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MODERN LOVE/バレンタインデーくれー知ってるよ!
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「千絵には言うなよ」
間髪おかずに紅美が放った言葉である。
「……わかってるよ。すくなくとも、いまはね」
「頼むよ。モヤモヤした状態で千絵とサヨナラしたくねーし」
千絵が彼のことを好きで告白もして、そして振られたことは真白も知っている。
それでふんぎりがついたのか、まもなく千絵は『クラン=G』の売却と渡欧を決めた。もちろんこのことだけが理由ではあるまい。千絵のことだからすでに心を決めていて、彼に最後の一押しをしてもらいたかっただけかもしれない。
どっちにしても、これまでなんとなくぬるま湯加減が保たれていた関係にコンロの火が加えられたことはまちがいないよね。
――って、客観視してられないよ!
問題は私、
私だっつーの!
これ先越されたってこと!? え、うわ、マジかぁ!?
私だって、私だってねえ……っ!
まるでパニックアタックだ。堰(せき)を切ったように想いがあふれかかるも真白は歯を食いしばってこらえた。
深呼吸してから言う。
「ごめん、ちょっと混乱して変なこと言うかもしれないけど気にしないで」
紅美は黙ってうなずいた。
ここが『クラン=G』の店内であることを真白は思い出した。ゲームテーブルはどこも盛況で、自分たちの会話に耳をそばだてている者などないが、それでも声のトーンを落とす。
「それで、彼には返事したの?」
「してない」
だと思った。
ほっとする。
「つーかこういうの、全然予想外だったし」紅美は空になった紙カップをくしゃっと握りつぶした。「あいつすごいお節介野郎だけど、あたしと親のこととかも……でもあれは変な下心じゃなくて、マジであたしのこと心配したからこその行動だったと思ってる。表面上同情して見せてその実カラダ狙いだとか、そういう器用なマネぜってーできねーヤツだからさ、あいつは」
「まだ迷ってる……というかよくわからない感じなのかな?」
「うん。まったくもってよくわかんねーよ」
「難しいよね、私もよくわからないし」
「恋愛ってなんなん? あたしにはまったくの謎ジャンルだよ。正直言って」
定義を求められると困る話だ。三角関数とか議院内閣制の定義を求められるほうが断然楽だなと真白は思った。
「なんだろなー、幸せにしてあげたいとか自分だけを見てほしいとか色々あるけど」
ひるがえって問いかける。
「紅ちゃんは恋愛するならこういう恋愛したいって想像したことある?」
「さっぱり。真白は?」
「私? 私は相手を幸せにしたい派かな」
それならこたえられる気がした。残り少なくなったぬるいコーヒーを飲みほして真白は言う。
「相手にはいま、幸せだなぁと思ってほしい、自分が幸せにしてあげたいっていう感じ……相手を幸せにするのは自分がいいっていうのもあるかなぁ。なんて、ちょっと執着心重めかもしれないけど」
「相手の気持ち優先なんだ」
「言われてみればそうかも」
「あたしはさ」
紅美は紙カップを折りたたんだ。手のなかで、紙カップはさらに小さくなる。
「幸せになっちゃいけないんだ。あたしのこと知ってるだろ? 昔、ひでーことに手を染めてたことがあってさ……。遊び半分だったけど、やってるときは正しいことだって信じて疑ってなかったからなお悪いよな。アレだ、ネット民の好きな『人間は正義の側に立ったと思ったときに残虐のブレーキが壊れる』だかなんだかいうやつだ」
「紅ちゃん、ああいうのを引用してなんか言った気になるものじゃないよ。元ネタは知らないけど、あれにたぐいすることを都合よく引用してる人に限って、同時にものすごく差別的な発言してたりするし」
「だとしても、やったことは最低だからね。あのころ小学生だったんで大した罰は受けてねーけど、逆に言えばそれがキツい。……ホントはあたしみたいな人間、太陽の光から逃げてずーっと地下に引きこもってるべきかもしれない。おかげさんで這い出せたし楽しくやってるけど、もうこれ以上はねーよ。あたしは恋だのなんだのにかかわっちゃいけないんだ」
あごが胸につくくらい、深く紅美はうなだれた。
「そういう感じのさ」と言いながら紅美はカップを揉んでいた。もう紙カップの体はなしておらず紙くずである。「そういう感じのこと……思ったり思わなかったりしてる」
真白がイメージしたのは井戸だ。深く暗い井戸、のぞいても黒い水しか見えないような。
「紅ちゃん……」どんな言葉を投げかければいいのかわからなかった。とにかく口を開く。
「なに?」
即答した紅の目がおかしい。真白を見ているはずなのに遠くに視線を向けているような。水気をおびた赤ちゃんの瞳のような。
もうひとりの紅ちゃんが出てこようとしてる!
