【マラソン大会】お花がいっぱい♪ フラワーマラソン！｜リアクション

【マラソン大会】お花がいっぱい♪ フラワーマラソン！

　綾辻綾花は真新しいマラソンウェアを着て大会に臨む。傍らには早川珪がいた。赤いウィンドブレーカーに黒いロングスパッツを合わせてシックに決める。
　軽いストレッチをしながら綾花は横目で見た。
　――珪さんらしい色合いで、とても似合っています。
　心の中の想いが溢れて笑みが零れる。
「楽しそうだね」
「ドキドキもしています。体力面で不安があるので」
「無理はしないで、自分のペースを刻めばいい」
　柔らかい笑みを返す。綾花は少し見つめたあと、急に目を伏せた。意識を手元のチューリップに向けた。
「珪先生、紫のチューリップの花言葉を知っていますか？」
「チューリップは『思いやり』だったような」
「そうですね。でも、紫には別の意味があります」
「聞いてもいいかい？」
　興味を示した珪は半歩ほど近づいた。綾花はしおらしい笑みで、ゴールのあとで、と口にした。
　――紫のチューリップの花言葉は『永遠の愛』です。ゴールのあとに珪さんに渡すつもりです。私の気持ちと共に。
　ほんのりと染まる頬で綾花は珪と目を合わせた。
「今日は頑張って完走を目指します」
「そうだね。僕も付き合うよ」
「……はい」
　再び目を伏せる。
　――意味は違うのですが、『付き合う』の言葉に少しドキッとしました。
　自然な笑みが口元に浮かび、スタートラインに熱い視線を送った。