仲良くなりたい、その12｜リアクション

仲良くなりたい、その12

☆ねこねこ記者との遭遇

　梓智依子が初めてその猫に会ったのは先月のことでした。
　娘の楓と公園にいたところにすり寄ってきた猫はいきなり、
「にゃにゃ！　36回ビーチ☆スターに輝いた、智依子ちゃんね!?」
　と人間の言葉をしゃべり、智依子は耳を疑ったのでした。
　週刊かぎしっぽのねこねこ記者と名乗るその猫は、智依子にインタビューをしながら器用に鉛筆でメモを取り、けれどその後は猫の鳴き声を発して去っていきました。
　その後ねこねこ記者に会うことはなく、幻ではないかと思っていたのですが……

　ある日の昼休み、智依子は寝子高の中庭に何かが落ちているのに気づきました。
「何か小さなメモ帳のような？」
　拾って、開こうとしたところに。
「にゃにゃー！！」
　と叫んで慌てた猫がこっちに駆け寄ってきたのでした。
「……ねこねこ記者？」
「智依子ちゃん、吾輩の取材ノート見なかったにゃ？」
「取材ノートって……これ？」
　ねこねこ記者にノートを見せると、みるみるほっとした顔になりました。
「よかったにゃー、ありがとにゃ」
　何が書いてあるのかしら、と智依子が思った時。
「そうにゃ！　取材に付き合ってくれないかにゃ？」
「えっ？」
　ねこねこ記者が指す方を見ると、そこには空を見上げる金髪の少年の姿がありました。
　

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