- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
竜に乗ってどこまでも！ 新春☆初夢フェア２０２４ ～竜編～
【プロムナード（１）】
ドミトリー（寄宿舎）を出てすがすがしい風の吹く並木道をすこしばかり歩けば見えてくるのが、みんなの母校です。ああ、栄光のスリーピン・チャイルズ・アカデミー！
歴史ある校舎は磨き上げられて真っ白で、小市民の代表みたいなミズキ・シロヤマにはすこうし、まぶしすぎましたけれど。
「もうすぐ授業が始まるぞぉ、このfool octopus!! 急げよ～！」
いつも熱心なヨッシー・ベアーズ先生に日本式お辞儀をすると、先生はにかっと笑って、今日もがんばれよ、と言ってくれました。
「good morning! ミズキ、今日のグループワーク、準備してきた？ 私はさっぱり～」
「おはよう、ミーヤ。ええ、もちろん」
「さっすが、japanese girlは勤勉ですな～」
「やめてよ、もう」
ミーヤは奔放なたちで、どちらかといえば引っ込み思案なミズキをぐいぐいと引っ張ってくれる、ちょっと騒がしいけれどありがたい親友です。
最初の授業が行われる教室へ向かいながら、この友人がたびたび話題に上げるのが、アカデミーの一大イベント！ そう、プロムナードです。この学園では、トリエンナーレと呼ばれています。
「ねえねえ、今日の放課後空いてる？ トリエンナーレに着ていくドレス、見に行こうよ！」
「気が早いのね、ミーヤ。まだ半年も先でしょう？」
「そのくらいフツウよフツウ！ みんなもう探し始めてるよ、ドレスも、Dateもね」
デート。腕を組み、ドレスにタキシードに着飾ってプロムを歩む、そのお相手のことです。確かにトリエンナーレの始まるずいぶんと前から、そのお相手探しは熱を帯び始めるのでした。
きらびやかなプロムナードを、大好きな彼といっしょに歩く。なんて素敵でしょう！
けれどミズキは、ミーヤへ曖昧な笑みを返します。
「私は別に、そんなのいなくたって……」
「あ！ エレナ先輩だ」
こつこつハイヒールを鳴らし、さっそうと横切っていくエレナ・Ｋ・プロモントリーはいつだって輝いています。
トリエンナーレでダンスのトリを務めるのが、その年一番の美男美女。プリンスとクイーンです。エレナはクイーンの第一候補とまことしやかにささやかれる、まさに文武両道の才媛で……ちょっぴりエキセントリックな言動で、周囲を振り回したりすることもあるようですけれど。
「今年のクイーンはやっぱり、あの人かしらね～」
「……そうね」
なんにせよ。そんなふうにきらきらとして、輝かしくて、誰の目にも憧れの存在だなんて……アジアからやってきたやせっぽちな少女、ミズキにはいつだって遠い存在です。
思わずミズキは、肩を縮めて歩きました。
「いやぁ、さすがクイーン候補！ 堂々たる立ち居振る舞い。納得の貫禄ってものだよなぁ。なあ、ヒュー」
「そうかい？」
この悪友はいつもそうやって、女の子ばかり眺めています。ヒュー・ヒューバートは苦笑いを返しました。南米出身のソルはラテンのノリで明るく付き合いやすいのがありがたいものの、ナンパなところがいささか、玉に瑕。
「そっけないねぇ。プリンス候補としちゃあ気になるんじゃないの？」
「いや……」
男の子たちの間でもしばしば、トリエンナーレに誘うデート探しの話で盛り上がることはありました。
ヒューは今年一番のプリンス候補と呼ばれて、女の子たちからも熱視線を浴びておりました。確かに整った顔立ち、穏やかな物腰で誰にも分け隔てなく接する紳士ぶりに、男女ともに好ましく見られて人気があるのです。
けれど。
「僕はあまり、興味はないよ。今はそれどころじゃないし」
