this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
イケナイコトカイ
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
…
30
つぎへ >>
いつしか彼の肉体の主導権は、完全に公英へと復帰している。
九時過ぎか。こんなに暗いからもっと遅いのかと思った。
公英は考えたようだ。萌々子には、今度はもっとずっとはっきりと公英の声が聞こえた。
反面、萌々子の意思は彼の体に影響しなくなっている。
(お兄様、どうしたんです? アメリカの地で新しい人生をはじめるはずではなかったのですか?)
そうだよ、ここで新しい人生がはじまると思ってたんだ――。
萌々子の問いにこたえるように、公英は思いを巡らせる。
なのにダメだった。
いくらがんばってもダメだった。
肝心の歌も曲も評価されなかった。バンドメンバー応募してもオーディションで落とされ、自分でメンバーを集めても、一人減り二人減りしてたちまち解散だ。ストリートで稼ごうとしたって、もっと上手いやつ、スター性のあるやつに脚光を奪われる。必死でバイトしてライブハウスのステージに立ったところで、二曲目が終わるころにはブーイングの嵐だ。追われるようにして次の出演者に場所を明け渡すことになる。というかいつのステージだって、セットリスト完走、できたことがないんだよな……。
気がつけば貯金はほぼゼロ、家賃滞納でアパートも追い出されて友達の家を転々とする毎日だ。
(でもどうしてこの寒空に?)
公英は萌々子の声を明確に聞いているのではないだろう。しかし無意識のうちに通じているのか、今日この状態におちいった原因を回想している。
ままならない人生にイラついてたんだな。泊めてくれた友達とつまんないことでケンカして、ギターだけ持って飛び出してしまった。
どうにかなるかと郊外から歩きつめて、やっと着いたのがここだ。見知らぬ街だ。どこなのかもわからない。
寒い。
寒い寒い。本当に寒い。寒いよ。
二日前から何も食べてない。でも金はない。友達にもすがれない。これ以上動く気力もない。
ははは、と自嘲が公英の口からこぼれた。
僕、終わったな。
泥沼の中にいるんだ。いや考えてみれば、最初からずっと泥の中にいたんだ。いくらジャンプしたって抜けられない深い泥沼に。
ようやく思い知らされた、ってのが真実かな。
すべてがどうでもよくなった。
(お兄様、自虐的になってはいけません。たまたまいまは、星の巡りが悪いだけ。お兄様はご自身の音楽を信じているんでしょう? 私、お兄様のつくる音楽、大好きです! だから元気を出して……!)
萌々子は必死で呼びかけるが、この声に対してなのか、
「どうでもいい」
投げやり気味に公英は声に出すと路傍に座りこんでしまった。
カフェないしダイナーの軒先だが本日は豪雪のため臨時休業だ。周囲も暗く、街灯のほかは照らすものものない。歩行者も車も通りかからない。開かぬガラスドアにもたれる。目を閉じる。
異境の地で凍死、か。
独立とか自立とか息巻いて、最後が無縁仏じゃ笑い話にもならないな。ぶざまだよ。
(立って。立ってお兄様、このままだと本当に死んでしまいます! 警察を探しましょう。保護施設とかシェルターに入れてもらいましょう。夢がやぶれたとお考えなら、いっそ日本に帰りましょうよ。お父様なら航空券くらい――)
日本……。
眉に舞い落ちてきた雪を公英は払いのけた。
だが弱々しい動きだった。まもなく公英は手をおろしている。
日本には帰れない。
いまさら出戻りなんて、できるはずがない。
父親――あの男と顔を合わせるのも嫌だ。
仕事つづきでロクに家にも戻らず、母さんが病気になっても見舞いにすら来なかった冷血漢。
あんな男の血が、半分流れてるなんて信じられない。
そんなやつに今さら……。
(だったらせめて私のことを考えて! お兄様がこんなところで亡くなられたら、私……私……!)
妹。
ああ、妹は、どうしているだろう。
気持ちが通じた、と萌々子は小躍りしたい気持ちだった。公英が自分のことを考えてくれたのだから。
あの男と一緒で、萌々子は幸せなのだろうか?
公英は考える。
日本に萌々子を置いて行ってしまった。でも仕方なかった、親権者には勝てない。
だからといって、自分があの家に残ればよかったのか? もう限界だった。できるはずもない。
「結局、妹を置いて逃げたんだろ?」
公英はつぶやいた。自分を責めている。
そうかもしれないな。意地、見栄、プライド……きっといまになって、妹を犠牲にした罰(バチ)が当たったんだ。
ごめん萌々子、こんな酷い……落ちぶれた兄で。
(
それはちがいます!
)
声がはっきりとは届かないとはわかっている。それでも萌々子は叫んだ。ありったけの力で兄にむかって叫びをあげた。
(私が怒るとしたらそれは、お兄様が辛い境遇に陥ったことことでも、私を日本に残して出て行ったことでもありません。
私に相談してくれなかったことです! 頼ってくれなかったことです!
どうして……
どうしてこんなになるまで黙ってたんですか!
)
未来からの傍観者、しかも思念でしかない自分が、彼に影響を与えられるとは考えられない。
しかし萌々子は必死だった。
(話してくれればよかったのに! 電話でもメールでも、いくらでも方法はあったのに。力になれたのに。お兄様の馬鹿……!)
このとき萌々子に肉体があれば、背中に翼を生やしてでも兄のもとに駆けつけたことだろう。
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
…
30
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
イケナイコトカイ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年12月06日
参加申し込みの期限
2023年12月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年12月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!