幽霊猫とお化けの国：最終幕　旅の終わりと最後の戦い｜リアクション

幽霊猫とお化けの国：最終幕　旅の終わりと最後の戦い

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「ウツボカズラを倒して……これで、皆を救えた？」
　倒れ伏したウィルを、夏朝は息の詰まりそうな表情で見つめていた。
　万が一を考えて住人たちには隠れてもらったまま、何時間にも、何日にも思えるような時間、皆はウィルの様子を見守っていた。
　そして不意に、　海がスケッチブックを掲げる。
『めが』
　ウィルの目が、開いていた。
　戦士やクリストファーが身構える。しかしウィルには、先ほどまでのように暴れそうな気配はまったくない。
　むしろその目つきは、とても穏やかなように見える。
　しかしここからどうするべきか皆が迷っている中、おもむろにウィルへ声をかけたのは紫苑だった。
「あのー、ウィルさん？」
　そんなウィルへおもむろに声をかけたのは、紫苑だった。
「私、ちょっとお腹が空いてしまっていてですね。……もし良かったら、少し食べさせてもらってもいいですか？」
「き、貴公何を！？」
「そう来たか～、さすが紫苑ちゃん。でも、この子って言葉わかるのかな？」
　引きつる戦士をよそに、タルトが少し呑気な様子で首を傾げる。
　するとしばしの間があってから、ウィルは差し出すようにそっと紫苑へ顔を寄せてきた。
「これは……」
「食べて良い、ってことなのかな？」
「ありがとうございます♪　……もし痛かったら、ごめんなさい」
　紫苑は大鎌を器用に使い、ウィルの皮を削り取った。なるべく痛くないように、できるだけ薄く。
　そして、躊躇なく口に入れた。
　タルトたちが固唾をのんで見守る中、紫苑はほっこりと口の中に広がる甘さに顔をほころばせた。
「美味しいです♪」
　そこでアマキが、ふふっと笑い声をこぼす。ツボに入ったのか、やたら楽しそうに。
「あなた、ほんとに食べるの好きなのね」
　そうしてひとしきり笑った後、彼女は皆を見渡して言う。
「これってつまり、ウィルがウツボカズラから解き放たれた……ってことで、いいんじゃないかしら？」
　ね、と視線を向けられた小枝が、ハッとして何度もうなずいた。
「そうだよ、ウィルさんも元に戻って……これで、全部終わったんだよ！」
　直後、ゴーストリアの住民たちの歓声が響き渡った。我慢できなかったのか、いつの間にか隠れ場所から出てきて話を聞いていたらしい。

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