this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
MODERN LOVE/バレンタインデーくれー知ってるよ!
<< もどる
1
2
3
4
5
…
29
つぎへ >>
紗月はふたたび中三当時を回想する。
「このころには私は女の子が好きだっていうことにも気づいていて、実際好きな子もいましたが……」
一種言葉に詰まったが、あらためてユカに顔を向けた。
紗月が見ているのはユカではない。当然ICレコーダーでもない。ユカを通して、記事を読むであろう人すべてに向かい合う。
「打ち明けるのが怖くて、その想いをそっと自分の胸の中で埋めてしまいました」
もう何年も経過しているのに、当時の感覚はまだ紗月のなかに生きている。自分は人間としておかしいのではないか、治すべき病気ではないのかとすら思っていた。
あのころはまだ、多数派ではない人間を嘲笑う風潮がに蔓延していた。とくにセクシャリティに関しては、はっきりとした差別語が『ギャグ』として幅をきかせていた。芸能人はもちろん政治家、それも国会議員のみならず県や市の首長レベルの者が公の場で侮蔑・嘲笑的な発言をしても、非難ではなく喝采を浴びていた。そんな時代は終わったなんて言いたくない。現代でもまだ同じことはくり返されているのだから。過激化という意味ではむしろ悪化しているくらいだ。発言力の強い存在が、弱者・少数者に対するヘイトを垂れ流しては分断と対立を煽る。そうして教祖的存在に祭り上げられたり、著書を売りさばいたりしている。かつてとちがうのは、おかしいことを『おかしい』と認識する意識がひろがり、異議をとなえる声が増えたことだけだ。
そんな想いが頭をよぎったせいか、紗月の表情には影がさした。
「失意の中で高校の芸術科に入ったせいか、友達もできず『ぼっち』でした。才能もないのにピアノにしがみついているだけの人間、しかも生物的におかしい人間……そんな風に自分をずっと卑下していたんです」
目を閉じる。
目を開ける。
「でもあの春の日に、私は新しい恋を見つけました」
紗月は理緒との出逢いを明かした。
放課後、忍びこんだ音楽室のグランドピアノ。
触れてはいけないと理性の声は告げていたのに、あらがいきれず蓋を開けてしまった。鍵盤に手を乗せてしまった。
そして奏でてしまった。
一番好きな曲。『水の戯れ』を。
ピアノに没頭して会心の、ひょっとしたら生涯最高だったかもしれない演奏を終えて深く息をついたとき、たったひとりの観客が、音楽室にいたことを紗月は知ったのだ。
それが理緒だった。
「あ、あの私……っ!」
「待って! あ、あたしそんな怪しいものじゃないから!」
紗月はとっさに逃げようとした。けれど理緒は体を張って紗月を止め、どれほど演奏がすばらしかったか、いかに自分が心ゆさぶられたかを早口で、ありえないほどの熱意で語ったのだ。理緒はおそらくその時点で持っているありったけの語彙を使って、そのうち『超』とか『サイコー』とかまで繰り出して、一生懸命に自分の感動を紗月に伝えようとした。
「あのとき私は、ほとんど衝動的に理緒ちゃんのことが好きになってしまって……自分でもわけがわからなくて、戸惑ってばかりでした」
恋に冷静な分析は似合わないだろう。
しかしあえて考えるならと前置きして紗月は言ったのである。
「もしかしたら、ここまで自分に全力でぶつかってきた人間を見たことがなかったからかもしれません」
「彼女――理緒さんのほうはどうだったんでしょうね?」
「わかりません。でもあのとき理緒ちゃんは、紗月……私ですね、を絶対に離したくないって焦ったとは聞きました。もしこのまま行かせてしまったら、二度と会えなくなるかもって思ってたそうです。おかしいでしょう? おなじ学校の生徒なのに」
「おかしくなんてないですよ」
ユカは目を細めた。
「一期一会、まさにそのタイミングだったんです。紗月さんと理緒さんにとっては」
「だったんですかね」
「私はそう思います」
余裕ある口調ながらユカの眼差しは真剣だ。照れながらも紗月は「かもしれませんね」と控えめに返した。でも内心では、その通りだとも思っている。
「こうしてきっかけができて友達になって、理緒ちゃんのことを知るたびに、戸惑いは大きくなっていきました。どんどん惹かれていく。理緒ちゃんのことしか考えられなくなっていく……いいのかな、大丈夫なのかな、ってずっと怖がって、戸惑っていました」
でもいまは、と紗月は言った。
「その戸惑いも好きな人を想えばこそなんだとわかってきました」
また照れくさくなってきて笑ってしまう。
「あー、何だか私、よくわからないことばかり話してますよね?」
「いいえ、とってもいい話だと思います。貴重なお話も聞けました。数年前の紗月さんと同じ心境にある人、行き詰まっているような気持ちになっている人にはきっと勇気を与えるはずです」
「まごついていただけの私が何の勇気を?」
「『あの佐和崎紗月だってずっと怖がってたんだ。戸惑ってたんだ』って」
思い出してください、とユカは言った。
「紗月さん。あなたはもう、たくさんのひとにとってのロールモデル――理想なんですよ」
「理想だなんてそんな」
打ち消すべく手をふる紗月だが、否定することは読者、とりわけ悩んでいる後続者たちに申し訳ないと気がついて、「まだまだ私も道の途上ですから……」と言うにとどまった。
このときの紗月の表情をフォトグラファー
片庭 椎子
(かたば・しいこ)は逃さなかった。先の話になるが、雑誌とウェブメディアにはこの瞬間の紗月の写真が掲載されることになる。
「最後に紗月さんから、読者のみなさんにメッセージをお願いします」
「私から!?」
「そうです」
「困りました……こんなときみんな、どんなこと言ってるんでしょう?」
理緒ちゃん助けてー。
悲鳴が出そうだ。
でも汗をかきつつ、覚悟して紗月はこたえたのだ。
「まだ未熟者の私だけど、恋愛についてひとつ言えることがあるとすれば……いま、誰かを好きになったときに感じる戸惑いもためらいも、やるせなさもせつなさも、すべてその人を愛しているからと考えてほしいってことでしょうか」
ありがとうございましたとユカは言い、ICレコーダーのスイッチを切った。
同時に、ユカに椎子はもちろんスタッフ全員が、温かい拍手で紗月を包んだのである。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
29
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
MODERN LOVE/バレンタインデーくれー知ってるよ!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年02月20日
参加申し込みの期限
2024年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年02月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!