仲良くなりたい、その12｜リアクション

仲良くなりたい、その12

☆会いたくて

　寝子高の中庭で、桜井ラッセルはぼんやりと空を見上げていました。
（晴月は俺のことどう思ってるんだろ。好きなのはわかるけど）
　ラッセルが思うのは、緑の髪の少女、風の精晴月のこと。
　海道千里にラッセルをどう思ってるか聞かれた晴月は「好きだよもちろん」と答えたのです。
（同じ気持ちだよな……？　恋愛の意味で）
　人間の常識がわかってない相手だから、今一つ確信が持てません。　

「ラッセルくんにゃね？　話を聞かせてほしいにゃ！」
「……は？」
　急に声をかけられて我に返ると、メモを手にした猫がいました。
「晴月さんとどういう関係にゃのか聞きたいにゃ」
「へっ？　なんで晴月のことを？」　
　面食らうラッセルに、ねこねこ記者は答えます。
「さっきまでそのへんを飛んでたんでインタビューしたら、ラッセルに会いに来たって言ってたにゃ」
「どこに行ったんだよ？」　
「知らないにゃ」
　時計を見ると、昼休みが終わるまであまり時間がありません。
「わりぃ、その話はまた今度な」
　
　ラッセルはあてもなく駆け出しました。
（窓を開けるのも、空を見上げるのも。
飛んでる最中やふとした時に見渡してしまうのも。
「好き」って感情なんだろう）

　階段を上り、屋上へ向かうラッセル。
（会えるかな……）
　扉を開けると、緑の髪が視界に飛び込んできました。