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災い転じて春来る
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人、人、人、の群れの中。
「なんで目を離したんだよ! 千!」
桜井 ラッセル
は食ってかかる勢いで、海道千里に詰め寄った。
節分祭を楽しむため本土の神社にやって来て、わずか数十分後のことである。
さっきまで晴月は、
稲積 柚春
と楽し気に話しながら、ラッセルと千里の前を歩いていた。
普段とは違う着物姿が華やかで、高い位置で結ばれた髪が宙に舞うのが愛らしくて、ちょっと見とれたりしていたのだ。
その晴月が、いなくなった。
本土は初めてなのに。ここでは、風の力も使えないのに。
「ああもうっ!」
ラッセルは、どんと強く地面を踏んだ。草履の底がずるりと滑り、着物の裾も乱れるが、気にする余裕などありはしない。
「もし万が一のことがあったら……」
ぎりと唇を噛むラッセル。その肩に、千里の手がぽんとのった。
「落ち着けよ、ラッセル。オレも目を離して悪かった。それは謝る。けど、騒いだからってなにもならないだろ」
ここに来る道中は、にやにやと笑いながらラッセルをからかっていた千里である。その彼が今は真顔で、ラッセルを見つめている。
「そうだよな……。それに俺も悪いか……人混み舐めてたし、晴月はスマホ持ってないんだから、用心しとくべきだった」
今は空から探すこともできねぇし最悪だと、自責の念がラッセルを襲う。
だが、落ち込んでいる場合ではない。
「よしっ!」
ラッセルは気持ちを切り替えるため、自身の頬を平手で打った。
ぱしん! と小気味良い音が鳴ると同時、力強い声で千里に告げる。
「手分けして探すぞ、千!」
言うなり飛び出していったラッセルを、千里は呆然と見送った。
「あいつ、マジだ……。いや、マジじゃないとか思ってなかったけど、でもマジだ……」
改めて、晴月に対するラッセルの想いの熱さを知った気がする。
「それなのになんで告白しないかな。ラッセル以上に晴月を好きな男なんていないだろうに……あのヘタレめ」
小さくため息を吐いた後。
千里はラッセルが向かったのとは逆の方向に、走り出したのだった。
「どこだ、どこにいる、晴月!」
ラッセルは人の間をすり抜けるようにして、晴月を探していた。
足に着物の裾が絡み、時々草履が脱げそうになる。寝子島ならばもっとどうにかなったのにと、晴月を本土に連れてきたことを悔やみかけた。
だが誘ったとき、晴月は「行く」と即答してくれたのだ。
柚春と一緒にレンタル着物を選びに行ったことも、にこにこ笑って話してくれた。
今日という日を、晴月はとても楽しみにしていたのだ。
「それがっ……」
節分祭ゆえ着物姿の女性は多い。が、晴月の髪色ならば目立つはずだと、きょろきょろ周囲を見回した。
そして神社のはずれ近くまで来たとき。
「いたっ!」
ラッセルは、二人組の男たちにナンパされている晴月を発見したのである。
「ねえ君さ、ここまでついてきてくれたんだから、この後も一緒に来てくれるよね?」
「俺ら車あるし、どこでも行きたいとこ連れてくよ」
「ついてきたんじゃないよ。あなたたちが連れて来たんだよ」
神社の奥の奥。屋台もなく人通りも少ない場所で、晴月は男たちを睨むように、唇をへの字に曲げていた。
きっと人ごみの中で目をつけられて、口八丁言いくるめられて、ここまで連れてこられたのだろう。
「どっちでもいいじゃん。ほら、行こうよ」
男の一人が、晴月の手首に手を伸ばす。
太い手指が白肌をかすめた、その瞬間。
ラッセルは、思い切り地面を蹴っていた。
数メートルを、全力疾走以上のスピードで駆け抜けて、男の手を切り落とす勢いで払いのける。
「なっ!」
突然現れたラッセルに驚く男。その顔を睨みつけ、ラッセルは言い放った。
「すみません、彼女、俺の連れなんで」
晴月と男の間に身を滑りこませ、そのまま晴月を、力強く引き寄せる。
「失礼します」
慣れぬ足袋、慣れぬ草履でたたらを踏んだ晴月の細い肩を抱き、男たちに背を向けるラッセル。
その様子を見、神社内を巡り巡ってやっと追いついた千里は、安堵の息を吐いた。
「ラッセル! よかった、ちゃんと見つけられたんだな」
後ろの男たち――おそらくナンパ野郎だろう――はなにやら声高に文句を言っているが、晴月を取り返した今、ラッセルが彼らを相手にすることはあるまい。
(賢いやつだからな。そのくらいの思慮分別はあるに決まってる)
普段あれこれからかってはいるが、旧知の友だ。ラッセルのことはよく知っている。
しかし……。
ラッセルは、長い髪が跳ね上がる勢いで振り返り、怒声を上げた。
「黙れ! これ以上余計なこと言ったらぶっとばすぞ!」
節分にふさわしい鬼の形相に、千里は一瞬目を見開き、苦笑した。
「あーあ、マジでよっぽどだな、こりゃ」
とはいえ激怒の理由は明白。男たちが、晴月を貶めるような言葉を言ったからだ。
(好きな女子のことをひどく言われて怒ることもできないヘタレじゃ困るよな。たとえ告白できないヘタレでも)
この人混みの中であれだけ叫べば注目されるだろうが、二人揃ったのなら心配無用。
ラッセルはもう二度と、晴月を手放さないだろう。
「ま、スマホも持ってることだし、後の事は後で考えるか。無事な奴らは放置で十分。それより今は時間が惜しい」
はぐれてしまったのは晴月だけではない。
柚春と
ウォルター・B
もだ。
とりあえず二人を探そうと、千里は走り出した。
衆目を浴びたのはわずかな間。ナンパ男たちと離れてしまえば問題ない。
「大丈夫だったか、晴月」
速足で歩きながら、ラッセルは傍らの晴月を見下ろした。
なんとなく、晴月なら笑顔で「うん、大丈夫だよ」と返ってくる気がしていた。
しかし実際、晴月は弱々しい声で「ラッセル……」と呟くのみ。
「まさか、あいつらに嫌なことされたのか!?」
ラッセルは、うつむいたままの晴月の顔を覗き込んだ。
もしそうだとしたら、本当に一発殴ってやるべきだったとこぶしを握る。
しかし晴月はふるりと首を振り「されてない」と口にした。
「それより、ラッセルこそ大丈夫? あんな……大きな声を出して……」
ゆっくりと、ラッセルを見上げる白い顔。消えた語尾に、違和感を覚える。
よくよく見れば、晴月の綺麗なエメラルドグリーンの瞳は、不安げに揺れていた。
(もしかして、晴月が動揺してるのは俺のせい……? 俺が声を荒げたりしたから?)
