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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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Dating? Serious relationship?
――そうして、数日経った。
相も変わらずウォルターは忙しそうだけれど、柚春も準備会に入って奔走していて、学校で会えればラッキーという状況は続いている。
だから、２人の様子は何も変わりないように見えた。
学校での呼び名は、もちろん『ウォルター先生』と『稲積』だし、柚春が彼の瞳色のピアスを身につけても、ウォルターは柚春の瞳色のピアスは身につけないし。
それでも、少し変わったことがある。２人が使っているペンケースだ。
ファスナー部分以外はレザーになっていて、サイドポケットがパズルのピース型にくり抜かれているのと、引き手の部分がパズルのピースになっていることが特徴的ではあるが、特別な刻印などはないペンケース。
もう少し特徴を加えるのなら、引き手の部分に小さな鍵がついていることだろうか。
あの日、再度思いを確認し合った２人は、学校で持っていても不自然では無いお揃いの物を買うことにした。
元々、柚春の目的も指輪ではなく、無記名の恋人証明書をしまった小箱の鍵を持ち歩きやすくするため、キーホルダーやペンダントにしたいと思っていたから、それに合わせた買い物だ。
大切な物をしまった鍵だけど、しまい込むのではなく、いつでも身近に感じてほしい。そう願う柚春に、ウォルターも暫し頭を悩ませた。
揃えのキーホルダーというのも、あまり見られはしないだろうが、いかにもなペアのデザインになってしまうし、ペンダントというのも……柚春の首元を見て、指輪も買うのだからアクセサリーは控えようとなった。
それで行き着いたのが、ペンケースというわけだ。
これなら、ある程度は量産されている物だから、同じ物を持ち歩いていても不自然ではないし、どちらも日常的に使う物だから鍵も持ち歩ける。
何よりこっそりと――２人だけしか知らない、ペア要素だってある。
「稲積さんのペンケース可愛いね！ それって、引き手がサイドポケットにはまるの？」
「それが、似ているけど無理だったんだ。でも、それもパズルっぽいよね」
「似てるのに、ピースがはまらないやつね！ 悔しいけど、あるあるだよね～」
ふふりと笑って、柚春は引き手のピースを撫でる。これがはまるのは、ウォルターのペンケース。
つまり、柚春のピースはウォルターが持っているということだ。
卒業式や送別会の準備が進む中、ウォルターも進路相談に新年度の準備と黙々と仕事を進める。
そんなとき、目に入ってホッと一息つかせてくれるペンケース。
（あれからもう、３ヶ月くらい経ってたんだねぇ） 
つい最近、柚春から告白されたと思っていたのに。
３の倍数は鬼門だなんて泣き叫ぶ人がいるのは知っているが、まさか自分の身に降りかかるとは。
末恐ろしいとばかりに息を吐き、ペンケースの引き手を撫でる。懐かしむのは、目まぐるしい２人の出来事。
わかりやすい柚春の恋慕が本気になる前に、遠ざけてみたことが幾度かある。
相手に期待をしていないから、優しくできるだけ。
興味がないから、話を聞き流して適当に相づちを打ってあげられるのだと、薄ら笑いを浮かべて。
生徒と教師であることも、彼女が未成年であることも、明確に見えるように線引きだってした。
それでも柚春は、ウォルターと関わることを止めなかったし、諦めなかった。
最初こそウォルターは、どこかで子供が憧憬と恋慕を混同して浮かれているだけだと高をくくっていた。
真っ直ぐ気持ちをぶつけ続けてくる柚春を信じられないでいたし、いつか冷めるだろうと揶揄って気まぐれに遊んだりもした。
そうしていつしか、彼女から想われることが心地よくも感じてきて……一気に、怖くなった。
自分は『心を持たない欠陥品』で、誰も幸せにすることができない。
浅はかな判断で親友を殺したくせに、のうのうと生きている。それを知れば、柚春はどうするだろうかと。
――今なら、まだ。
親しい生徒から何かに変わり始めようとした柚春に対し、再び強く線引きしてしまおうと、先生の顔を作り直そうとした。
思っているような男ではないと言っても、心がないと言っても去らない柚春に戸惑いもした。
けれど結局……ずっと仮面をつけて虚勢を張ってきた姿に気づいてくれたのは、ウォルターが無くしたと言い張っていた心を拾い上げ守ってくれていたのは、気づかせてくれたのは柚春だった。
誰かを深く愛したことのなかったウォルターにとって、目の覚める瞬間になったのは間違いない。そこから彼女が、ただの生徒から特別に想う女性に変わるのは、最早時間の問題だったのだろう。
（……こんなに、変わるもんなんだねぇ）
この気持ちが教師として、大人としてどうなんだと問い詰められたとき、何と答えられるだろうか。
不安にさせてしまう答えを口にするかもしれない。それでも自分は『欠陥品』ではなかったから、せめて泣かせることはないように守りたいと思う。
ペンケースについた小さな鍵を指先で遊ばせる。
きっと、これを使うことになるまでは、喜びも悲しみもたくさんくぐり抜けるだろう。
彼女に伝えた言葉に、想いに、嘘なんてなければ……使える日が、来るはずだ。
「あと１年かぁ……」
楽しみではある。だけど――試練のようだとも思っているとは、彼女には言えそうにもない。
相も変わらずウォルターは忙しそうだけれど、柚春も準備会に入って奔走していて、学校で会えればラッキーという状況は続いている。
だから、２人の様子は何も変わりないように見えた。
学校での呼び名は、もちろん『ウォルター先生』と『稲積』だし、柚春が彼の瞳色のピアスを身につけても、ウォルターは柚春の瞳色のピアスは身につけないし。