「もったいないなぁ。女の子たち、よりどりみどりだぜ？ もちろんエレナ嬢だってな」
「僕じゃ彼女には吊り合わないよ。彼女は高名な実業家のご令嬢。お父さんは政界への進出も狙っているそうだし……ひるがえって僕はといえば天涯孤独、なんの後ろ盾も後押しもない」
「分かるよ、俺だって持たざる者だ。お前の気持ちはよーくわかる。けどだからこそ、さ。狙うは逆玉の輿！ ってな」
どうにも下世話なソルに、しかし憎めない男でもあって、ヒューはくすりと笑います。
興味がない、というのは本当です。華々しきプロムナード、トリエンナーレにも、それに華麗なエレナ嬢にも。どうにも遠い世界、高嶺の花に思えてなりません。いくらソルに、お前こそプリンス候補だなどと持ち上げられても、女の子たちに黄色い声を浴びようとも、自分とは遠い世界の話のように思えてならないのでした。
「セレブでリッチなDateには興味なし？ じゃあ、どんな子が好みなんだよ？」
「それは……」
瞬間。はっとして、ヒューは目を奪われました。
肩を縮めて歩く、痩せぎすで、けれどすらりとしてスタイル良くて。エレナのような派手さはなくて、楚々として。顔立ちからすると、日本人でしょうか？ 目を惹かれました……もう亡くなってしまった、ヒューの母親も日本人であったので。
「……おいおい」
ソルが目の前で手のひらをぱたぱたしても、ヒューは気がつきません。そのくらい、ひとりの女の子へじっと目線を注いでおりました。
「あの子かよ？ ふ～む。地味系だけど、確かに磨けば輝きそうな」
「……女性をそんな目でばかり見るものじゃないよ」
「なんだよ、興味あるんだろ？ 俺、協力してやろうか。なあ、おいってば！」
思わず早足。
トリエンナーレまで、あと半年の頃でした。
ドミトリー（寄宿舎）を出てすがすがしい風の吹く並木道をすこしばかり歩けば見えてくるのが、みんなの母校です。ああ、栄光のスリーピン・チャイルズ・アカデミー！
歴史ある校舎は磨き上げられて真っ白で、小市民の代表みたいなミズキ・シロヤマにはすこうし、まぶしすぎましたけれど。
「もうすぐ授業が始まるぞぉ、このfool octopus!! 急げよ～！」
いつも熱心なヨッシー・ベアーズ先生に日本式お辞儀をすると、先生はにかっと笑って、今日もがんばれよ、と言ってくれました。
「good morning! ミズキ、今日のグループワーク、準備してきた？ 私はさっぱり～」
「おはよう、ミーヤ。ええ、もちろん」
「さっすが、japanese girlは勤勉ですな～」
「やめてよ、もう」
ミーヤは奔放なたちで、どちらかといえば引っ込み思案なミズキをぐいぐいと引っ張ってくれる、ちょっと騒がしいけれどありがたい親友です。
最初の授業が行われる教室へ向かいながら、この友人がたびたび話題に上げるのが、アカデミーの一大イベント！ そう、プロムナードです。この学園では、トリエンナーレと呼ばれています。
「ねえねえ、今日の放課後空いてる？ トリエンナーレに着ていくドレス、見に行こうよ！」
「気が早いのね、ミーヤ。まだ半年も先でしょう？」
「そのくらいフツウよフツウ！ みんなもう探し始めてるよ、ドレスも、Dateもね」
デート。腕を組み、ドレスにタキシードに着飾ってプロムを歩む、そのお相手のことです。確かにトリエンナーレの始まるずいぶんと前から、そのお相手探しは熱を帯び始めるのでした。
きらびやかなプロムナードを、大好きな彼といっしょに歩く。なんて素敵でしょう！
けれどミズキは、ミーヤへ曖昧な笑みを返します。
「私は別に、そんなのいなくたって……」
「あ！ エレナ先輩だ」
こつこつハイヒールを鳴らし、さっそうと横切っていくエレナ・Ｋ・プロモントリーはいつだって輝いています。
