幽霊猫とお化けの国：最終幕　旅の終わりと最後の戦い｜リアクション

幽霊猫とお化けの国：最終幕　旅の終わりと最後の戦い

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　ウィルの放った炎をギリギリで回避したラグドール号に、お化け兵が迫る。
「クリストファーは操船に集中してくれ。最大船速で、派手に頼むよ！」
「準備できてるよー！」
　タルトの呼びかけで、サキリは右舷側の大砲へ転移した。接近するお化け兵たちを、そしてその向こうのウィルを狙って、大砲を発射。それを、弾の続く限りに繰り返す。
　立て続けの砲撃はお化け兵の数を減らし、ウィルにも数発が命中。
　炎を払い除けるように首を振ったウィルが、ぐっと脚をたわませた。
　獣人に変身したタルトが、砲火に隠れるようにして船を飛び出す。生き残りのお化け兵を足場代わりに軽々飛び越え、ウィルへ接近。
「ほいっと！」
　眼前に飛び出し、剣を振るう。
　たまらずといった様子で、ウィルが微かに頭をのけ反らせた。それは人間で言えば、目元に虫が飛び込んできて驚いたようなもの。しかし、ウィルの動きを確実に押しとどめた。
　かと思うと、ウィルが巨体を後退させる。
　タルトの視界右下に、ギラリと凶悪な輝き。
　とっさに飛び退いた目と鼻の先を、右手のハサミが斜め下から鋭く過ぎた。
「うわっ！？」
　それだけでも斬りつけるような風圧に目を塞がれ、タルトはたまらず上空へ引いた。
　開いた瞳に、ウィルの口の奥にチラつく緑の光が見える。
「炎が来るぞ！」
　同じくその光を捉えていたラッセルが、周囲に警戒を呼びかけた。
　直後、ラッセルとタルトはそれぞれウィルの目の前へ飛び込んでいる。
　ビクつくようにウィルが怯み、火炎の狙いがわずかに逸れた。
　逸れた火炎が、ラグドール号の後部を舐める。振り払うように旋回した船は、左舷の砲門をウィルへと向ける。
「やれ、サキリ！」
「ああ！」
　サキリが放った砲弾が次々直撃し、怯んで後ずさったウィルが爆炎の中に消える。
　直後、砲火の中から首を突き出したウィルが、三発の火球を放った。
　一発二発と避けたラグドール号は、しかし三発目を避けきれない。

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