仲良くなりたい、その12｜リアクション

仲良くなりたい、その12

☆欲しいもの

「欲しいものがあるんだ」
　二人きり、デートの帰り道。
　稲積柚春は、隣を歩くウォルター・Bにつぶやきました。
「何だい？　ピンクの豆はこないだあげたよねぇ」
　首を傾げたウォルターが答えます。
（ピンクの豆……こないだ先輩たちも一緒にいった本土の節分祭の）　
　入っていると幸せになれる、という福豆の中の珍しいピンクの豆。
　それがびっしり入った一袋を、ウォルターは柚春にくれたのでした。

　思い出しながら、柚春は答えます。
「あれは嬉しかったよ。でも、できたら手元に残るものもあったらいいなって……ワット、一緒に指輪買わない？」
「えっ？」　
「ペアリング。ピンキーリングとか、右手用でも構わないから……」
「小指につけるリングだね？　幸運のアイテムかぁ」
　じっと見つめる柚春に、ウォルターは少し考える様子を見せます。
「まぁ、いいかなぁ」　
「本当！？」
「僕は学校ではつけないけど、それでもいいなら」
「……うん、いいよ。それじゃ、今度さっそく選びに行こうよ」

　思いを込めた二人だけのリング。
　それをはめることを考えると、柚春は今からドキドキしてくるのでした。
　
　
　

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