真白の肌が粟立った。文字通り。首の辺りまで。
これ以上追い込んじゃだめだ! 直感した。
「返事をどうするかは真剣に考えればいいと思う」なので真白は咳払いしたのである。「きっと真剣に出した答えなら、彼は受け止めてくれると思う」
紅ちゃんを、より深みにむかわせちゃいけない。
釣瓶(つるべ)を投げ落とす心境で真白は言う。
「……私のことも聞いてくれる?」
「真白の? いいよ」
紅美の目が元に戻った。
よし、しゃべりつづけよう。
「私にもね、好きな人がいるの。そうなの、意外? それでね、好みのタイプだと思ってたのとは全然ちがうタイプの子なんだけどね」
「へえー」
乗ってきたらしい。紅美の頬に赤みがさした。
「別に出会いが特別だとかそういうことはなくて、普通に友達として仲良くなって色々あってその子のことを知っていって、まあ……気づいたら好きになってた。そんな感じ。ベタでしょ?」
へへへと笑うと紅美も笑った。
「ベタなんてことないよ。仮にベタでも、それは王道って呼ぶべきだよな」
真白は息を詰めた。
言うべきなんだろうか。
『私も負けないくらい紅ちゃんのこと好きだよ、恋愛的な意味で』
短くも決定的な言葉を。
『私が幸せにしてあげたいって思ってる』
はっきりと。
真白は唇を噛んだ。
余計に困らせちゃうかも、との思いが頭をよぎる。困らせるだけならまだいい。
悩ませてしまう。
そして、あの子……通称『紅子』を呼び覚ましてしまうかもしれない。
紅美の第二人格だ。性格が激変し身体能力も飛躍的に上昇する。幼女のようにあどけないのに凄惨な暴力をためらわない。紅子への変身は紅美にとって大きな負担となる。肉体的にはもちろん、精神的にも。
自分の想いをぶつけることが、紅ちゃんを苦しめるのだとしたら――。
真白は意を決した。
「ごめんね、紅ちゃん」
真白は手を伸ばし紅美の手をとった。くしゃくしゃになった紙カップごと、紅美の温かくやわらかい手を包むようにする。最初は右手で、つづいて両手で。
「えっ?」
「私も紅ちゃんのこと好きだよ」
後半、『恋愛的な意味で』は心の中でつけ加えるにとどめた。『私が幸せにしてあげたいって思ってる』と口走りそうになるのを必死で我慢した。
「ありがと」
紅美は微笑した。もう紅子ではない。完全に、ちがう。
いまはこれが限界。
きっと紅ちゃんは私の言葉、『私
も
』じゃなく『私
は
』って聞いたよね。
でもいいんだ。いつか気がつくかもしれないし。
「さて!」
真白は立ち上がった。
「……TOSやろう! TOS! さっき新しいデッキ組んだばかりなんだ!」
「おー!」
紅美も立ち上がった。紙カップを捨てる。
まだタイミングじゃない。それだけの話。でもきっと、告白のタイミングは来るはずだ。それも遠い先ではなく。
すくなくとも、友達なのは変わらないんだし!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年02月20日
参加申し込みの期限
2024年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年02月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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