーだと思っていたバレエに、もっとふさわしい相手がいたなんて」
「そう……だったんですか」
ユカ・オオツキの経歴は栄光の連続だ。ファッションモデルとして世界に名をとどろかせ、デザイナーや音楽プロデューサー、映画監督らと浮名を流し、エッセイスト、シンガー、ディスクジョッキーとしても成功を博している。挫折とは無縁の人生と思っていた。そんな彼女の人生が、自分と似た『失恋』から始まっていたなんて。
「私の話はまた別の機会にしましょう」ユカは優しい口調でつづけた。「紗月さんの恋愛、さらに教えてください」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年02月20日
参加申し込みの期限
2024年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年02月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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