仲良くなりたい、その12｜リアクション

仲良くなりたい、その12

☆春を待ちながら

　ある休日の午後。
　八神修は、星ヶ丘寮の戸建ての自室で勉強していました。
　問題を解き終えたタイミングで、修のスマホに着信がありました。
「あおい」
　ニャインを見た修の表情がぱっと輝きます。
　挨拶のスタンプに続いたメッセージは。
『今いいかな？　お菓子を作ったからよかったらどうかなと思って』
　修は急いで返信します。
『ああ、勉強の応援にあおいが来てくれたら百人力だ。猫達も歓迎するよ』

　身だしなみを整え猫たちが部屋を荒らしていないのを確認していると、チャイムが鳴りました。
　ドアスコープを覗くと、バスケットを抱えたあおいの姿がありました。
「どうぞ」
　いそいそとドアを開いた修に、あおいはバスケットを手渡します。
「こんにちは。大したものじゃないけど、これ、スイートポテト」
「ありがとう。上がって」　
　ニャー。
　猫たちもやってきて、歓迎の声を上げます。
「引っ越しの準備とか忙しいんじゃないか」
「うん、でもだいたい落ち着いてきたから。ちょっと気晴らししたいなと思って」
　すり寄ってくる猫たちを撫でるあおいを見ながら、修はお茶の準備をするのでした。
（あおいとの時間は嬉しい。力と幸せをくれるんだ。彼女もそうだったら良いな）
　卒業後九州の専門学校へ進学するあおいと過ごせる大切な時間を、修は噛み締めていました。

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