トリエンナーレでダンスのトリを務めるのが、その年一番の美男美女。プリンスとクイーンです。エレナはクイーンの第一候補とまことしやかにささやかれる、まさに文武両道の才媛で……ちょっぴりエキセントリックな言動で、周囲を振り回したりすることもあるようですけれど。
「今年のクイーンはやっぱり、あの人かしらね～」
「……そうね」
なんにせよ。そんなふうにきらきらとして、輝かしくて、誰の目にも憧れの存在だなんて……アジアからやってきたやせっぽちな少女、ミズキにはいつだって遠い存在です。
思わずミズキは、肩を縮めて歩きました。
「いやぁ、さすがクイーン候補！ 堂々たる立ち居振る舞い。納得の貫禄ってものだよなぁ。なあ、ヒュー」
「そうかい？」
この悪友はいつもそうやって、女の子ばかり眺めています。ヒュー・ヒューバートは苦笑いを返しました。南米出身のソルはラテンのノリで明るく付き合いやすいのがありがたいものの、ナンパなところがいささか、玉に瑕。
「そっけないねぇ。プリンス候補としちゃあ気になるんじゃないの？」
「いや……」
男の子たちの間でもしばしば、トリエンナーレに誘うデート探しの話で盛り上がることはありました。
ヒューは今年一番のプリンス候補と呼ばれて、女の子たちからも熱視線を浴びておりました。確かに整った顔立ち、穏やかな物腰で誰にも分け隔てなく接する紳士ぶりに、男女ともに好ましく見られて人気があるのです。
けれど。
「僕はあまり、興味はないよ。今はそれどころじゃないし」
「もったいないなぁ。女の子たち、よりどりみどりだぜ？ もちろんエレナ嬢だってな」
「僕じゃ彼女には吊り合わないよ。彼女は高名な実業家のご令嬢。お父さんは政界への進出も狙っているそうだし……ひるがえって僕はといえば天涯孤独、なんの後ろ盾も後押しもない」
「分かるよ、俺だって持たざる者だ。お前の気持ちはよーくわかる。けどだからこそ、さ。狙うは逆玉の輿！ ってな」
どうにも下世話なソルに、しかし憎めない男でもあって、ヒューはくすりと笑います。
興味がない、というのは本当です。華々しきプロムナード、トリエンナーレにも、それに華麗なエレナ嬢にも。どうにも遠い世界、高嶺の花に思えてなりません。いくらソルに、お前こそプリンス候補だなどと持ち上げられても、女の子たちに黄色い声を浴びようとも、自分とは遠い世界の話のように思えてならないのでした。
「セレブでリッチなDateには興味なし？ じゃあ、どんな子が好みなんだよ？」
「それは……」
瞬間。はっとして、ヒューは目を奪われました。
肩を縮めて歩く、痩せぎすで、けれどすらりとしてスタイル良くて。エレナのような派手さはなくて、楚々として。顔立ちからすると、日本人でしょうか？ 目を惹かれました……もう亡くなってしまった、ヒューの母親も日本人であったので。
「……おいおい」
ソルが目の前で手のひらをぱたぱたしても、ヒューは気がつきません。そのくらい、ひとりの女の子へじっと目線を注いでおりました。
「あの子かよ？ ふ～む。地味系だけど、確かに磨けば輝きそうな」
「……女性をそんな目でばかり見るものじゃないよ」
「なんだよ、興味あるんだろ？ 俺、協力してやろうか。なあ、おいってば！」
思わず早足。
トリエンナーレまで、あと半年の頃でした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2024年01月04日
- 参加申し込みの期限
-
- 2024年01月11日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2024年01月11日 11時00分