それでも、少し変わったことがある。２人が使っているペンケースだ。
ファスナー部分以外はレザーになっていて、サイドポケットがパズルのピース型にくり抜かれているのと、引き手の部分がパズルのピースになっていることが特徴的ではあるが、特別な刻印などはないペンケース。
もう少し特徴を加えるのなら、引き手の部分に小さな鍵がついていることだろうか。
あの日、再度思いを確認し合った２人は、学校で持っていても不自然では無いお揃いの物を買うことにした。
元々、柚春の目的も指輪ではなく、無記名の恋人証明書をしまった小箱の鍵を持ち歩きやすくするため、キーホルダーやペンダントにしたいと思っていたから、それに合わせた買い物だ。
大切な物をしまった鍵だけど、しまい込むのではなく、いつでも身近に感じてほしい。そう願う柚春に、ウォルターも暫し頭を悩ませた。
揃えのキーホルダーというのも、あまり見られはしないだろうが、いかにもなペアのデザインになってしまうし、ペンダントというのも……柚春の首元を見て、指輪も買うのだからアクセサリーは控えようとなった。
それで行き着いたのが、ペンケースというわけだ。
これなら、ある程度は量産されている物だから、同じ物を持ち歩いていても不自然ではないし、どちらも日常的に使う物だから鍵も持ち歩ける。
何よりこっそりと――２人だけしか知らない、ペア要素だってある。
「稲積さんのペンケース可愛いね！ それって、引き手がサイドポケットにはまるの？」
「それが、似ているけど無理だったんだ。でも、それもパズルっぽいよね」
「似てるのに、ピースがはまらないやつね！ 悔しいけど、あるあるだよね～」
ふふりと笑って、柚春は引き手のピースを撫でる。これがはまるのは、ウォルターのペンケース。
つまり、柚春のピースはウォルターが持っているということだ。
卒業式や送別会の準備が進む中、ウォルターも進路相談に新年度の準備と黙々と仕事を進める。
そんなとき、目に入ってホッと一息つかせてくれるペンケース。
つい最近、柚春から告白されたと思っていたのに。
３の倍数は鬼門だなんて泣き叫ぶ人がいるのは知っているが、まさか自分の身に降りかかるとは。
末恐ろしいとばかりに息を吐き、ペンケースの引き手を撫でる。懐かしむのは、目まぐるしい２人の出来事。
わかりやすい柚春の恋慕が本気になる前に、遠ざけてみたことが幾度かある。
相手に期待をしていないから、優しくできるだけ。
興味がないから、話を聞き流して適当に相づちを打ってあげられるのだと、薄ら笑いを浮かべて。
生徒と教師であることも、彼女が未成年であることも、明確に見えるように線引きだってした。
それでも柚春は、ウォルターと関わることを止めなかったし、諦めなかった。
最初こそウォルターは、どこかで子供が憧憬と恋慕を混同して浮かれているだけだと高をくくっていた。
真っ直ぐ気持ちをぶつけ続けてくる柚春を信じられないでいたし、いつか冷めるだろうと揶揄って気まぐれに遊んだりもした。
そうしていつしか、彼女から想われることが心地よくも感じてきて……一気に、怖くなった。
自分は『心を持たない欠陥品』で、誰も幸せにすることができない。
浅はかな判断で親友を殺したくせに、のうのうと生きている。それを知れば、柚春はどうするだろうかと。
――今なら、まだ。
親しい生徒から何かに変わり始めようとした柚春に対し、再び強く線引きしてしまおうと、先生の顔を作り直そうとした。
思っているような男ではないと言っても、心がないと言っても去らない柚春に戸惑いもした。
けれど結局……ずっと仮面をつけて虚勢を張ってきた姿に気づいてくれたのは、ウォルターが無くしたと言い張っていた心を拾い上げ守ってくれていたのは、気づかせてくれたのは柚春だった。
誰かを深く愛したことのなかったウォルターにとって、目の覚める瞬間になったのは間違いない。そこから彼女が、ただの生徒から特別に想う女性に変わるのは、最早時間の問題だったのだろう。
（……こんなに、変わるもんなんだねぇ）
この気持ちが教師として、大人としてどうなんだと問い詰められたとき、何と答えられるだろうか。
不安にさせてしまう答えを口にするかもしれない。それでも自分は『欠陥品』ではなかったから、せめて泣かせることはないように守りたいと思う。
ペンケースについた小さな鍵を指先で遊ばせる。
きっと、これを使うことになるまでは、喜びも悲しみもたくさんくぐり抜けるだろう。
彼女に伝えた言葉に、想いに、嘘なんてなければ……使える日が、来るはずだ。
「あと１年かぁ……」
楽しみではある。だけど――試練のようだとも思っているとは、彼女には言えそうにもない。
あとがき
担当マスター：
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから！
この度はリクエスト頂きありがとうございました、浅野です。
お二人にとって大事なシナリオとなるのに、お届けが遅くなってしまい申し訳ありません。
冬から春へ変わる頃、お二人は何が変わるでしょうか。
楽しみなこと、心配なこと、たくさんの思いがあると思います。
今回はその一幕をお届け出来ていれば嬉しいです。
お二人にとって大事なシナリオとなるのに、お届けが遅くなってしまい申し訳ありません。
冬から春へ変わる頃、お二人は何が変わるでしょうか。
楽しみなこと、心配なこと、たくさんの思いがあると思います。
今回はその一幕をお届け出来ていれば嬉しいです。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2024年04月11日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年04月18日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年04月18日 11時00分
