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- 00月00日生 00歳
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MODERN LOVE／バレンタインデーくれー知ってるよ！
寒い寒い寒い寒い寒いマジ冗談じゃないよってくらい寒い日なれば、人恋しくもなろうというもの。なので、
「ハッピーバレンターインっ」
威勢よく自動ドアを開放し、白 真白はホビーショップ『クラン＝G』に躍りこんだのだ。虎牢関に駒を進めた呂布の高揚感で呼ばわる。
「っていうわけでクラン人（じん）のみんな！ 友チョコ配りに参上したよー」
マジ天使な白の降臨だ。やはり人恋しきボーイズ＆ガールズついでにおじさんズが歓喜の涙を流し至福のチョコ求め、ずらりと長い行列をなす、そのさまネコミケの女子トイレ前のごとし――という光景を真白は想像したのだが期待に反して、
「いらっしゃいませ」
最初に迎えてくれたのは、いずれ新店長となるリチャード・ヤンのかしこまりきった表情であった。もちろんリックは新緑色のエプロンを巻いている。三佐倉 千絵やその父三佐倉 杏平の姿はない。どうやらいまは彼一人が店番らしい。
「あ、ど……ども」
真白は勢いあまってつんのめりそうになった。いくら別人だと言われても、やっぱり『桐島先生！？』と錯覚してしまうからだ。他人のそら似にしてもそっくりすぎる。桐島クローン疑惑はまだ完全には拭えない。
「ようこそミズ真白、ハッピーバレンターイン」にこりとリックは微笑するのだが、どんな表情になろうとも真白の目には桐島に映って仕方がなかった。「本日は何をお探しですか？」
「あ、いやー」
あらたまって問われると困る。真白は後頭部をぽりぽりとかいた。
「今日は遊びに来ただけっていうか。ほら、バレンタインデーなんで『クラン＝G』の友達にチョコレート配りに来たというか」
「それはわざわざありがとうございます」
リックの丁重さに、やはり真白は困惑するしかない。
「つかぬことをうかがいますが、『クラン人』とは？」
「あー、あれですか。私の呼びかけの」
「そうです」
「とっさに思いついた言葉なんで深い意味はなくって……えーと、『クラン＝G』のファンっていうのを店名とかけただけで」
「なるほど、素敵な名称ですね」
「いえダジャレなんで、そんな大げさな」恥かきついでに言ってしまおう。「『クラマニヨンズ』って呼び名とどっちがいいかなと迷ってたくらいでー」
「そちらも悪くない。よければ登録商標にしませんか？ 真白さんもパテント収入が得られるかもしれません」
「登録商標って！？ いやいやいや忘れてください！ はい」
バレンタインといえば、と真白は話題を変えることにする。
「リックさんアメリカ生まれでしたっけ？ たしか本場のバレンタインデーはチョコを送るというよりは恋人同士プレゼントを交換したりするって感じでしたよね。だからこの風習って奇妙に見えたりしますかね？ 不思議の国ニッポン！ みたいな」
「そんなことはありませんよ」リックはやはりいい笑顔である。「アメリカでもチョコレートは定番のバレンタインギフトのひとつです。たしかに『友チョコ』『義理チョコ』というのはあまり聞きませんが、日本以外なら韓国にもあるならわしのようですし」
それに、と言い足す。
「私の妻は日本人です。なので違和感はないです」
「そういやそうでしたー」
リックはかつて日本留学中に妻と知り合い結ばれたそうである。娘もいるはずだ。
「ていうことはリックさんも娘さんからチョコもらったりします？」
「します。照れますね」
照れる桐島先生って見慣れない絵面だなぁ、と真白は思った。
「あと奥さんからも」
「ないと思います。実は離婚協議中です」
しょんぼりする桐島先生って――えっ！？ 真白は大慌てで手を振った。
「ごごごめんなさい聞いちゃいけないことでしたかっ！？」
「お気になさらず」
それより、とリックは店内に視線を動かした。
「皆様お待ちかねですよ」
「おおう」
なんのことはないもうとっくに、ボーイズ＆ガールズついでにおじさんズは一列を作って真白を待っていたのだった。リックとのやりとりが終わるのを黙っておとなしく待っていたあたりが、渋谷駅前の忠犬像みたいで泣かせる。
「待ってました！」
「真白さん天使！」
「ギブミーチョコレート！」
歌舞伎の舞台よろしくかけ声まで飛び出した。
「やーどうもどうもー。ハッピーバレンタイン！ 友チョコたくさんもってきたから食べてねー」
でも真白が真っ先にチョコを差し出したのは、目の前のリック・ヤンだった。
「はい、リックさんも友チョコ！ 春からもよろしくー」
本場ワシントン発音の「Thank you very much.」が耳に心地いい。