「悪い。俺、晴月を怖がらせるつもりはなくて……」
そう言いかけ、ラッセルは晴月の目が、自身の肩に向いたことに気が付いた。
なにが、と思い目をやれば、そこにあるのはラッセルの手。
「うわっ、俺、肩っ……ごめんっ!」
ナンパ男から庇うとき、晴月を抱きよせ、そのままだったのだ。
真っ赤な顔で慌てふためき、晴月の肩から手を離すラッセル。
その様子に、晴月がぷっと噴き出した。
「そんなの、全然いいのに」
その笑顔は、いつもの晴月とまったく同じだ。
「全然いい」と言ってくれたことも嬉しい。
でもラッセルは笑えず、重々しく口を開いた。
「俺……あいつらが晴月に色目をつかってんのを見たら、心配だったんだ」
「色目?」
そんな目で見られていたという自覚がないのだろう。晴月がきょとんと首を傾げる。
でも、晴月が傍にいる今ですら、ラッセルは不安がぬぐえない。
(晴月が誰かのモノになると思ったら、その笑顔を俺じゃない誰かに向けるとしたら……)
そんなのは絶対嫌だと、頭の中で声がした。
(晴月は俺だけを見ていてほしい。俺にだけ笑いかけてほしい)
脳内の自身が、声を張り上げ叫んでいる。
(なんでそんなに俺……やっぱりこれって……好)
気づいた瞬間、ぶわっと顔が熱くなった。
晴月が目を見はったことからして、真っ赤になっているのだろう。
ラッセルはごまかすように、顔の前でぶんぶんと手を振った。
「ええっとほら! 普段の晴月なら凶悪犯だって風でぶっ飛ばす! ってできるけど、今は普通の女の子だろ、だからっ」
――大丈夫だったか? と。
手を下ろし、低い声で、もう一度。ラッセルは尋ねた。
「大丈夫!」
晴月が破顔する。
「あの変な人たちには困ったけど、ラッセルが迎えに来てくれるってわかってたから」
「晴月……!」
ラッセルは無意識に両腕を持ち上げ、はっと気付いて、その手を下ろした。
晴月を抱きしめたい気持ちをぐっとこらえ、白い手を握って、呟く。
「俺は晴月と一緒にいるし、俺から離れることなんてねーよ。絶対だ。だから、晴月も離れないでくれ」
(世界が違ったって。俺の足が、翼がある内は駆け付けてやる。こう言ったら重いか? ああ、でも、これが俺の正直な気持ちだ)
細い手をきつく握りながら、体温が上がり、鼓動が加速した。
応えてくれと、祈るような気持ちで晴月を見つめること数秒。
晴月は「うん!」と大きくうなずいた。
「先のことはわからないけど、でも、私はできるかぎり、ラッセルと一緒にいるよ。だってラッセル、私がどこへいっても追ってきそうだもん」
晴月は笑い、ラッセルが握っている手を大きく振った。ぶんと揺れる空気は、寝子島で晴月がまとう風を思わせる。
島に帰ったらまた一緒に飛びたいと思いつつ。
ラッセルは晴月の手指に指を絡め、その手をしっかりと握りなおした。
「はは、じゃ、そろそろ行こうぜ、稲積たちも待ってる」
ここからだと……と、はぐれたときの合流地点までの道筋を考える途中。
「鬼は外! 福は内!」と威勢のいい声が聞こえてきた。
それに続くは、老若男女、多くの人々の楽しげな声。
「おー豆まきもう始まるか。先に行ってみっか。稲積たちもそっちにいるかもしれないし」
「うん、行こう行こう!」
晴月が、離れまいとするように、ラッセルに一歩寄る。
自然、つないだ指の絡まりが深くなり、羽織の袂が重なった。
ラッセルを見上げる晴月の頬は、薄桃色。それが着付けの際に施された化粧の色か、そうでないのか、ラッセルにはわからない。
ただとても、かわいいと思った。
(って、言えないけどな、そんなことっ)
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2024年01月14日
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2024年01月21日 11時00分
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2024年01月21日 11時00分
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