「ハッピーバレンターインっ」
威勢よく自動ドアを開放し、白 真白はホビーショップ『クラン＝G』に躍りこんだのだ。虎牢関に駒を進めた呂布の高揚感で呼ばわる。
「っていうわけでクラン人（じん）のみんな！ 友チョコ配りに参上したよー」
マジ天使な白の降臨だ。やはり人恋しきボーイズ＆ガールズついでにおじさんズが歓喜の涙を流し至福のチョコ求め、ずらりと長い行列をなす、そのさまネコミケの女子トイレ前のごとし――という光景を真白は想像したのだが期待に反して、
「いらっしゃいませ」
最初に迎えてくれたのは、いずれ新店長となるリチャード・ヤンのかしこまりきった表情であった。もちろんリックは新緑色のエプロンを巻いている。三佐倉 千絵やその父三佐倉 杏平の姿はない。どうやらいまは彼一人が店番らしい。
「あ、ど……ども」
真白は勢いあまってつんのめりそうになった。いくら別人だと言われても、やっぱり『桐島先生！？』と錯覚してしまうからだ。他人のそら似にしてもそっくりすぎる。桐島クローン疑惑はまだ完全には拭えない。
「ようこそミズ真白、ハッピーバレンターイン」にこりとリックは微笑するのだが、どんな表情になろうとも真白の目には桐島に映って仕方がなかった。「本日は何をお探しですか？」
「あ、いやー」
あらたまって問われると困る。真白は後頭部をぽりぽりとかいた。
「今日は遊びに来ただけっていうか。ほら、バレンタインデーなんで『クラン＝G』の友達にチョコレート配りに来たというか」
「それはわざわざありがとうございます」
リックの丁重さに、やはり真白は困惑するしかない。
「つかぬことをうかがいますが、『クラン人』とは？」
「あー、あれですか。私の呼びかけの」
「そうです」
「とっさに思いついた言葉なんで深い意味はなくって……えーと、『クラン＝G』のファンっていうのを店名とかけただけで」
「なるほど、素敵な名称ですね」
「いえダジャレなんで、そんな大げさな」恥かきついでに言ってしまおう。「『クラマニヨンズ』って呼び名とどっちがいいかなと迷ってたくらいでー」
「そちらも悪くない。よければ登録商標にしませんか？ 真白さんもパテント収入が得られるかもしれません」
「登録商標って！？ いやいやいや忘れてください！ はい」
バレンタインといえば、と真白は話題を変えることにする。
「リックさんアメリカ生まれでしたっけ？ たしか本場のバレンタインデーはチョコを送るというよりは恋人同士プレゼントを交換したりするって感じでしたよね。だからこの風習って奇妙に見えたりしますかね？ 不思議の国ニッポン！ みたいな」
「そんなことはありませんよ」リックはやはりいい笑顔である。「アメリカでもチョコレートは定番のバレンタインギフトのひとつです。たしかに『友チョコ』『義理チョコ』というのはあまり聞きませんが、日本以外なら韓国にもあるならわしのようですし」
それに、と言い足す。
「私の妻は日本人です。なので違和感はないです」
「そういやそうでしたー」
リックはかつて日本留学中に妻と知り合い結ばれたそうである。娘もいるはずだ。
「ていうことはリックさんも娘さんからチョコもらったりします？」
「します。照れますね」
照れる桐島先生って見慣れない絵面だなぁ、と真白は思った。
「あと奥さんからも」
「ないと思います。実は離婚協議中です」
しょんぼりする桐島先生って――えっ！？ 真白は大慌てで手を振った。
「ごごごめんなさい聞いちゃいけないことでしたかっ！？」
「お気になさらず」
それより、とリックは店内に視線を動かした。
「皆様お待ちかねですよ」
「おおう」
なんのことはないもうとっくに、ボーイズ＆ガールズついでにおじさんズは一列を作って真白を待っていたのだった。リックとのやりとりが終わるのを黙っておとなしく待っていたあたりが、渋谷駅前の忠犬像みたいで泣かせる。
「待ってました！」
「真白さん天使！」
「ギブミーチョコレート！」
歌舞伎の舞台よろしくかけ声まで飛び出した。
「やーどうもどうもー。ハッピーバレンタイン！ 友チョコたくさんもってきたから食べてねー」
でも真白が真っ先にチョコを差し出したのは、目の前のリック・ヤンだった。
「はい、リックさんも友チョコ！ 春からもよろしくー」
本場ワシントン発音の「Thank you very much.」が耳に心地いい。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年02月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年02月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年02月27日 11時00分
